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  1. 愛知県議会 2021-09-01
    令和3年9月定例会(第3号) 本文


    取得元: 愛知県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    愛知県議会 会議録の閲覧と検索 検索結果一覧に戻る 検索をやり直す ヘルプ (新しいウィンドウで開きます) 令和3年9月定例会(第3号) 本文 2021-09-27 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別窓表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 58 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 :  ◯議長坂田憲治君) 選択 2 :  ◯議長坂田憲治君) 選択 3 :  ◯四十八番(藤原宏樹君) 選択 4 :  ◯感染症対策局長杉原武君) 選択 5 :  ◯建設局長道浦真君) 選択 6 :  ◯都市交通局長森哲也君) 選択 7 :  ◯総務局長林全宏君) 選択 8 :  ◯知事大村秀章君) 選択 9 :  ◯議長坂田憲治君) 選択 10 :  ◯九十一番(高橋正子君) 選択 11 :  ◯労働局長橋本礼子君) 選択 12 :  ◯総務局長林全宏君) 選択 13 :  ◯政策企画局長沼澤弘平君) 選択 14 :  ◯福祉局長岡本範重君) 選択 15 :  ◯知事大村秀章君) 選択 16 :  ◯九十一番(高橋正子君) 選択 17 :  ◯四十番(丹羽洋章君) 選択 18 :  ◯議長坂田憲治君) 選択 19 :  ◯議長坂田憲治君) 選択 20 :  ◯副議長近藤裕人君) 選択 21 :  ◯二十七番(鈴木雅博君) 選択 22 :  ◯環境局長(岡田守人君) 選択 23 :  ◯都市交通局長森哲也君) 選択 24 :  ◯観光コンベンション局長(武田光弘君) 選択 25 :  ◯総務局長林全宏君) 選択 26 :  ◯知事大村秀章君) 選択 27 :  ◯二十七番(鈴木雅博君) 選択 28 :  ◯副議長近藤裕人君) 選択 29 :  ◯十二番(加藤貴志君) 選択 30 :  ◯保健医療局長(吉田宏君) 選択 31 :  ◯教育長(長谷川洋君) 選択 32 :  ◯県民文化局長(水野直樹君) 選択 33 :  ◯福祉局長岡本範重君) 選択 34 :  ◯十二番(加藤貴志君) 選択 35 :  ◯副議長近藤裕人君) 選択 36 :  ◯十六番(おおたけりえ君) 選択 37 :  ◯県民文化局長(水野直樹君) 選択 38 :  ◯教育長(長谷川洋君) 選択 39 :  ◯福祉局長岡本範重君) 選択 40 :  ◯十六番(おおたけりえ君) 選択 41 :  ◯教育長(長谷川洋君) 選択 42 :  ◯四十一番(南部文宏君) 選択 43 :  ◯副議長近藤裕人君) 選択 44 :  ◯副議長近藤裕人君) 選択 45 :  ◯議長坂田憲治君) 選択 46 :  ◯十番(杉江繁樹君) 選択 47 :  ◯県民文化局長(水野直樹君) 選択 48 :  ◯経済産業局長(矢野剛史君) 選択 49 :  ◯観光コンベンション局長(武田光弘君) 選択 50 :  ◯知事大村秀章君) 選択 51 :  ◯議長坂田憲治君) 選択 52 :  ◯議長坂田憲治君) 選択 53 :  ◯十八番(黒田太郎君) 選択 54 :  ◯教育長(長谷川洋君) 選択 55 :  ◯十八番(黒田太郎君) 選択 56 :  ◯四十番(丹羽洋章君) 選択 57 :  ◯議長坂田憲治君) 選択 58 :  ◯議長坂田憲治君) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:     午前十時開議 ◯議長坂田憲治君) ただいまから会議を開きます。  直ちに議事日程に従い会議を進めます。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━   日程第一 一般質問並びに第百四十八号議案令和三年度       愛知県一般会計補正予算から第百八十九号議案       愛知県立愛知総合工科高等学校の専攻科の指定       公立国際教育学校等管理法人の指定についてま       で及び決算第一号令和二年度愛知県一般会計歳       入歳出決算から決算第十七号令和二年度愛知県       流域下水道事業会計決算まで 2: ◯議長坂田憲治君) 第百四十八号議案令和三年度愛知県一般会計補正予算から第百八十九号議案愛知県立愛知総合工科高等学校の専攻科の指定公立国際教育学校等管理法人の指定についてまで及び決算第一号令和二年度愛知県一般会計歳入歳出決算から決算第十七号令和二年度愛知県流域下水道事業会計決算までを一括議題といたします。  これより一般質問並びに提出議案及び決算に対する質問を許します。  通告により質問を許可いたします。  藤原宏樹議員。     〔四十八番藤原宏樹君登壇〕(拍手) 3: ◯四十八番(藤原宏樹君) それでは、通告に従い、一般質問をさせていただきます。  一項目めとして、新型コロナウイルス感染症の対策として、中和抗体の投与、抗体カクテル療法について質問をいたします。  通称抗体カクテル療法は、新型コロナウイルスの重症化を防ぐ切り札として期待されている治療であり、抗体がウイルスの表面にあるスパイクたんぱく質に結合し、人の細胞に侵入するのを防ぎ、発症から七日以内の軽症から中等症、特に肺炎を起こしていない初期の患者に投与することで、体内でのウイルスの増殖を阻止し、重症化を防ぐ効果があるとされております。  この抗体カクテル療法は、本年七月に、厚生労働省が特例承認をし、当初はアレルギー反応などの副作用の可能性から、投与は入院患者に限るとされておりましたが、宿泊療養施設の患者と外来患者も、条件付で投与を可能にすると、都道府県に通知をいたしました。
     既に東京や大阪では、先行して抗体カクテルによる治療が行われており、その効果は極めて高いと、県内の専門医師からも聞いております。  マスコミ報道によると、東京都は、今月、新型コロナウイルス軽症者患者向けの抗体カクテル療法の効果について、分析結果を発表されました。都内医療機関から報告があった千四十八例のうち、投与から二週間が経過した患者四百二十人を抽出し、九五・二%、四百人で症状の改善が見られたとのことで、この半数が治療薬の投与から三日以内に改善し、早期の投与ほど効果が高い傾向があったとされております。  新型コロナウイルスに対する医療提供体制は依然として厳しい状況の中、カクテル療法への期待は高くなっていると考えます。現在、本県では、藤田医科大学病院など数か所の病院で、自宅療養者らに同様の治療が行われており、一泊入院で点滴を行い、翌日帰宅してもらうケースが多く、あくまでも病院施設内での治療に限られると聞いておりますが、東京や大阪では、品川プリンスホテルなどの宿泊療養施設での抗体カクテル療法による治療が行われているのが現状であります。  一方、抗体カクテル療法の課題として、発症から七日以内に治療する必要があり、例えば発症して翌日に検査をし、二日後に結果が分かった場合、残り三日間で医療機関を探し、治療を受けなければならないように、この治療を必要とされる患者さんが七日以内に受けることができる医療体制と、現在、国内で確保されている薬剤の数が正式に発表がされておりませんが、薬剤の在庫量も鍵となると考えます。  現在、二回目のワクチン接種が終わっている方々において、ブレークスルー感染の傾向が国内で散見される現状を鑑みれば、今後、冬の季節を想定し、抗体カクテル療法を希望する一人でも多くの県民に対して、その希望に応じられるような医療体制が必要と考えます。  そこでお伺いいたします。  本県における抗体カクテル療法は、これまでどのような体制で取り組まれてきているのか、あわせて、仮に新規感染者が一日千人とした場合、この治療が必要とされる対象者全員が抗体カクテル療法を受けることができるのか、お伺いいたします。  また、現在、本県においては、病院施設でしかこの治療を受けられないと聞いておりますが、国は、宿泊療養施設や自宅療養者への往診でも治療機会を確保するように方針を打ち出しており、本県としても、宿泊療養施設や自宅待機者に対しても抗体カクテル療法の往診等での治療機会を確保する考えが必要だと考えますが、本県として、今後どのように対応していくのか、お伺いをいたします。  質問の二項目めとして、インフラ分野のDXについて質問をいたします。  国におけるデジタル化は、新型コロナウイルス感染症への対応の中、行政サービスや民間におけるデジタル化の遅れが浮き彫りになり、思い切って日本を変えるため、デジタル化を強力にリードする司令塔が必要であると、デジタル庁が本年九月に発足されました。  一方、インフラ分野のデジタル化については、二〇一六年より、国土交通省において、今後、深刻な人手不足が進み、さらに、災害対策やインフラの老朽化対策の必要が高まることが懸念され、ICT技術の活用等による建設現場の生産性革命に取り組んでいるところであります。橋やトンネル、ダムなどの公共工事の現場で、測量にドローン等を投入し、施工、検査に至る建設プロセス全体を三次元データでつなぐなど、新たな建設手法、アイ・コンストラクションを導入し、ICT施工の対象工種を年々拡大しております。  その後、二〇二〇年二月に、新型コロナウイルス感染症に対する非接触、リモートの働き方や、技術革新の進展をはじめとする社会情勢の変化に対応するため、インフラ分野においても、データとデジタル技術を活用し、国民のニーズを基に社会資本や公共サービスを変革するとともに、働き方を変革し、安全・安心で豊かな生活を実現するため、インフラ分野のDX推進本部が設置され、本年一月にインフラ分野のDX施策一覧の公表がなされました。  国土交通省が公表したインフラ分野のDX施策では、大きく四つの方向性で取組を推進することとされております。  一点目の行政手続や暮らしにおけるサービスの変革では、港湾全体の電子化により、物流手続、行政手続の効率化であったり、既に試験的に活用が進められている長時間先の水位予測技術の開発、情報提供による災害対応や避難行動等の支援が上げられております。  二点目のロボット・AI等の活用で人を支援することによる現場の安全性や効率性の向上では、安全で快適な労働環境の実現に向けたローカル5Gの活用による一般工事への無人化施工の適用拡大や、点検業務の効率化として、パトロール車両に掲載したカメラからリアルタイム映像をAI技術により処理し、舗装の損傷判断を効率化する取組などが上げられております。  三点目のデジタルデータを活用した仕事のプロセスや働き方の変革では、衛星やドローン等により、迅速な災害等の被災状況の把握、復旧体制の構築や、三次元測量等を活用した監督検査の効率化などが上げられております。  四点目のDXを支えるデータ活用環境の実現では、人流データを活用して、効率的な地域課題の解決、新たなサービスの創出が上げられております。  これらのインフラ分野のDXを推進することで、より高度で、便利な国民サービスの提供をし、国民の安全・安心を守り、社会変革を目指しているところであります。  現在の技術革新は、以前とは比べものにならないほどのスピードで進歩しており、AI、ビッグデータ、ドローン、ロボットなど、今まで解決することがなかなか困難であった課題に対しても、新たな技術を組み合わせることで、より安全に、より豊かに生活を送ることができる社会が近づいてきており、そのためにも、社会全体のデジタル化の流れから遅れることなく、しっかりと向き合い、積極的に取り組んでいくことが重要であると感じております。  さらに、昨年十二月に閣議決定された防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策でも、防災・減災、国土強靱化の取組をより効率的に進めるためには、近年、急速に開発が進むデジタル技術の活用等が不可欠であるとされており、本県としても、頻発する災害への対応や、課題となっているインフラの維持管理に対してもデジタル化を取り入れ、施策を加速させ、進めていくことが必要であると考えます。  本県の課題となっている膨大な道路インフラの状況は、二〇二一年時点において、道路橋梁が約四千四百橋、トンネル六十二本、横断歩道橋四百十九橋あり、これらの多くは高度経済成長期などに集中的に整備されたことから、急速に高齢化が進展しており、供用後五十年以上経過した橋梁の割合は約五割となっており、この先、二十年後には約八割に急増するとされております。  また、道路の維持管理については、各建設事務所において、道路の異常の早期発見のため、全路線を週一回以上の頻度でパトロールを行っており、私の地元、東三河建設事務所管内では、舗装の痛みやガードレールの損傷など、年間に約七千件の異常が見つかり、これらに対処しているとお聞きしております。  このように、今後ますます老朽化が進む道路インフラについて、限られた人員で適切に維持管理するためには、新技術を活用した業務の効率化が重要であると考えます。  本県のデジタル化は、昨年十月に、知事を本部長とする愛知県DX推進本部を立ち上げ、十二月には、あいちDX推進プラン二〇二五を策定し、愛知県全体におけるデジタル化、DXを推進することとされておりますが、国において、インフラ分野のデジタル化が広域的に、より具体的に施策が示される中、本県におけるインフラ分野のデジタル化においても、県民の安心・安全のため、柔軟に取り組んでいく姿勢が重要であると考えます。  そこで、本県の建設局におけるDXの現状と今後の取組についてお伺いいたします。  また、デジタル化に向けたそれぞれの取組を進める一方、こうした施策で得られたデータ等を横断的に活用し、新たな価値を生み出していくことも今後重要であります。  ビッグデータに新技術を組み合わせて生み出す代表的なものとして、MaaSが上げられます。  このMaaSは、出発地から目的地までの移動に対し、様々な移動手段、サービスを組み合わせて一つの移動サービスとして捉えるものであります。手元のスマートフォンから検索、予約、決済を一度に行えるようにするなど、ユーザーの利便性を大幅に高めるだけでなく、得られる移動関連データを基に、公共交通やまちづくりの施策の高度化を図ることも期待できるなど、交通分野に大きな変革をもたらす重要なツールであります。  このMaaSについて、二〇一九年十月に、海外調査団の一員として、MaaSの先進国のフィンランド・ヘルシンキにて、MaaSについて調査をさせていただきました。  フィンランドでは、移動の約八〇%が自動車に頼っており、公共交通を利用した移動は約一一%だったことから、都市部における渋滞や環境問題の観点からスタートしたサービスであり、ヘルシンキ市内の発達した公共インフラとスマートフォンアプリを組み合わせ、先進的に課題解決に取り組んでおられました。  一方、本県におけるMaaSの取組は、混雑回避や非接触など、新しい生活様式にも対応しつつ、公共交通の利用促進を図りながら、新たに観光という付加価値をつけ計画をしていると伺っております。昨年度より、早期導入に向けた取組が始まっており、今年三月には、基礎調査の結果が取りまとめられ、MaaS早期導入に向けた取組が大いに期待されるところであります。  そこで、MaaSの早期導入に向けて、昨年度の調査結果を踏まえ、今後どのように進めていくのかお伺いをいたします。  質問の三項目めとして、東三河の振興について、まず、東三河振興ビジョンについてお伺いいたします。  県は、二〇一二年に東三河県庁を設置され、市町村、経済団体等と共に東三河ビジョン協議会を設立し、東三河振興ビジョンに基づき、これまで十年近くにわたり、地域の方々と共に東三河の振興に積極的に取り組んでこられました。  私の地元豊川市においても、二〇一三年十一月に開催されたB─1グランプリin豊川では、県や東三河の八市町村、企業、学生ボランティアなど、約五千人のスタッフが運営に参加し、二日間で五十八万一千人もの来場者を集め、東三河地域への経済波及効果は二十一億円と、大きな効果がありました。  また、二〇二〇年八月には、豊川市や新城市、地元団体が主体となり、県もオブザーバーとして参加する東三河ドローン・リバー構想推進協議会が設立され、今月には、ドローン輸送の実証実験が行われるなど、東三河の振興に向け、新たな連携も生まれてきております。  一方、東三河地域では、県内の他地域に先行して人口減少が始まっており、本年六月に公表されました二〇二〇年国勢調査の速報値においても、二〇一五年に比べ、東三河地域は一・二%の減少となっております。労働力や消費の動向に大きな影響を与える人口の動向は、今後の地域の発展を考える上で、大きな懸念材料と言えます。  また、急速なICT技術の進展や外国人住民の増加、新型コロナウイルス感染症による地域経済への影響など、様々な社会状況の急速な変化に迅速に対応することも必要であります。  そうした中で、知事は、昨年六月の代表質問において、東三河の一層の振興に向け、次期東三河振興ビジョンの策定時期を二年前倒しすることを表明されました。  次期ビジョンの策定に向けては、これまで東三河ビジョン協議会において様々な議論がなされ、その際には、道路や通信基盤等の整備、教育、医療、公共交通、移住・定住の促進など、依然としてこの地域には多くの切実な問題があることを改めて認識したところであります。  これらの議論を踏まえ、七月に示された中間案では、二〇四〇年頃の東三河の展望や、二〇三〇年度までの重点的な施策の方向性が示されるとともに、東三河の目指す地域の姿である二〇四〇年将来像について、連携と協働で未来を創る輝き続ける東三河をキャッチフレーズとして打ち出しております。  そこでお伺いいたします。  キャッチフレーズに込められた思いを含め、東三河の振興に向け、今後どのように進めていくのか、県のお考えをお伺いいたします。  次に、東三河地域の幹線道路についてお伺いいたします。  次期ビジョンでは、連携と協働で未来を創る輝き続ける東三河をキャッチフレーズとし、目指す地域の姿として、未来を拓き、暮らしを支える社会基盤の整備や産学官、三遠南信地域など多様な地域の連携により、地域のポテンシャルを最大限に発揮し、発展する地域が描かれております。  この中で、広域道路ネットワークや三河港をはじめとする広域交通基盤の強化など、地域の活力を生み出す社会基盤の整備、強化が打ち出されており、地域のポテンシャルを最大限に発揮するため、道路整備に対して重要な位置づけがされております。  そのような中、現在三河港は、完成輸入自動車の貿易額、台数ともに二十八年連続日本一であるなど、主要な物流拠点であるとともに、自動車産業などの製造拠点、さらには、ラグーナ蒲郡やクルーズ船の寄港地などの観光資源を有しております。  このように高いポテンシャルを持つ三河港を核とした東三河地域のさらなる発展には、三河港と後背地との連携を強化し、地域の骨格を形成する名豊道路や国道百五十一号などの幹線道路ネットワークの整備が必要であると考えております。  このうち東三河地域の東西軸を構成する名豊道路については、蒲郡パイパスの豊川為当インターチェンジから蒲郡インターチェンジの間の約九キロメートルが唯一の未開通区間となっておりましたが、国から、本年四月に、二〇二四年度の開通見通しが公表されました。当区間の開通で、全長約七十三キロメートルがつながり、三河港と県内各地に広がる主要な生産拠点が結ばれることで、物流の効率化による生産性の向上や、沿線地域への企業進出の促進が図られるなど、ストック効果が期待されるところであります。  現在、国による蒲郡バイパスの工事が全面展開されており、私の地元豊川市内においても、トンネルや橋梁の整備などにより、完成する道路の形が見えてきており、一日も早い開通を期待しております。この工事区間の中間付近には(仮称)金野インターチェンジが計画されており、並行する県道豊川蒲郡線に接続することになりますが、現道は幅員が狭く、歩道がないため、県により道路整備が進められております。名豊道路の開通に伴う波及効果で、インターチェンジ周辺の開発が進むなど、地域の活性化を期待する一方で、交通量の増加に対しても、地域の安全・安心が確保されるよう、本線の開通と併せた整備が必要と考えます。  そこで、県道豊川蒲郡線の進捗状況及び今後の取組についてお伺いいたします。  次に、三河港と東名高速道路を連絡し、南北軸を構成する国道百五十一号についてであります。  国道百五十一号が国道一号と交差する宮下交差点は、主要渋滞箇所であることに加え、二〇一六年三月の小坂井バイパスの無料化により、交差点の交通量が増加し、円滑な交通に支障を来しております。モノづくりの現場では、様々な工夫の積み重ねや無駄の排除などにより生産性を高めている中、渋滞による時間損失は、その向上を阻みます。東三河地域のモノづくりの生産性を高めるには、渋滞の緩和により、時間信頼性を向上させることが必要であり、宮下交差点で進められている立体交差化事業の早期完成が望まれます。  そこで、国道百五十一号宮下交差点の立体化事業の進捗状況及び今後の取組についてお伺いいたします。  最後に、国道一号と国道百五十一号を結び、豊川市の中心部を東西に貫く都市計画道路姫街道線についてであります。  姫街道線は、豊川市の産業活動を支え、非常時の緊急輸送道路として防災機能の役割も担う、まさに豊川市の都市軸となる、重要な幹線道路として位置づけられております。  現在、名鉄八幡駅付近では、市民病院に隣接して、大型商業施設や文化施設など、新たなにぎわいの拠点となるまちづくりが進んでおり、大型商業施設については、二〇二三年春開業予定となっております。これら新たな沿線開発により、姫街道の重要度がますます高まっております。  しかし、姫街道線は、四車線道路として都市計画決定がされているものの、まだ四車線化されていない八幡地区や姫街道東部側の姫街道踏切の区間などでは、現在でも、朝夕を中心に激しい渋滞が発生しております。このような課題を解決するため、現在、県において、八幡地区については四車線化の工事が進められており、鉄道踏切部については、アンダーパス化をするため、都市計画変更に向けて、今年の三月十五日に、地元説明会が開催されたところであります。  そこで、姫街道線の八幡地区の四車線化及び鉄道踏切部のアンダーパス化について、現在の進捗状況と今後の取組についてお伺いいたします。  以上、県当局からの前向きな答弁を期待して、登壇での質問を終わります。御清聴、ありがとうございました。(拍手) 4: ◯感染症対策局長杉原武君) 初めに、本県における抗体カクテル療法の実施体制と、新規陽性者が一日千人となった場合に、対象者全員が治療を受けられるのかについてお答えします。  抗体カクテル療法に用いられる中和抗体薬は、二〇二一年七月十九日に、新型コロナウイルス感染症に対する点滴により投与する治療薬として承認されました。当該薬品の適用患者は、酸素投与の必要がない中等症及び軽症の患者のうち、発症から七日以内で、基礎疾患があるなどの重症化リスクがある方とされております。その投与に当たっては、原則入院とされ、アナフィラキシーを含む副作用に対応するため、投与中及び投与完了後少なくとも一時間は医師による観察、及び投与後二十四時間の病態悪化の有無を確認できる体制が必要とされています。  このため、本県では、適用患者の安全を考慮し、病態の急変に適切に対応できる七十九の患者受入医療機関全てで実施しています。  具体的には、適用患者が抗体カクテル療法を実施している患者受入医療機関を受診した際、医師の判断により投与を行うほか、保健所において、疫学調査時に適用患者と判断した場合については、本人の同意の上、近隣の患者受入医療機関を紹介しています。また、患者受入医療機関が見つからない場合は、感染症対策課において、患者受入医療機関を紹介しております。  次に、県内の新規陽性者数が一日千人となった場合ですが、国が示している新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引きにおける重症化リスクがある基礎疾患を有する者の割合は八・二%を用いて推計すると、適用患者数は八十二人となります。  県が選定した患者受入医療機関については、あらかじめ一定数の在庫を持つことが認められており、現時点で六十九施設が、合計で四百人分以上の在庫を保有し、抗体カクテル療法が迅速に行える体制を整えております。このため、新規陽性者数が一日千人となった場合でも、適用患者全員に抗体カクテル療法を受けていただけると考えております。  次に、宿泊療養施設や自宅療養者への往診における県の対応についてお答えします。  まず、宿泊療養施設における抗体カクテル療法については、国の一定の要件の下、患者受入医療機関の往診により実施することを可能としています。この要件としては、患者の病態の悪化に備え、日中一人以上の医師を配置するなど、臨時の医療施設に準じた健康観察体制を確保することなどが求められています。  このため、本県では、副作用などに迅速に対応できる患者受入医療機関において実施していきたいと考えておりますが、感染拡大により入院患者が増加し、患者受入医療機関での円滑な実施が困難な場合については、宿泊療養施設での実施についても検討してまいります。  また、自宅療養者に対する往診による抗体カクテル療法については、二十四時間以内の患者の病態の悪化の有無を確認できる体制の確保などが必要とされ、厚生労働省の事前の確認が条件となっています。このため、実施を希望する医療機関があった場合には、厚生労働省と連携して、速やかに対応してまいります。  本県といたしましては、新型コロナウイルス感染症の重症化を防ぐ抗体カクテル療法が円滑に実施されるよう、医療体制の整備にしっかり取り組んでまいります。 5: ◯建設局長道浦真君) インフラ分野のDXについてのお尋ねのうち、建設局におけるDXの現状と今後の取組についてであります。  建設業の担い手不足や高齢化等の課題がある中、建設工事においては、三次元測量データと衛星位置情報システムにより建設機械を制御するICT施工を二〇一六年度から導入し、熟練オペレーターと同様の正確で迅速な施工や、補助作業員が不要になることでの接触事故防止に効果を上げております。  さらに、現場の施工状況をスマートフォン等を用いてリモートで監督する遠隔臨場を今年度から試行導入し、受発注者ともに、移動時間等の削減による業務の効率化を図っております。  今後、これらの取組は、技術の進展等を逐次取り入れ、適用の拡大を図ってまいります。  また、維持管理においても、DXの推進により、業務の効率化に取り組んでおります。  道路管理では、二〇一九年度に、道路パトロールシステムのタブレット型端末に通信機能を加える機能強化をしており、これにより緊急措置を要する現地の異常を建設事務所の職員が即時に確認でき、直ちに補修につなげることが可能となっております。  一方、維持管理をする上で必要となる道路や河川、下水道などのインフラに関する情報は、それぞれのインフラごとに、地理的環境や設計仕様等の建設時の記録、その後の定期点検結果や修繕履歴などがこれまでに個々に整理されてきました。これら別々の情報を、位置情報を基に相互に関連するデータと結びつけ、将来の予防保全型の維持管理などに活用できるデータベースの構築を目指し、今年度から検討に着手してまいります。  今後も、積極的にDXを推進し、現場の生産性向上やインフラの良好な維持管理に努めてまいります。  次に、東三河地域の幹線道路整備についてのお尋ねのうち、県道豊川蒲郡線についてであります。  県道豊川蒲郡線は、名豊道路、蒲郡バイパスの北側に並行して位置しており、名豊道路へのアクセス強化と歩道設置による歩行者の安全確保を目的として、現在、約一・九キロメートル区間で、現道拡幅とバイパスの整備を進めております。あわせて、(仮称)金野インターチェンジと現道を結ぶ約〇・二キロメートルの接続部についても、整備を進めております。  これまでに全ての用地取得が完了しており、現在、各区間において工事を進めているところであります。事業区間東側の現道拡幅部約〇・六キロメートル区間については、これまで約〇・二キロメートルが完成しており、残る区間についても順次整備を進めてまいります。  次に、バイパス部の約一・三キロメートル区間については、名豊道路の早期全線開通に協力するため、西側の約一・〇キロメートル区間を工事用道路として利用できるよう、先行して整備を進めてまいりました。今後、工事用道路としての利用が終了した後、舗装工事などを行う予定であり、残る〇・三キロメートル区間も含め、着実に整備を進めてまいります。  さらに、インターチェンジ接続部についても、二級河川御津川を渡る橋梁工事や道路築造工事を行っております。  これら全区間が名豊道路の開通に合わせて完成できるよう、しっかりと整備を進めてまいります。  次に、国道百五十一号宮下交差点の立体化事業についてであります。  本事業は、国道一号との交差点である宮下交差点での渋滞緩和を目的として、宮下交差点を含めた三か所の交差点をまたぐ延長五百メートルの高架橋を整備し、南側で小坂井バイパスに接続させ、新たな高架橋から小坂井バイパスへ連続した立体部を設ける事業です。  あわせて、小坂井バイパスの本線がそのまま立体部となることに伴い、同バイパスに、国道一号へのアクセスに必要となるランプを設置することとしています。  このランプについては、二〇一九年度より、既存の橋脚及び橋台を拡幅する工事に着手しており、拡幅が必要な八基のうち三基は既に工事が完了し、四基は現在工事中です。残り一基の工事についても、年内に発注を行ってまいります。  また、新設高架橋については、必要な用地は既に確保しており、現在、関係機関との協議を進めるとともに、道路の中央部分に橋脚や橋台を施工するヤードを確保するための車線切替工事を実施しております。この車線切替工事を早期に完了し、高架橋工事に着手できるよう努めてまいります。  今後とも、東三河地域のポテンシャルを生かし、地域の活力を高める幹線道路ネットワーク整備にしっかりと取り組んでまいります。 6: ◯都市交通局長森哲也君) 交通分野におけるDXの取組であるMaaSについてであります。  本県では、ワンストップでシームレスな交通サービスの利用を可能とするMaaSの推進に取り組んでおります。  まずは、ジブリパーク開業により、国の内外から多くの来訪者が想定される名古屋東部丘陵地域を対象に、MaaSの来年秋の実現を目指しております。  このため、昨年度は、コロナを契機とする新しい生活様式への交通分野における対応や、利便性の高い移動サービスの実現、地域活性化のためのMaaSの活用方策について、幅広い方々から意見を聴取しながら、基本的な調査を実施したところです。今年度は、こうした調査を基に、名古屋東部丘陵地域の情報やサービスを提供するMaaSアプリを構築した上で、十二月から一月にかけて実証実験を行ってまいります。  具体的には、鉄道、バス、タクシーなどの公共交通だけでなく、カーシェアリングやシェアサイクル、二人乗り小型電気自動車など、多様な交通手段の組合せによる経路検索を提供するほか、豊田スタジアムでの大規模イベント時に、パーク・アンド・ライドへの誘導を図る実験を実施してまいります。  さらに、観光周遊ルートの提案、公共交通のデジタルチケットの発券、リニモ主要駅の混雑情報や、地域の飲食店、観光施設で使えるクーポンの提供などの多様なサービスをMaaSにより一元的に提供することで、人々の行動にどのような変化をもたらすかも検証してまいります。  今後は、実証実験の成果を公表し、交通事業者等による県内各地でのMaaS導入促進につなげることで、公共交通をはじめとした質の高い移動サービスが広く提供される、モビリティ先進県あいちを目指してまいります。  また、MaaSの移動データは、将来の交通計画やまちづくりにも活用することが重要であり、関係事業者間におけるデータ利用のルールづくりなどについて、産学官で構成するMaaS推進会議で協議を進めてまいります。  次に、都市計画道路姫街道線の現在の進捗状況と今後の取組についてであります。
     四車線で都市計画決定されている約七・八キロメートルのうち、国道一号側の八幡地区約一・八キロメートルと国道百五十一号側の鉄道踏切部を含む約二・三キロメートルが未整備となっております。  このうち八幡地区については、東側区間の約六百五十メートルにおいて、二〇一九年度から四車線化工事を進めており、二〇二二年度内に完了する予定であります。  また、残る西側区間の約一・一キロメートルについては、二〇二二年度の都市計画事業認可に向けて、公安委員会等との調整を進めており、八幡地区の早期四車線化を目指してまいります。  次に、国道百五十一号側の二車線区間のうち、まずは鉄道踏切部のアンダーパス約六百メートルについて、三月に開催した地元説明会を踏まえ、道路幅などを見直す都市計画変更に向けた手続を進めており、速やかに都市計画変更を終えて、早期の事業認可を目指してまいります。  今後とも、東三河地域の交通を円滑化し、災害時の緊急輸送道路としても大きな役割を果たす姫街道線の着実かつ迅速な整備にしっかりと取り組んでまいります。 7: ◯総務局長林全宏君) 東三河の振興に向け、今後どのように進めていくのかについてお答えいたします。  十二月に策定予定の次期東三河振興ビジョンのキャッチフレーズである、連携と協働で未来を創る輝き続ける東三河には、多様な自然、歴史等を生かし、連携と協働により、新しい魅力や価値を醸成しつつ、暮らし、経済、環境が調和する地域社会を形成することで未来を開き、輝く東三河として、持続する地域を目指すという思いが込められております。  特に、次期ビジョンにおいては、この連携、協働をキーワードに、地域が一体となって東三河の振興に強力に取り組むため、新たな仕組みとして、重点プロジェクトを隔年で設定するのが大きな特徴であります。これにより、テーマごとに計画段階からプロジェクトチームを設置し、地域の関係者と協議を重ねながら、具体的事業に取り組むこととしております。  来年度から取り組むテーマ案として、大都市の企業・個人を対象とした東三河関係人口、移住・定住の創出が議論されており、今後も、こうした東三河の重要課題について重点プロジェクトを設定し、地域の皆様と連携、協働して、東三河の振興に重点的に取り組んでまいります。 8: ◯知事大村秀章君) 藤原宏樹議員の質問のうち、東三河の振興について、私からもお答えをいたします。  その前に、今日のマスク、これは稲荷のマスクでございます。  ということで、東三河の振興でございます。  私は、東三河の発展なくして、愛知の発展はないと強い決意の下に、二〇一二年度に東三河県庁を設置し、県として、東三河地域の振興に強力に取り組む体制を整備いたしました。東三河担当の副知事も配置をいたしております。  そして、東三河ビジョン協議会を設置し、東三河振興ビジョンの策定をはじめ、地域の皆様と共に東三河のさらなる振興に向けた協議を重ね、様々な取組を進めてまいりました。  これまで、名豊道路、三遠南信自動車道の着実な整備、スタートアップのサテライト拠点形成に向けた取組、農商工連携による食のブランド化の推進、議員も触れられましたB─1グランプリ、そして、奥三河パワートレイルなどの地域の強みを生かした大規模イベントの開催、そしてまた、豊橋特別支援学校の分教室として、設楽町に山嶺教室、そして、田原市に潮風教室の開設など、様々な分野で多くの成果を上げてきたところであります。  このような成果、取組をさらに発展させるとともに、新たな環境変化や様々な課題に対応するため、次期ビジョンの策定を二年前倒しして進めてまいりました。県といたしましては、次期東三河振興ビジョンの下、関係市町村、経済団体等と連携、協働し、全庁挙げて、東三河の振興に強力に取り組んでまいります。よろしくお願いいたします。 9: ◯議長坂田憲治君) 進行いたします。  高橋正子議員。     〔九十一番高橋正子君登壇〕(拍手) 10: ◯九十一番(高橋正子君) それでは、通告いたしました二項目について、順次質問をいたします。  初めに、東京一極集中に陰りが見え始めた中での本県の移住定住促進策についてであります。  新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、二十年以上にわたり、あらゆる政策の力でさえも止めることのできなかった人口の東京一極集中は、コロナ禍にさらされたこの一年半で、あっけなく流出に転じました。  内閣府が二〇二一年六月に発表した新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査によると、東京二十三区に住む若い世代の五割近くが、地方移住に関心を持っているという結果に、今こそ東京一極集中を是正し、愛知への人の流れをつくるチャンスの到来だと感じます。愛知の強みや魅力など、住みやすさを大いに発信し、地方移住に関心を持つ人のための就業の機会の提供や、さらに山や海の自然に恵まれた田舎暮らしの後押しなど、愛知へ移住、そのトレンドを加速させるための取組について、順次伺ってまいります。  国は、東京一極集中に歯止めをかけ、地方へのUIJターンを促そうと、東京二十三区に在住もしくは在勤する人が、地方に移住し、五年以上居住する意思があり、かつ県内企業の求人を紹介するマッチングサイトの掲載企業に一年以上継続して就職すれば、一世帯当たり百万円、単身の場合は六十万円の移住支援金を支給する、地方創生移住支援事業を二〇一九年度からスタートさせております。  この移住支援金は、国の地方創生推進交付金により支援するもので、国が二分の一、県と市町村が四分の一ずつ負担し、現在、全国四十三道府県、千二百五十二市町村で展開中であります。本県でも、全五十四市町村のうち、常滑市と大治町を除く五十二市町村で、うち名古屋市や春日井市、豊川市、刈谷市、犬山市など十七市町については、移住者の居住地と就業先が同一市町村であることを移住補助の要件としています。  家族連れで移住すれば、百万円を支給とは、心くすぐるフレーズですが、事業のスタート元年は、移住支援金の支給は、連続五年以上、東京二十三区に在住または通勤していることを要件に、移住支援金の交付は、全国で八十件に満たない結果でした。  そして、本県では、初年度の交付決定はゼロだったと聞いています。  地方公共団体からは、対象要件が厳し過ぎるとの声も上がり、国は、二〇二〇年度から、支援対象要件を緩和、拡大しました。例えば二〇二〇年度から、東京圏での在住、通勤期間は、連続五年以上から、直近十年間で通算五年以上に緩和されました。また、二〇二一年度からは、若者のUIJターンを促進するために、東京二十三区内の大学へ通学し、二十三区内の企業へ就職した者については、通学期間も対象期間に加算可能に、また、新型コロナウイルス感染症の拡大でクローズアップされたテレワーカーについても、東京圏在住の会社員が、本人の意思により地方移住して、引き続き業務をテレワークで実施する場合でも対象要件に加えると、仕切り直しです。  そこで、まず質問です。  本県のこの移住支援金制度は、二〇一九年度の支援交付ゼロでスタートしましたが、その後、移住対象者の要件も緩和されたことで、利用促進にもつながったと思います。これまでの移住支援金の実績はいかがでしょうか。  次に、移住の受皿となるマッチングサイト企業、掲載企業についてです。  本県当局にお聞きしたところ、移住支援金対象事業企業数は、二〇一九年度末時点が百八十八事業者で、求人数五百十五件、二〇二〇年度末時点は三百十事業者、七百十四件、二〇二一年度は、八月末現在で三百七十五事業者、八百十四件で、着実に増えていることは評価できます。そして、二〇二一年度の対象事業者を事業別割合で見ると、一番多いのが製造業二三・七%で、次いで建設業二〇・三%、卸売業、小売業一四・四%と続きますが、ここで少し気になるのが、製造業と建設業で全体の四四%を占めていることです。  それは、モノづくり産業県愛知としては当然のこととは思いますが、頭をよぎるのが、本県の特徴で、長年の懸案である、若い二十代女性の東京圏への流出問題であります。本県は、製造業の雇用機会は豊富でも、女性が働きたいと希望する三次産業関連の雇用機会が少ないことが、若い女性の東京流出に拍車をかける一つの要因だと言われています。若い女性のUIJターンを促進するためにも、マッチングサイトでの業種の幅を広げていくことも必要だと思います。  この移住支援事業は、二〇二四年度までの時限事業と、今年度は三年目の折り返しになります。  そこで、移住支援金制度の課題を精査し、この制度を活用して、さらに一人でも多く本県へと移り住んでいただける方を増やすための取組について伺います。  さて、一九九〇年代までは、田舎暮らしというと、老後に悠々自適の暮らしを望むシニア世代が大半でした。それが、二〇〇〇年代に入り、地域おこし協力隊や、空き家を活用する空き家バンク制度が登場し、若い層が田舎暮らしもいいかもと反応し始めたことで、今では、幅広い年代層が地方移住のキーワード、田舎暮らしに関心を寄せられるようになりました。  本県では、新型コロナウイルス感染症の拡大などによる首都圏在住者の地方暮らしへの関心の高まりを、三河山間地域、離島地域にも波及させたいと、二〇二一年四月から、東京都千代田区有楽町のふるさと回帰支援センターに愛知県単独の相談ブースを新設しました。同センターに、道府県では四十二番目の開設になるそうです。  三河山間地域、離島地域への移住相談に対応するため、これまでのカタログ中心の愛知県ブースではなく、専属の相談員を常駐させ、首都圏における移住定住に関する相談体制を充実させたところです。しかし、開設早々コロナ禍で、度重なる緊急事態宣言の発出により、窓口の閉鎖や対面相談の中止など、相談業務は縮小傾向で、少々出ばなをくじかれた状況にあることは否めません。相談員は長年愛知県に住み、本県の魅力に精通されている名古屋の放送局出身の方とお伺いしており、愛知県内や三河山間地域、離島地域の魅力を、首都圏の方に、よりダイレクトに伝えていただけるものと思います。  そこでお尋ねいたします。  コロナ禍で地方移住、その中でも田舎暮らしに関心が寄せられる中、首都圏から三河山間地域、離島地域への移住促進を図るため、新しくスタートを切ったふるさと回帰支援センターを活用した今後の取組について伺います。  さらに、コロナ禍で脚光を浴びている新しい働き方、ワーケーションという言葉を頻繁に耳にするようになりました。ワーケーションとは、ワーク、仕事とバケーション、休暇の造語で、国内外のリゾート地や帰省先、休暇中の旅先に長期滞在して、パソコンなどを使って仕事をするテレワークのことを言います。  本県では、今年度、新たなライフスタイルへの対応と働き方が見直される中で、三河山間地域において、テレワークやワーケーションを促進、誘致するためのマーケティング調査を実施しているとのことですが、今後、調査の結果をどのように生かしていくのかお伺いいたします。  質問の最後は、PR戦略についてです。  本県は、山や海などの豊かな自然に恵まれ、車でも、鉄道でも、飛行機でも、全国どこへでも行きやすい抜群のアクセスに、何よりも日本一の産業県として、安定した経済基盤があります。加えて、生活コストの安さ、職住近接で働きやすい分、余暇など自分の時間を大切に、ライフスタイルも充実できると愛知の魅力を上げれば、あれも、これも。  それなのに、過去には名古屋市が行った国内主要八都市を対象にした独自調査で、訪れたいまちのワーストとなったことを、とある週刊誌でやゆされました。これを発端に、名古屋市は、行きたくないまちナンバーワンの自虐的PRを行いましたが、愛知県は「住みやすさは愛知が一番!」と、東京や大阪と比較して、いかに愛知が住みやすいか、反転攻勢に出たのが二〇一七年のことです。これから居住地を選択していく東京圏の大学生や若い女性などを中心に、働くなら愛知、住むなら愛知と、愛知の住みやすさ発信事業をスタートさせました。  本県が住みやすさをPRして、移住を促すその背景には、本県の若者層、特に二十代の女性を中心に東京圏への転出増が止まらない実情があります。今でも二十~三十代の女性は、男性より約一割少なく、このまま男女のバランスが崩れていくと、人口減が加速しかねません。  本県では、東京と愛知のどちらが住みやすいかを対比して、移住促進を図ってきました。例えば愛知は、職場と住居も近く、平均的な通勤時間は東京より三十分以上短い。住宅地は平均地価が東京の三割以下と、マイホームを持ちやすく、民間賃貸住宅の家賃は東京の六割以下、物価は安く、住環境も抜群と、愛知の魅力を羅列しています。これまで、パンフレットにウェブページ、SNSで、学生や若年女性、ファミリー層向けに愛知の住みやすさの情報発信を行い、昨年度は、SNSで影響力を持つインフルエンサーを新たに起用したところです。愛知の住みやすさ発信サイトでは、若い層に関心を持ってもらえるよう、愛知でのライフスタイルを提案するPR動画も発信してきました。  さて、移住への関心度はアップしたのでしょうか。  私は、愛知の住みやすさを若い女性をターゲットに発信することはもちろん重要だと思いますが、それと同様に、愛知県が子育てしやすい県であることを、もっとファミリー層にも伝えていただきたいと思っています。  例えば二〇二〇年の調査によると、二〇一五年に比べて、本県内の五十四市町村のうち三十二市町村で、人口が増加しています。合計特出生率も、政府が目標とする希望出生率一・八を二〇一三~一七年時点で達成した自治体が、全国千七百四十一市町村のうち百四十四ある中で、本県には大府市の一・九三を筆頭に、五・五%に当たる八市町村あること、そして、二〇一九年度の個人住民税を二〇〇九年度と比べると、愛知では税収が増えた市町村が六五%を占め、区画整理で生まれた住宅に流入し、充実した支援で子育て世代を呼び込み、税収を増やした例が目立つということ。  要するに本県では、住民税増収を子育て世帯が押し上げている自治体が増えており、言い換えれば、移住の条件で重視される子育てしやすい県だということを、さらに東京圏をはじめ、県外に発信していただきたく、要望をしておきます。  そこで質問です。  二〇一七年度からの愛知の住みやすさ発信事業も、今年で五年目となります。これまで、愛知の住みやすさをPRしてきた手応えはいかがでしょうか。  また、今般の新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえ、本県として、今後、愛知の住みやすさ発信をどのように進めていくのか伺います。  さて、これまでの国や自治体の移住政策は、東京圏の地方出身者を呼び戻すのが主体でした。しかし、新型コロナ感染症拡大を機に、東京を離れたいと考える東京出身者の地方移住希望も増加傾向にあります。ぜひ移住先の選択肢に愛知県を加えていただきたいものです。  今、地方への移住スタイルも、移住の要件も多様化しています。ですから、移住に関する知りたい情報もいろいろです。例えばテレワーク移住を考えている、田舎暮らしで、農業に取り組みたい、仕事の求人情報が知りたい、空き家を探したい、そのほかにも県内各市町村の情報が知りたい、ワーケーションできるところを探している、はたまた地方移住を検討したいけれども、即行動は不安なので、お試しで移住体験できる先はないかなど、幅広い移住ニーズに応えるとしたら。  そこで質問です。  コロナ禍で地方移住に関心が高まる中、本県への移住を促進していくための施策をどのように推進していくのか、伺います。  次の質問項目に移ります。  男性DV被害者が増加する現状下における本県の相談支援についてです。  警察庁の発表によると、令和二年に、全国の警察に寄せられたドメスティック・バイオレンス(DV)の相談や通報などは八万二千六百四十三件で、前年比四百三十六件の増、平成十三年のDV防止法施行以降、過去最多を更新しました。新型コロナウイルス感染拡大により、在宅期間が増えていることで、家庭内暴力が潜在化している可能性があると分析されています。  一般的に家庭内暴力や配偶者間暴力と言われるDVは、女性が被害者として語られることが多いですが、今、男性DV被害者は増加傾向にあり、令和二年は、男性二三・六%、三年連続で二割を超えているそうです。  では、本県の配偶者、妻からの暴力事案等の取扱いについて、男性被害者の件数を愛知県警に聞いてみました。  それによると、今から十五年前の平成十八年の本県のDV相談件数は、全体で千百八十二件、その九九・六%が女性の被害者でしたが、男性の被害者も〇・四%に当たる五件ありました。それが、十年後の平成二十八年には、DV相談等件数は、三倍の三千五百六十五件となり、うち男性被害者は、平成十八年の百倍に当たる五百五件に、さらに平成三十年には、男性被害者は千件を超え、令和元年には千三百五十三件と過去最多に。この年は、本県警察の全DV相談等件数は四千六百十五件と過去最多を更新しており、男性被害件数も比例して増加しています。三割に迫る過去最多を記録した年でした。実に平成十八年の五件から、この十五年間で、男性被害者件数は二百七十倍に跳ね上がったことになります。  この傾向について、愛知県警察に聞いてみると、夫婦間のトラブル事案については、取り返しのつかない事件に発展するケースもあるとして、抑止の観点から、事案の軽重や被害者の性別を問わず、幅広くかつ積極的に介入し、相談などへの対応に当たっているなどが要因ではないかとのことでした。  妻から夫へのDVは、殴る、蹴るの身体的暴力もあれば、心ない言動によって相手の心を傷つけたり、完全に無視したり、行動を制限したりの精神面での暴力と様々です。男性DV被害者に共通する課題は、暴力被害を受けている当事者の男性が、恥ずかしくて、誰にも言えない。勇気を出して周囲の人に打ち明けたとしても、信じてもらえない。ちゃかされて、終わってしまうという、男性が抱えている特有の意識、言えない現実がそこにはあります。  男子は強くなくてはならない、男のくせに情けないといったジェンダーバイアス(固定的観念)が、配偶者からの暴言、暴力を潜在化させていますが、内閣府が令和二年度に実施した男女間における暴力に関する調査でも、男性被害者の約六割が、誰にも相談しなかったと答えていることからも分かります。配偶者から暴言、暴力を受けている男性被害者は、自分さえ我慢すればいいと、心がぎりぎりの状態になるまで被害を隠し通そうとする傾向にあるため、その間にPTSDの症状が深刻化、最悪の場合は自殺や殺傷事件に発展するケースもあり、今、警察でも、自治体でも、この男性DV被害者の増加を軽視せず、相談窓口へ足を運ぶことへの積極的な働きかけをしています。  本県でも、平成三十年十月二十七日に、配偶者、パートナーから暴言、暴力を受けている男性の相談窓口、愛知県男性DV被害者ホットラインを、全国で五番目に開設しました。毎週土曜日の午後一時から午後四時まで、男性臨床心理士が電話相談に乗っています。  そこで質問です。  今年で、開設から丸三年を迎えることとなる愛知県男性DV被害者ホットラインのこれまでの相談実績と、事業の課題についてお伺いいたします。  この男性DV被害者ホットラインは、孤立感の中で、なかなか周囲に理解してもらえない現実を受け止めてくれる駆け込み寺です。本県では、県ホームページのほか、毎年、四万枚を超える男性DV被害者ホットラインのPRカードを作成、県内五十四市町村などに配布をしているそうですが、まだまだ存在が周知されているかは疑問です。  そこで、一つの提案ですが、毎年十一月十九日は、国際男性デーであることを御存じでしょうか。  男性の健康に目を向け、ジェンダー(社会的性差)の平等を促す目的に、一九九九年、カリブ海の島国、トリニダード・トバゴで始まったと言われています。  日本では、三月八日の国際女性デーは随分知られるようになりましたが、十一月十九日の国際男性デーはほとんど知られていません。ただ、全国各地で、この日を男性の生きづらさを考えようという日にしようということで、ジェンダー関係の改善を目的としたイベントも開催されています。今後、この国際男性デーをもっと広めていこうとの動きもあるようですので、例えばこの日に合わせて、男性DV被害者ホットラインのPRをすれば、より効果的ではないかと思います。  そこで質問です。  本県では、これまでも男性DV被害者ホットラインのPRをしておられますが、PRを集中的に行う期間を定め、重点的にホットラインのPRを展開されてはいかがでしょうか、県の見解をお聞かせください。  以上、二項目にわたり質問してまいりました。当局の明快な答弁を期待し、質問を終わります。御清聴、ありがとうございました。(拍手) 11: ◯労働局長橋本礼子君) 本県の移住定住促進策のうち、移住支援金制度についてお答えいたします。  移住支援金の実績につきましては、事業初年度であります二〇一九年度は、マッチングサイトの開設準備や市町村との調整に時間を要したため、制度の周知期間が十分確保できなかったことや、マッチングサイトの掲載求人数が少なかったことなどにより、年度内の支給実績はございませんでした。  そのため、東京に設置するあいちUIJターン支援センターにおきまして、一層の制度周知に努めるとともに、掲載求人を増やしていく中で、支給人員も増えてきておりまして、二〇二〇年度には六名に支給し、今年度は、八月末現在で五名への支給が決定しております。  この十一名につきましては、移住して、就職した方が九名、起業した方が一名、本年度から支給要件に追加されたテレワーカーが一名という内訳になっております。  また、移住先の市町村の内訳といたしましては、名古屋市に七名、一宮市、豊田市、西尾市及び清須市に、それぞれ一名となっております。  次に、移住支援金の活用を促進するための取組についてお答えいたします。  一人でも多くの方に活用していただくためには、この制度の内容や本県の魅力を伝える情報発信力を強化するとともに、マッチングサイトの掲載求人を数多く確保することが必要であると考えております。  情報発信力の強化につきましては、あいちUIJターン支援センターにおきまして、LINEやツイッターなどのSNSを積極的に活用するとともに、新たな取組といたしまして、本年八月から、名古屋よしもとに所属する芸人が、市町村の魅力を紹介するユーチューブ動画の配信を開始したところでございます。現在、十五の市町村動画を配信しており、今後も順次追加し、愛知に住み、働くことの魅力を、幅広い年齢層にアピールしてまいります。  求人の確保につきましては、求職者一人一人のニーズに対応できるよう、多様な業種や職種の求人をバランスよく増やしていくとともに、女性からの希望の多い事務職の求人を一件でも多く開拓してまいりたいと考えております。  一方、今年度から制度の対象となりましたテレワークにつきましては、移住に際し、就職や転職を伴わないことから、直接的に県内企業の人材確保につながらないのではないかという声もございます。テレワーカーが本県の住みやすさや働きやすさを実際に体験することで、本県の魅力を、他の東京圏の在住、在勤の方にお伝えいただける効果が見込まれております。さらに、魅力的な県内企業の存在を身近に感じていただくことで、将来的な県内企業への転職といった人材確保にも結びつくのではないかと、そういう効果が期待されることから、引き続き、本制度の積極的な利用を促してまいりたいと考えております。 12: ◯総務局長林全宏君) ふるさと回帰支援センターを活用した今後の取組についてお答えいたします。  近年、若い世代を中心に、都市部から地方へ移住しようとする潮流が、新型コロナウイルス感染症の拡大等の影響からより一層強まっております。東京都有楽町にあるふるさと回帰支援センターにも、移住に関する様々な相談が数多く寄せられており、センターへの問合せ、来訪件数は、二〇〇八年度が二千九百一件であったのに対し、二〇二〇年度は四万七百二十九件もの問合せ、来訪があるなど、地方暮らし、移住に向けた情報へのニーズの高まりが見られます。  これまでも、県としては、都内主要駅にあるデジタルサイネージを活用したプロモーションや移住フェアへの出展など広報活動を中心に実施してきましたが、こうした首都圏から地方への移住の関心の高まりを受け、きめ細やかな移住に関する相談を行うため、今年度から新たに、同センターに専属相談員を配置いたしました。本県に精通した専属相談員が、潜在的な三河山間地域、離島地域への移住希望者、移住関心層を掘り起こすとともに、相談者の個別ニーズに合わせた地域の情報提供や、市町村と密接に連携した相談を行っております。  また、今後は、同センターにおいて、移住相談会やセミナーを開催するとともに、当地域の市町村にもイベント等に参加いただくなど、県と市町村が連携、協力しながら、さらなる情報発信に努め、首都圏から三河山間地域、離島地域への移住促進につなげてまいりたいと考えております。  次に、三河山間地域におけるテレワーク、ワーケーションのマーケティング調査結果の活用についてお答えいたします。  新型コロナウイルス感染症の拡大等による働き方の変化により、テレワークやワーケーションへの関心が高まっています。内閣府の調査によれば、二〇二一年四月から五月に、何らかの形でテレワークを実施している方の割合が、全国では約三一%、東京都二十三区では約五四%となり、ワーケーションについても、就業者の約三四%、このうち二十代では約五〇%が実施したいと回答するなど、高い関心が示されております。  こうした中、本県では、あいち山村振興ビジョン二〇二五の中で、三河山間地域におけるテレワーク、ワーケーションの促進誘致を主な取組事項に上げ、今年度、当地域の特徴を生かしたワーケーション等についてのマーケティング調査を実施しております。具体的には、東海三県の企業二千社、個人千人を対象としたアンケートにより、テレワーク、ワーケーションに関するニーズや、三河山間地域での実施可能性などを調査しております。  今後は、このマーケティング調査結果の分析や課題の整理等を進めつつ、先導事業として、モニターツアーや施設の環境整備等による実証実験を並行して行い、三河山間地域の特徴を生かしたテレワーク、ワーケーションの推進に取り組んでまいります。 13: ◯政策企画局長沼澤弘平君) 愛知の住みやすさ発信事業について、これまでの手応えと、今後どのように進めていくかについてお答えいたします。  本県は、これまで、主に若年層をターゲットして、ウェブの愛知の住みやすさ発信サイトや、PRパンフレット、愛知に住みたくなるBOOKによる情報発信のほか、懇談会形式によるPRイベントの開催、民間情報サイトへの広告記事の掲載、SNSを活用したフォトコンテストなど、様々な手法を用いて、愛知の住みやすさを発信してまいりました。  とりわけ二〇一八年度から三年間、東京圏在住の若年女性等をターゲットに毎年実施してきたPRイベントは、常に満足度が高く、参加者アンケートで、愛知県への関心が高まったなど、好意的な回答を毎回数多くいただいております。  また、本県の風景やモノ、人などの写真をSNSに投稿するフォトコンテストは、二〇一八年度に約二千件であった応募総数が、昨年度は約七千件へ、大幅に増加いたしました。  これらの事業を通じて、愛知県への関心は徐々に高まってきているものと認識しております。
     次に、愛知の住みやすさの今後の発信につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の状況の踏まえ、今年度から、特にオンラインによる情報発信を強化いたします。具体的には、若年層に愛知の住みやすさを分かりやすく伝える漫画動画を作成して、動画サイトで配信します。  また、より幅広い層の方々の認知度向上を目指して、愛知の住みやすさ発信サイトを楽しく御覧いただけるよう、自分に合った愛知のライフスタイル診断コーナーの新設や、検索順位を上げるための改修などを行います。  愛知の住みやすさについて、今後も引き続き効果的な発信に努めてまいります。  次に、本県の移住施策をどのように推進していくかについてであります。  本県では、移住、定住の促進に係る施策につきまして、第二期愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略の基本目標の一つ、人の流れづくりに位置づけ、関係各局で交流人口や関係人口の拡大による移住促進、UIJターン希望者と県内企業のマッチング支援などの事業を進めております。  これらの事業については、毎年度、有識者等で構成する愛知県まち・ひと・しごと創生総合戦略推進会議において、達成状況等を踏まえて御意見をいただき、検証を行いながら、施策の着実な推進を図っております。  また、本県は、都市部から山間地域や離島まで、移住を考える方々の希望に応えられる多様な地域を要しており、各市町村においては、それぞれの特色を生かした移住に関する取組が行われております。  そこで、県と市町村で行っている移住に関する取組を効果的に発信し、本県への移住促進につなげるため、愛知の住みやすさ発信サイト内に、それらの情報を一元的に発信するポータルサイトを新たに設けることといたしました。  ポータルサイトでは、移住に興味や関心のある方々が、仕事や住まい・暮らし、結婚・子育てなどのカテゴリー別に、県や市町村ごとの様々な施策にアクセスできるよう工夫してまいります。  これからも、こうした取組を通じて、関係各局や県内市町村としっかり連携しながら、感染症を契機とした地方移住への関心の高まりを、本県への移住につなげてまいります。 14: ◯福祉局長岡本範重君) 愛知県男性DV被害者ホットラインの相談実績と事業の課題についてお答えいたします。  本県では、二〇一八年三月に策定した第四次愛知県配偶者からの暴力防止及び被害者支援基本計画において、安心して相談できる体制の整備を重点目標の一つに位置づけ、同年十月には、DV被害や人間関係等に悩む男性が、気軽に安心して相談できるよう、男性DV被害者ホットラインを開設し、相談の内容に応じて、弁護士の紹介や心療内科への受診へつなげております。  ホットラインの相談実績といたしましては、DV以外の相談を含め、開設した初年度である二〇一八年度が、半年間で十八件、二〇一九年度が四十件、二〇二〇年度が五十二件で、そのうちDV相談件数は、初年度である二〇一八年度が十件、二〇一九年度が二十九件、二〇二〇年度も二十九件となっております。このようにDV相談件数は横ばいで推移しており、ホットラインの認知度の向上が事業の課題と考えております。  また、二〇二〇年度の内閣府の調査によりますと、DV被害者のうち、どこにも相談しなかったと答えた割合は、男性は約六割と、女性の約四割と比較しても多くなっていることから、男性はDV被害を相談しづらいという課題もあると推測されます。  次に、ホットラインのPRについてお答えいたします。  男性DV被害者が、気軽に安心してこのホットラインに相談できるよう、効果的な事業PRを実施し、認知度の向上を図っていくことが重要であると考えております。  そこで、今年度は、国際男性デーや、国が主唱する女性に対する暴力をなくす運動が行われる十一月に、このホットラインの周知カードの配布等を重点的に行ってまいります。周知カードの配布枚数については、昨年度の約四万枚から、今年度は二倍以上となる約十万枚とするとともに、配布先は、これまでの市町村やスーパーだけでなく、新たにコンビニエンスストアを加えてまいります。  また、カードの配布に当たっては、配布先の案内窓口やサービスコーナーのみでなく、男性トイレ等でのカードの配置など、相談したい男性が周りの方々に気兼ねなくカードが手に取れるような配慮についても、配布先にお願いをしてまいります。  さらに、十一月に開催する市町村DV相談職員研修会において、男性DV被害者の状況について周知するとともに、ホットラインに係るチラシを配布するなど、事業のPRを幅広く行ってまいります。  今後とも、このホットラインの周知を推進していくとともに、誰もが、配偶者の暴力について相談しやすい環境づくりに努めてまいります。 15: ◯知事大村秀章君) 高橋正子議員の質問のうち、移住施策の推進につきまして、私からもお答えをいたします。  その前に、マスクは不織マスクでございますが、スーツは一宮の尾州のスーツでございます。また、靴も、一宮の毛織屋さんの靴でございます。  失礼いたしました。  答弁に戻ります。  移住施策の推進でございます。  若者が全国から東京に集まる東京一極集中は、日本全体の人口減少に拍車をかけるものであると言わざるを得ません。  そこで、本県は、製造業を中心とする日本一の産業県でありまして、全体では転入のほうが多くなっておりますが、東京圏に対しては、逆に転出のほうが多く、特にとりわけ若年女性の転出超過が顕著となっております。特に二十前後、また二十代前半の進学とか、就職期の女性の転出が特に多いというデータとなっております。移住施策の推進につきましては、こうした状況を踏まえて対応していく必要があります。  このため、本県では、特に若年層をターゲットとした愛知の住みやすさの発信や、女性の活躍促進、交流人口や関係人口の拡大、UIJターンの希望者への就労支援などを行い、移住の促進を図ってまいりました。  そうした中で、昨年来の新型コロナウイルス感染拡大を背景として、テレワークが普及するとともに、東京圏の方々の地方移住への関心も高まるなど、東京一極集中の流れには変化が現れてきております。  そこで、この機を捉えて、愛知の住みやすさの発信を充実させるとともに、さらに、本県と県内市町村の様々な取組の連携を図りながら、移住を促進する施策を進めてまいります。  今後も、日本一元気で、すべての人が輝く、住みやすい愛知を目指して、東京一極集中にストップをかけて、日本の発展をリードしていけるよう、しっかりと取り組んでまいります。 16: ◯九十一番(高橋正子君) 移住促進策、男性DV被害者の相談支援、それぞれに局長から、また、移住促進策のほうについては知事からも、前向きな御答弁をいただきまして、ありがとうございました。  私からは、確認の意味で、一点要望させていただきたいと思います。  今、コロナ移住とか、テレワーク移住とか、そんな言葉も登場していますけれども、移住を考え始めた人が、まず初めに頼りにするのは、やはり自治体が立ち上げている公式サイトだと思います。  本県でしたら、先ほどから話に出ています愛知の住みやすさ発信サイトに当たりますけれども、政策企画局長からは、愛知の住みやすさ発信サイトの中に、移住促進につなげるための情報を一元的に発信するポータルサイトを新たに設けると発言がありました。今までそういったものはなかったと思いますので、大変期待しております。  あと、できれば、愛知のその住みやすさ発信サイトを検索しても、なかなか行き当たらない部分があるものですから、できれば愛知、移住で検索すれば、すぐその住みやすさ発信サイトがイの一番に登場するぐらいにしていただけたらいいなということを思います。  続いて、男性DV被害者の相談支援についてです。  今回、私がなぜこの質問をしたかといいますと、あるフェイスブックの投稿で、私の地元の一宮の一宮市役所の男性トイレに、毎年、ある時期になると、男性DV被害者の男性の皆様ということで、相談のホットラインのカードが男性トイレに置かれるそうです。二年続けて置かれているということで、そのカードを見ていると、知らない間に少しずつ減っていって、最後にはラックだけになるそうです。二年続けてそうだそうです。いたずらで持っていくというふうでもないようでありました。  その投稿に対して、またある方が、いやいや、うちの近くの大型ショッピングモールのインフォメーションコーナーにもそのカードはあるけれども、誰も持っていっているような雰囲気はないよという書き込みがしてありました。恐らくその大型ショッピングモールのインフォメーションのコーナーではなくて、例えば男性トイレとか、こそっと手を伸ばせるところにあれば、もしかしたらカードは減っていくんではないかなというふうに思いました。  この問題のキーワードは、やはりこそっということだと思います。  福祉局長の答弁の中で、PRカードも増刷して、配布場所も、トイレなど工夫を凝らすという答弁はありましたけれども、四万一千五百枚、今作っていらっしゃるのを、一気に十万枚ということですので、すごいなということで、質問して、私自身が大分驚いております。  それで、男性DV被害者ホットラインのPRを、ぜひ十一月十九日の国際男性デーに引っかけてはいかがですかということで提案させていただきましたけれども、やはり悩んでいるのは、あなただけじゃないということ、男性も弱音を吐いてもいいんだよということを、オープンに相談窓口に背中を押してあげられるのはそういったきっかけだと思いますので、その十一月十九日の国際男性デーにちなんで、イベントとか、働きかけをしていくという御答弁でしたので、ぜひそのようにしていただけたらありがたいと思います。  以上、終わります。ありがとうございました。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 17: ◯四十番(丹羽洋章君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 18: ◯議長坂田憲治君) 丹羽洋章議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 19: ◯議長坂田憲治君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午前十一時二十七分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後零時五十九分開議 20: ◯副議長近藤裕人君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  鈴木雅博議員。     〔二十七番鈴木雅博君登壇〕(拍手) 21: ◯二十七番(鈴木雅博君) 豊田市選出の鈴木雅博です。  通告に従い、四点お伺いさせていただきます。  一点目、盛土などの埋立て及び切土などの土採取規制の必要性についてお伺いいたします。  今年七月、静岡県熱海市で起きた大規模な土石流では、上流部にあった不適切な盛土が崩れて被害を拡大させたとして崩落した盛土を静岡県が分析したところ、業者が届け出た一・五倍の量の盛土だったと見られています。  静岡県は、届出を上回る規模の盛土が造成された背景に、県条例の規制や罰則が隣の神奈川県などの自治体に比べて緩く、また、交通の便がよいことから土砂が持ち込まれやすい可能性があったと見て、条例の改正を検討しています。  全国では、二十六都府県に盛土など土砂埋立てなどの規制に関する条例がありますが、現在、愛知県にはこのような条例がないため、砂防法や宅地造成等規制法、森林法などのほか、市町村の条例で土地利用が規制されていない場所では、許可なく盛土を造成できることになっています。  このような中、大村知事が熱海市での土砂災害発生後、いち早く本県においても土砂などの埋立てなどに関する規制について条例制定を含めて検討を始められたことは、大いに評価するものであり、崩壊リスクのある盛土が二千十九か所確認されている本県において、熱海市のような土砂災害を防ぐためにも早急な対策を望むところであります。  一方、土砂を搬入して埋立てなどをする盛土のほかに、本県では土砂を搬出して急勾配となった切土に伴う土砂の崩壊、流出などによる土砂災害も危惧されております。  私の地元、豊田市近隣においては、良質な砂利や粘土などが採掘され、また、静岡県同様に交通の便もよいため、悪質な業者による土砂の過剰採掘が後を絶ちません。  土砂などの採取には、埋立て同様に、砂防法、森林法などにおいて災害防止などの観点から一定の規制がなされていますが、その適用範囲や条件は限定されている上、悪質な業者は、届出以上に採掘した土砂などを販売することと、過剰採掘した場所に処分費を得て建設残土などを埋めることで二重の不当な利益を得ている現状があります。  このように、各種法令の規制がかかっているところでも過剰採掘されている実情があるほか、規制がかからないぎりぎりの面積などで計画され、過剰採掘によって急勾配な切土となった危険な現場も発生しています。  二〇一四年には、豊田市内で県の許可範囲を超える過剰な砂利採取によって近くの県道が崩落するおそれがあり、五十メートルにわたって通行止めとなる事案も発生しています。  県としても是正を指導していますが、指導に従って埋め戻しをしても不当な利益を得ることができる構図になっているため、歯止めになっているとは言い難く、現在でも県内八か所で過剰採掘、切土勾配などの指導中事案があり、規制の範囲外で危険となっている場所は、その数も正確には把握できておらず、家屋が隣接している場合は特に危険となっており、また、大雨などが降ったときには濁水の流出も発生し、県民生活の安全を脅かしております。  また、過剰採掘された土砂や埋め戻しに使われる建設残土は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の対象となる破棄物ではなく、また、汚染されていないものは土壌汚染対策法の対象外となっており、さらに、本県の県民の生活環境の保全等に関する条例の対象外でもあります。  このように、現行法では土砂などの過剰採掘、急勾配な切土の問題に対して十分に対応することができないため、土採取の規制に関する条例を制定している自治体もあり、全国で十四の都府県で条例制定済みとなっており、埋立てに関する条例制定済みの二十六都府県のうち十都県で土採取に関する条例が制定されております。特に近隣県の岐阜、静岡、三重は、全て埋立てと土採取に関する条例が制定済みとなっております。  このように、過剰採掘で不当な利益を得ることができる現状からすると、埋立ての規制のみでは、盛土などによる残土処分費が上昇すると、土採取に関する法令などの規制エリア外が多く、かつ、交通利便性のよい地域において土採取事業による過剰採掘を助長するおそれがあることから、土採取に関する規制も同時に検討する必要があると考えます。  そこでお尋ねいたします。  現在、県で検討している土砂などの埋立てなどに関する規制はどのようなものか。また、災害を防止し県民生活の安全を図る観点から、埋立ての規制だけでなく土採取に関する規制も同時に検討する必要があると考えますが、県の御所見をお伺いいたします。  二点目、愛知環状鉄道の経営見通しと県との連携による利用者増加についてお伺いいたします。  愛知環状鉄道、いわゆる愛環は、廃止対象となった国鉄岡多線を、愛知県が豊田市をはじめとする沿線四市と共に設立した第三セクター会社が路線を引き継いで誕生した鉄道であり、愛環による運営となってからは、関係者の不断の努力により利用者は徐々に増加し、二〇一九年度は千八百八十四万人と、会社発足当初の四倍にもなり、沿線地域の社会経済活動を支えるためにはなくてはならない鉄道となっています。  しかしながら、今、愛環は二つの大きな課題に直面しています。  一つ目は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響です。  感染拡大とともに企業ではテレワーク、大学ではオンライン授業やハイブリッド授業が導入され、また、日常生活においても不要不急の外出の自粛などが求められたことで、昨年度の愛環の利用者数は、二〇一九年度から三〇・三%減と大きく減少しました。このため、昨年度の売上げに当たる営業収益は、二〇一九年度から十五億四千万円減少し、三十三億四千万円と大幅な減収となりました。  その結果、昨年度の決算は、経常損益が前年度から十一億円減少し十億八千万円の赤字、当期純損益は前年度から十二億七千万円減少し十二億一千万円の赤字を計上しました。これは、開業以来最大の赤字であり、累積損益も九億一千万円の黒字から一気に二億九千万円の赤字に転落する、大変厳しい数字となっています。  また、本年度も七月までの利用者数が二〇一九年度比で二六・七%減と、大変厳しい状況が続いています。  二つ目の課題は、施設の老朽化です。  愛環の施設は、古いものでは旧国鉄岡多線時代に建設してから五十年以上が経過しています。会社においては、これまでも償却期間の短いものから順次、設備の更新がされてきましたが、今後は、償却期間の長い大規模な設備が対象となります。  例えば、五か所ある変電所のうち三か所は、いずれも設置後四十年近くが経過し、更新が待ったなしの状況です。また、路線延長四十五・三キロメートルのほぼ全区間が高架橋や盛土構造となっております。これまでにも、県や沿線市の支援を受け、緊急を要する高架橋コンクリート剥離落下への対応を順次行ってきましたが、こうした老朽化対策に終わりはなく、今後も継続した対応が求められるものです。  このように、愛環は、沿線地域の社会経済活動を支えるために不可欠な鉄道ですが、一方で維持コストは莫大であり、コロナによる減収と相まって大変厳しい状況となっています。  愛環が安定的な経営ができるよう、減少した利用者を取り戻すことに加え、将来にわたり鉄道施設の健全性を維持していくためには支援が不可欠であり、今こそ県のリーダーシップの下、沿線市と共に会社の経営にしっかりと関与していくことが求められています。  また、来年秋にはジブリパークが開業し、五エリア開業時には、モリコロパークに年間二百八十万人もの方々が県内外から来場されます。十六年前の愛・地球博では、尾張東部地域や三河地域、岐阜県、長野県などから多くの方々が愛環八草駅を利用しましたが、ジブリパーク開業後も、リニモ藤が丘駅と並んで重要なアクセスルートとなることが見込まれています。  ジブリパークのオープンは、愛・地球博以来の大きなインパクトとなり、地域の活性化に向けた起爆剤となることが期待されます。新型コロナウイルス感染症の影響で利用者が減少し苦境にあえぐ愛環にとっては、起死回生を図るチャンスになると考えます。  そこでお尋ねいたします。  施設の老朽化への対応を含めた愛知環状鉄道の今後の経営見通しについて、県としてどのように考えているのか、また、ジブリパークの開業効果を生かした周遊観光促進など、愛知環状鉄道の利用者を増加させる取組が重要と考えますが、県としてどのように取り組んでいくのか、県の御所見をお伺いいたします。  三点目、地域資源や新たな観光資源を活用した観光振興についてお伺いいたします。  日本国内のみならず、海外でも若者を中心に人気がある日本のアニメは、その市場規模が一兆円を超える日本が世界に誇るコンテンツであり、このアニメを新たな観光資源として捉えるアニメツーリズムが注目されています。  コンテンツツーリズムの一つであるアニメツーリズムは、作品の舞台となった地域や作者ゆかりのまち、作品と関連が深い施設など、聖地と呼ばれる場所を訪れることから聖地巡礼とも言われています。この聖地を紹介したホームページには約五千の聖地が登録され、愛知県は九十九か所が登録されており、これは全国第十二位で、また、訪れてみたい日本のアニメ聖地八十八では、愛知県は二件登録されています。  アニメツーリズムでは、ただ、その場所を訪れるだけでなく、作品を追体験しながら、その土地の歴史や文化、料理など、作品の世界観を共有することも目的となっていることから、宿泊や飲食、特産品の購入など、地域経済への波及効果が期待されています。  埼玉県久喜市が部隊となったアニメ、らき☆すたでは、テレビ放映以来の十年間での経済波及効果は約三十一億円、茨城県大洗町が舞台となったガールズ&パンツァーでは、経済波及効果は年間約七億円に及ぶとされています。  また、ゲゲゲの鬼太郎の作者、水木しげる氏の出身地である鳥取県境港市では、一九八九年から作品に登場する妖怪のオブジェを設置するなどして観光振興を行った結果、二〇〇七年に観光客数は百万人を超え、二〇一〇年には過去最高記録となる三百七十万人を記録しました。  このように地域に関連するアニメを観光資源とする取組が、経済波及効果や観光客の増加などに大きな影響を及ぼすようになっている中、本年十月から豊田市の小原地区が物語の重要な舞台となるアニメ、シキザクラのテレビ放送が開始されます。  この作品は、アニメの制作者が作品に登場させる場所を探すロケハンで小原を訪れた際に、シキザクラの美しい風景に感動したことから構想が膨らんだもので、紅葉と桜がともに咲き誇るシキザクラの地が特別な場所として描かれています。  物語の内容は、近未来の世界で人々を襲うオニと呼ばれる怪物と戦う高校生の成長を描くドラマであり、小原地区をはじめとする豊田市のほか、名古屋市、岡崎市、犬山市、田原市、美浜町などがロケ地として登場し、東海地方を舞台にストーリーが展開されていきます。  物語の重要な舞台となる小原地区では、小原観光協会が中心となり、アニメ、シキザクラを新たな観光資源として活用していくための様々な取組が進められており、九月二日には、アニメのヒロインを演じる豊田市出身の声優、茉白実歩さんや小原観光協会の関係者の皆さんが大村知事を表敬訪問し、アニメの放送開始とアニメとも連携した小原四季桜まつりの開催内容について報告されました。
     小原のシキザクラなど、既存の地域資源やアニメ、シキザクラ、スタジオジブリ作品などのアニメを新たな観光資源として活用した観光振興の取組には、地域の魅力を生かして観光を盛り上げ、また、アニメのロケ地誘致やライセンスビジネスを理解して観光需要の拡大と創造につなげていく人材が必要となっております。  このような中、二〇一九年度から県立足助高校において、観光地のノウハウでサービス業への就職を目指す観光ビジネス類型がスタートし、学校設定科目である観光では、足助を題材にし、企画力、情報発信力を身につける実践的な教育が行われていることは、観光を新たな産業として成長させようとしている本県にとって時宜を得た施策であり、さらなる発展を期待するところであります。  そこでお尋ねいたします。  アニメ、シキザクラなど、アニメや漫画を新たな観光資源として活用した観光振興について、どのように取り組んでいくのか、また、既存の地域資源やアニメなど新たな観光資源を活用した観光振興を推進していくために必要となる観光人材の確保、育成にどのように取り組んでいくのか、県の御所見をお伺いいたします。  四点目、豊田加茂総合庁舎についてお伺いいたします。  本県には、名古屋市にある三の丸庁舎、岡崎市にある西三河総合庁舎など八つの総合庁舎があり、そのうちの一つである豊田加茂総合庁舎は、豊田市役所の南側に位置し、西三河県民事務所防災安全課豊田加茂防災安全グループなど西三河県民事務所の一部の課やグループのほか、豊田加茂県税事務所及び豊田加茂農林水産事務所が入居しており、豊田加茂地域における県行政の拠点となっております。  この豊田加茂総合庁舎は、本館が一九六七年築で築後五十四年となり、県内八つの総合庁舎の中でも古い建物となっていることから、外壁や内壁の亀裂やひび割れ、廊下のタイルの剥がれなどが目立ち、また、本館のほかに一九八六年建築の本館の増築棟及び一九七五年建築の別館で構成されていることから、内部の動線が悪く、事務室の中を通らなければその先にいけないという不便な面もあります。  バリアフリーへの対応も不十分で、エレベーターがないだけでなく、各所に段差があったり、通路の幅が狭い上に曲がり角が多かったりと、来庁者にとっても職員にとっても優しい庁舎とは言えません。まさに庁舎内が迷路のようになっているため、来庁された方が目的の場所に行くまでに苦労されていると容易に推察されます。  さらに、災害時には豊田加茂総合庁舎にある西三河県民事務防災安全課の豊田加茂防災安全グループが管内の災害に対する情報収集、伝達、県本部との連絡調整、災害応急対策を実施するとともに管内自治体の支援などを行うことになりますが、庁舎が建つ場所は矢作川氾濫時の浸水想定区域内にあり、矢作川の氾濫で大規模な洪水となった場合、現在の庁舎では浸水時の活動が困難となることが危惧されます。  本県における庁舎などの老朽化対策については、施設が使用できる間はしっかり使用することを念頭に長寿命化を行うことを基本とし、二〇二一年三月に策定された愛知県庁舎等施設長寿命化計画において、豊田加茂総合庁舎は、二〇二一年度以降に長寿命化対策の実施を検討する施設と位置づけられております。  しかしながら、二〇一八年度に実施した長寿命化に向けた基本調査において、本館は、外壁のひび割れなど劣化している部分を初期に補修して適切に予防保全を実施すれば、二十年程度の残存耐用年数があると判断され、本館増築棟は、コンクリートの状態を定期的に観察し補修することにより、残存耐用年数は十五年、別館は、鉄筋の腐食を抑制する対策を講じ、本館の増築棟と同じように定期的な観察、補修を行うことで、残存耐用年数は十五年と判断されていることから、多額の費用をかけて長寿命化改修を行ったとしても、長期間の使用には耐えられないことが分かっております。  また、施設、設備は、全面的な更新が必要と判断された給排水管をはじめ、全体的に劣化が激しい状態であり、改修箇所が広範囲にわたり、さらには、動線の問題やバリアフリー対応など、構造上の課題も抱えたままとなってしまうおそれがあります。  豊田加茂総合庁舎建設の翌年である一九六八年に竣工した知多総合庁舎も老朽化が進む庁舎ですが、近隣にある知多福祉相談センターとの集約建て替えを行うことで、老朽化、狭隘化といった課題の解決を図るとのことであります。  豊田市にも、豊田加茂福祉相談センターがありますが、同センターは豊田市役所元城庁舎を借用しており、契約期限後の二〇二五年四月以降の移転先の検討が必要となっています。豊田加茂総合庁舎と豊田加茂福祉相談センターは距離的にも近いことから、知多総合庁舎と知多福祉相談センターの集約建て替えと同様に、両者を集約建て替えし、それぞれの課題解決を図ることが必要であると考えます。  そこでお尋ねいたします。  豊田加茂総合庁舎については、長寿命化改修でも耐用年数が残り少なく、また、構造上の問題も抱え、さらには、豊田加茂福祉相談センターの移転先の問題もあることから、豊田加茂福祉相談センターとの集約建て替えを行うべきであると考えますが、県の御所見をお伺いいたします。  以上、四点についてお伺いさせていただきました。理事者各位の明確な答弁を期待し、檀上からの質問を終わります。御清聴、ありがとうございました。(拍手) 22: ◯環境局長(岡田守人君) 県で検討している土砂の埋立て等に関する規制についてお答えいたします。  本県では、土砂による埋立てや盛土については、現在、砂防法、宅地造成等規制法などの個別法や一部の市町の条例で規定されておりますが、県全体での統一的な規制はありません。  また、土砂を搬出する際には、土壌汚染対策法に基づく有害物質による汚染に関する規制がありますが、埋立て等のために搬入する土砂については規制がありません。  このため、埋立地等で土砂の崩落などが発生した場合、土砂が飛散、流出し、周辺の生活環境に影響を及ぼす可能性があります。こうしたことから、本県における土砂の埋立て等に関する規制の在り方について、八月二十四日に愛知県環境審議会に諮問しました。  これを受けまして、八月二十六日に開催された同審議会総合政策部会において、埋立て等のために搬入される土砂に関する環境上の基準を定め、この基準に適合しない土砂の埋立て等を禁止することや、埋立地等からの土砂の崩落などによる飛散、流出を防止するため、一定規模以上の土砂の埋立て等について許可制とすることなどについて審議が開始されたところです。  今後、環境審議会からの答申を得て、土砂の埋立て等の規制に関する条例の制定等を視野に入れ、検討してまいりたいと考えております。 23: ◯都市交通局長森哲也君) 愛知環状鉄道に関するお尋ねのうち、初めに、今後の経営見通しについてであります。  愛知環状鉄道は、西三河から尾張北東部地域に連なる都市を結ぶとともに、JR東海道本線と中央本線に接続して、名古屋圏において環状機能を有する、本県にとって極めて重要な路線であります。  現在、愛知環状鉄道株式会社においては、一九八八年の開業以前から存在する国鉄時代の施設をはじめ、老朽化への対応が喫緊の課題となっており、変電所や信号保安設備など、今後十年間で約百八十億円規模の更新投資や大規模修繕に取り組む必要があります。  一方、鉄道収入に目を移しますと、沿線の大企業を中心に新型コロナウイルス感染症を契機に導入したテレワークを継続する動きがあるなど、利用者数はコロナ禍前まで回復しない見通しであります。  したがって、老朽化対策に必要な経費と利用者の減少による減収が重なることにより、今後、相当長期間に及び厳しい経営状況が続くものと考えております。  本県としては、この厳しい状況に対し早急に手を打つ必要があると考えており、鉄道高架下の活用による鉄道事業以外の収益の確保、施設の長寿命化や人件費、維持管理コストの削減など、あらゆる経営改善に向けた取組を会社に強く働きかけております。  その上で、更新投資や大規模修繕の計画的な実施に向け、本年七月、会社と共に国土交通省に対し、補助金の十分な確保を要望したところであります。  あわせて、沿線市と共に地域としてどのような支援ができるか検討し、愛知環状鉄道の安全、安定輸送を将来にわたって維持できるよう、しっかりと取り組んでまいります。  次に、利用者の増加に向けた取組についてであります。  利用者の増加に向けては、定期券利用者を増やすとともに、観光や買物など約半数を占める定期券以外の利用者の需要を掘り起こすことが重要と考えており、本県としては、来年秋に開業するジブリパークの来場者に愛知環状鉄道を利用していただく取組を重点的に進めてまいります。  具体的には、ジブリパークの開業により、県内外から多くの方が訪れることから、愛知環状鉄道八草駅を利用したルートをPRしてまいります。  また、徳川家康を主人公とする二〇二三年のNHK大河ドラマをきっかけに、岡崎城など関連の観光施設とジブリパークを併せて周遊するツアーの造成を旅行代理店や観光協会に働きかけてまいります。  このほか、ジブリパークを訪れる方に対し、豊田市美術館や瀬戸蔵ミュージアムなど沿線の観光施設を紹介するとともに、こうした施設とのタイアップによるスタンプラリーを開催するなど、沿線地域まで足を延ばしていただくための取組を展開してまいります。  さらに、ジブリパークの開業に合わせて提供を予定しているMaaSを活用して、経路検索のほか、沿線施設やイベントの情報を提供し、愛知環状鉄道利用者の利便性向上につなげてまいります。  今後とも、会社及び関係自治体と一丸となって、愛知環状鉄道の利用者の一層の増加に努めてまいります。 24: ◯観光コンベンション局長(武田光弘君) 地域資源や新たな観光資源を活用した観光振興のうち、初めに、アニメや漫画を活用した取組についてお答えします。  アニメや漫画を含む映像作品の舞台となった場所をファンが訪れる、いわゆる聖地巡礼は、地域に新たな観光コンテンツを生み出し、若者を中心に観光客の幅を広げていくための有効な手段であり、積極的に活用してまいりたいと考えております。  そのため、本県では、二〇一四年に愛知県フィルムコミッション協議会を設立し、アニメ、映画等の制作会社に対する現場での撮影支援やロケ地をPRして観光誘客につなげる取組を行っております。  アニメ、シキザクラは、豊田市の小原地区をはじめ、県内各地が物語の舞台として登場することから、ロケ地巡りマップを作成し、鉄道駅や映画館での配架をはじめ、観光イベントなどで広く配布するなど、アニメの発信力を生かした観光PRに取り組んでまいります。  今後とも、県内各地のフィルムコミッションや地元の市町村、観光協会などとも連携し、アニメや漫画を観光資源として活用していくことにより、本県を観光の目的地とする新たな顧客の開拓と周遊観光の促進につなげてまいります。  次に、観光人材の確保、育成に向けた取組についてお答えします。  本県では、地域が主体となり、地域資源を活用した旅行商品や体験プログラムを企画、運営する着地型観光の推進に向けた施策の一つとして、観光人材の確保、育成に取り組んでおります。  具体的には、観光による地域の活性化に関心のある方を広く募集し、参加者がグループを組み、アイデアを出し合いながら地域資源を活用した観光プログラムを作成するあいち観光まちづくりゼミを二〇一〇年度から開催しており、昨年度は七十一名が参加しました。  このゼミは、作成した観光プログラムの中から優れた企画を選び、モニターツアーを実施して参加者相互の意見交換を行い、有識者からアドバイスを受けるなど、実践的な内容となっております。  また、二〇一六年度からは、大学生や高校生など学生を対象に観光振興の取組に関するアイデアを募集し、優秀な提案を表彰するあいち学生観光まちづくりアワードを開催しており、昨年度は県内外から百三十五件の応募がありました。より多くの意欲ある若者が観光関連産業に就職し活躍する契機としてまいりたいと考えております。  こうした取組を通じて地域の観光の魅力を伝え、地域資源を活用した観光振興への関心を高めていくことで、本県の観光を担う人材の確保、育成を推進してまいります。 25: ◯総務局長林全宏君) 豊田加茂総合庁舎と豊田加茂福祉相談センターの集約建て替えについてお答えいたします。  豊田加茂総合庁舎は、議員お示しのとおり、老朽化への対応や県民の利便性の向上、矢作川氾濫時における防災拠点としての機能確保などが課題となっており、さらに、長寿命化改修工事を実施しても、おおむね十五年以内には建て替え検討が必要になることが判明しております。  また、豊田加茂福祉相談センターは、豊田市との現在の借用契約が期限を迎える二〇二五年四月以降の入居場所の確保が課題となっております。  こうしたことから、豊田加茂総合庁舎については、二〇一八年度の基本調査に基づいた長寿命化の検討に加え、今年度からは、豊田加茂福祉相談センターを集約した形での建て替えについても検討を行っております。  具体的には、豊田加茂総合庁舎及び豊田加茂福祉相談センターの現状と、それを踏まえた課題を整理した上で、課題の解決に向けた合理的な手法を検討するものであります。  総合庁舎は、県民サービス提供のための重要な施設でありますので、その役割を十分に果たすことができるよう、今年度の調査内容を踏まえ、建て替えを含めた検討を進めてまいります。 26: ◯知事大村秀章君) 鈴木雅博県議の質問のうち、私からは土採取に関する規制についてお答えをいたします。  その前に豊田市の関係のマスクが手元になかったものですから、これはトヨタ自動車ヴェルブリッツのラグビーのチームのマスクでございます。  それでは、土採取の規制です。  先ほど環境局長から答弁させていただきましたが、本県では現在、土砂の埋立て等について統一的な規制がないため、条例の制定等も視野に入れて検討を進めております。  一方で議員御指摘のとおり、不適正な土の採取に伴い急勾配の斜面が生じて放置された場合は崩落等が発生するおそれがあります。このため、土の採取に関する規制についても、その在り方を含めて、併せて検討をしてまいりたいと考えております。 27: ◯二十七番(鈴木雅博君) 二点、要望させていただきます。  一点目、大村知事より土砂埋立てに関する規制のほか、土採取に関する規制についても検討するとの力強く前向きな御答弁をいただき、心より感謝申し上げたいと思います。  悪質な業者による過剰な盛土や切土による土砂災害は、どこでも起こり得る災害でありますが、残念ながら現行法は過剰な盛土や切土を防ぐ十分な抑止力にはなっておらず、是正指導についても、必要な復旧措置が早急に取られる制度にはなっておりません。  本県における規制については、他の都府県の規制のように罰金などの罰則のほか、熱海市での土砂災害で議論になっている土地所有者の責任の明確化や事業者が速やかに是正措置をしない場合、行政が代わりに是正措置するための費用に充てる保証金の積立てなどを事業者に義務化するなど、災害の防止と県民生活の安全を図るため、実効性が高い内容にしていただくことを要望いたします。  二点目、愛知環状鉄道について、国においては交通政策基本法に基づき、令和三年度から令和七年度までの交通政策の基本的な方向性を示す第二次交通政策基本計画が策定されました。  この計画では、地域公共交通の維持、確保、MaaSやバリアフリー化の推進、公共交通、物流分野のデジタル化、徹底した安全・安心の確保などに多用な主体の連携、協調の下、あらゆる施策を総動員して取り組むこととされました。  とりわけ、施策の冒頭に地域公共交通の維持、確保が掲げられたのは、住民の足を守る重要性を国としても認識し、先頭に立って公共交通を維持、確保しようとの決意が示されております。  本県におかれましても、愛環の厳しい経営状況に鑑み、老朽化対策など、国の補助制度と協調した県独自の補助制度を創設することを強くお願い申し上げまして、私の質問を終わります。 28: ◯副議長近藤裕人君) 進行いたします。  加藤貴志議員。     〔十二番加藤貴志君登壇〕(拍手) 29: ◯十二番(加藤貴志君) 公明党豊田市選出加藤貴志です。通告に従い、順次四つのテーマについて質問いたします。  まず、一点目、がん患者支援の拡充とがん検診の広域化についてお伺いいたします。  万が一ではありません。二分の一です。日本人が一生のうちにがんと診断される確率です。過去四十年の間、国、本県における死亡要因第一位はがんです。本県における二〇一七年度のがん患者は四万九千九百人、うち十五歳から三十九歳のいわゆるAYA世代のがん患者数は千二百三十六人で、がん患者全体の二・五%、男女比では、男性三割、女性七割となっています。  昨年九月定例議会一般質問で取り上げた小児、AYA世代がん患者への支援策として、本県で、妊よう性温存治療費助成制度が本年スタートいたしました。  今回は、がん患者支援の拡充と、がんの予防、早期発見の一助となるがん検診の広域化についてお尋ねします。  がん患者支援の拡充の点で、アピアランス支援と在宅療養支援についてお伺いします。  抗がん剤治療等の副作用による脱毛や肌の黒ずみ、乳房切除などの外見の変化が、日常生活や社会生活に及ぼす影響として近年注目されるようになってきたアピアランス、いわゆる外見への支援についてです。  治療自体が重要視されるのはもちろんですが、一方、患者さんが引き続き人生に希望を持てる生活の質の向上もしっかりと考えられるべきという見方も出てきました。外見が及ぼす影響は大きく、外見の変化は、患者さんにとって苦痛や悩みにもなり得ます。ウィッグ、補正下着、人工乳房など、患者さんの生きる活力や自信につながる補正用具の役割は、決して小さくありません。  例えば、ウィッグは、男女問わずおしゃれ、トータルコーディネートを楽しむ上で、心理的にも重要なアイテムになるのではないでしょうか。  昨今、仕事と治療の両立が注目されるようになり、がん闘病中でも社会参加、勤労意欲を持たれている方も多くいます。また、社会へ旅立つ小児、AYA世代のがん患者さんは、とりわけ自身の将来と仕事に大きな不安を抱えています。  将来に自信を持ち、働き続けることができる環境整備は大切です。患者さんが積極的に社会参加でき、就労できるシステム構築は進めていくべきだと考えます。  しかし、治療の副作用による外見の変化が気になり一歩を踏み出しにくい人もいて、対策としての医療用ウィッグや乳房補正具などの補正用具などもありますが、安価ではなく、患者さんの負担も大きいのが実情です。大切なことは、患者さんのニーズ、さらには、真意に迫るウォンツを満たすことではないでしょうか。  ここでいうニーズとは、外に出てみたいな、働きたいな、おしゃれできたらなという漠然とした思い、ウォンツは、その思いを満たせる具体的な手段、医療用ウィッグやなどアピアランス支援という観点では具体性があります。  そこでお尋ねいたします。  自身の将来と仕事に不安を抱えるがん患者さんが、自信を持ち社会参加できる一助となる医療用ウィッグ等購入の助成や相談体制の充実など、アピアランス支援が重要だと考えますが、御所見をお伺いたします。  続いて、小児、AYA世代のがん患者在宅療養支援についてお聞きします。  平成三十年度の国の人生の最終段階における医療に関する意識調査によると、どこで最期を迎えたいかという問いに、末期がんで呼吸が不自由であるが痛みはなく意識、判断力は健康なときと同様の場合、自宅で最期を迎えたいという回答が七割を占めています。  その理由として、住み慣れた場所で最期を迎えたい、自分らしく好きなように過ごしたいなどがあります。また、医者、看護師、介護職員も、患者さんに自宅で最期を迎えることを勧めるという割合が過去に比べて大きくなっています。  一般的に介護費用は四十歳以上の場合、介護保険で一割から三割の自己負担となりますが、AYA世代のがん患者さんは介護保険が使えず、介護サービスは全額自己負担となります。  一方、小児の場合、小児慢性特定疾病の助成制度があります。しかし、その小児慢性特定疾病での助成は、基本、日常用具に対する助成で、訪問介護や訪問入浴などは対象外です。  実際、在宅療養する場合、福祉用具レンタルや訪問入浴、介護、住宅改修等、経済的負担は大きく、この点、第三期愛知県がん対策推進計画策定時のパブリックコメントを行った際の県民の意見の中にも、若年者の在宅療養の際の経済的負担に対する助成を望む声がありました。また、家族の経済的負担を懸念し在宅療養を避けるケースもあると聞いています。  そこで、二点お尋ねします。  前回二〇一七年十二月のパブリックコメントに対し県は、支援が十分でなく課題があると認識しているとのことでしたが、それからの四年間、どのような対策を取られてきたのか、お伺いします。  また、当事者、御家族が望ましい最期を迎えることができるよう、在宅療養に係る経済的な負担を減らす助成制度を整える必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。  次に、がん検診についてお聞きします。  新型コロナウイルス感染症の影響でがん検診の受診率低下という記事を目にしました。県は、がん検診受診率の向上へ長年様々な対策を行っていると思いますが、思うような成果が上がっていないというのが現状ではないでしょうか。  実は、地元住民から、がん検診を居住自治体外でも受診できたら便利、例えば、職場の近くでも受診可能になれば、受ける人も多くなるのではという御意見、御要望をいただきました。  がんは、早期発見、早期治療が肝です。県の計画では、市町村は検診実施機会の拡充、啓発、医療機関は受診機会の提供など、それぞれの役割を挙げ、各主体が連携をしながらがん検診の受診率向上を図ることとしています。  一方、受診者が受診をしない理由として、時間がない、タイミングが合わない、面倒くさいなどがあります。国もがん検診普及を重要視し、がん検診の在り方に関する検討会を立ち上げております。
     国が推奨する五種類のがん検診、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんに対し受診率五〇%という高いハードルを掲げている中、現状今までと同じ対策では、到達が容易ではないと思います。  次の段階として、受診利便性の向上、機会拡充など、新たな選択肢を市町村と連携してつくっていく必要があるのではないでしょうか。新型コロナウイルス感染症で今までの価値観、方法が劇的に変化したように、本件に関し革新性ある方法を検討してもらいたいと思います。  そこでお伺いします。  時間がない、タイミングが合わない、面倒というような思いを持っている対象者への対策として、がん検診を受診しやすくする方法も必要と考えています。受診利便性の向上、機会拡充などの選択肢として、例えば、勤務地近く、居住地以外での受診可能な個別、集団検診などの広域化も有効と考えるが、いかがでしょうか。御所見をお伺いいたします。  二点目、長期にわたる入院や自宅療養に伴って授業に参加することができない高校生に対する支援についてお伺いいたします。  病気の治療だけでも心身ともつらく、その上、進学、進級に不安があると未来への希望が持てなくなります。  県立高校では、二〇一四年度から長期療養中の生徒を対象に病院への訪問教育を実施してきましたが、現在は、コロナ禍で学校の先生が病院に入ることができなくなり、中断しています。  そこで、新たな支援の方法として、ICTを活用し、病室と教室をインターネットでつなぐ遠隔授業が注目されています。  本年七月、名古屋大学医学部付属病院の高橋義行先生と国立病院機構名古屋医療センターの堀部恵三先生が代表発起人となり、病気療養中の高校生のオンラインによる授業参加を実現する会を設立、私ども公明党県議団が仲介し、八月十一日に大村知事へ、オンラインによる授業参加に必要な機器の整備、県立大府特別支援学校を中心とした体制づくりなどを求める要望書を手渡しました。  その際、県立一宮高校三年生の今津樹音さんがオンラインで参加しました。彼は、中学二年生のときに小児がんを発症、吐き気など副作用と戦いながら院内学級で共に学ぶ友達と励まし合い、高校に合格。しかし、昨年、発熱や関節痛を伴う成人スチル病という難病を発症し、コロナ禍の中で学校へ通うことは困難になりました。  現在、学校と病院のサポートを受け、療養している自宅と教室をタブレット端末で同時双方向でつなぎ、自分が見たい方向にカメラを向けることができるタブレットスタンドを教室に置き、クラスメイトと同じ授業を受けています。  彼は、多くの方に支えていただいた感謝の気持ちを忘れず、笑顔で一日一日を大切にしていきたい、そして、もし大人になれたら、つらい思いをしている誰かの支えとなれるよう生きていきたいと大学への受験勉強に挑戦しています。  今津さんは、直接大村知事に、病気療養中でも進級や進学などの不安を感じることなく学校の授業が受けられるシステムを整備していただきたいと思いを伝えました。知事からも、病気療養中の高校生の学習機会の確保にしっかりと取り組んでいきたいと心強い言葉を返していただきました。  実現する会の先生方との懇談で見えてきた課題は、全て在籍校に委ねているという点です。県としての制度自体がなく、生徒や保護者、病院等への周知もなされていない。また、必要な機材も本人か病院が用意しています。これは学習機会の格差にもつながります。  私は、彼らの学びたいという気持ちをしっかりと受け止め、病気療養中であっても誰一人取り残さない学習機会の確保に、県として取り組むべきであると考えます。  そこでお伺いいたします。  今後、病気療養中の県立高校生がオンライン授業を受けるために必要なハードウエアをどのように整備していくのか、また、オンライン授業を円滑に実施するための体制づくりなどソフト面をどのように充実していくのか、教育長の御所見をお伺いいたします。  さらに、県立高校だけではなく、私立高校にはどのように取り組まれるのか、県民文化局長の御所見をお伺いいたします。  続きまして、三点目、次に性暴力への意識改革推進と他機関連携、トラウマインフォームドケアについてお伺いいたします。  先日公表された厚生労働省の調査結果によると、児童相談所が受けた相談件数が二〇年度は初めて二十万件を超え、そのうち六割を心理的虐待が占めたとのこと。注目すべきは、一九年度比でどの虐待が増加したかで、心理的虐待がプラス一一%、性的虐待プラス八%と他の身体的虐待、ネグレクトと比べ増加幅は大きくなっています。  国の令和四年度男女共同参画概算要求の中で、女性に対する暴力の根絶への予算が十七・六億円と、前年比五・六億円から三倍に増加し、特に二〇二〇年度から二二年度の三年間は、性犯罪・性暴力対策の集中強化期間とされ、様々な取組が行われています。また、県のあいち男女共同参画プラン二〇二五においても、性犯罪、性暴力の防止は重要な施策です。  様々な支援策の中で、一、教育、啓発活動を通じた社会の意識改革と暴力予防という観点で、教育現場、とりわけ児童生徒たちとの接点が多い教師に対する意識改革の推進、二、他の機関、多職種、多機関連携の観点で、特に多くの虐待相談の窓口となる児童相談所との連携、三、切れ目のない相談者支援の確立という観点で、中長期的な支援、特にトラウマへの対応に焦点を当てていきたいと思います。  愛知県は、性犯罪、性暴力被害者のワンストップ支援センターとして、ハートフルステーション・あいちと日本赤十字社の愛知医療センター名古屋第二病院に設置されている日赤なごや なごみ──以後、なごみと称します──と主に連携をし、対策に当たっています。  とりわけ、後者のなごみは、県からの委託でSANE(性暴力被害者支援看護職)の養成に力を入れており、SANEは、電話相談、心理的、法的、支援等、幅広いケースで力強い存在となっています。  そのなごみ、二〇一六年から二か月に一度のペースで院外の関係機関とも連携推進会議を行っており、県警察、教育委員会、児童相談所等、横断的な意見交換をされているとのことです。  冒頭に述べたように、虐待相談件数が毎年増加傾向にある中、被害者に寄り添うことができる大人の存在意義は、今後さらに大きくなっていくと考えられます。  性暴力は、見知らぬ大人から子供へ、顔見知り、あるいは家族や親せきからとか、子供同士で行われる場合もあります。  万が一、性被害に遭った児童生徒にとり、相談相手として養護教諭や信頼のおける教師の存在は大きいと思います。親にはなかなか言えないという場合もあると考えられます。  大切なのは、相談を受けた教師が寄り添う対処法を知っておくことではないでしょうか。その対応が当事者への二次被害を生まないようにしなくてはなりません。性暴力被害が低年齢化、発症要因の複雑化、危険性も増している中、そもそも性暴力は何かという教育、啓発が今まで以上に重要になってきていると思います。  そこでお尋ねします。  性暴力を受けた児童へ対応する場合、教師による対処法を含め、そもそも性暴力に対する基礎知識をしっかりと持った上での対応が重要と考えます。  そのため、教師へ性暴力に対する知識を備えるための取組が必要と思われますが、教育長の御所見をお伺いいたします。  冒頭にも述べましたが、性暴力対策には様々な機関が関わっています。どの機関もそれぞれの強みを持っており、それらを集結することでよりよい迅速な対応が行われるべきです。  しかし、機関をまたぐことで、中には重複、類似したような質問事項、認識の誤差、デジタル化の遅れ、情報の一方通行等、課題は多くあるのではないでしょうか。  理想は、一つの連携チームが情報共有できることですが、とりわけ性暴力を含め虐待の主な相談窓口である児童相談所の役割は大きいと考えます。  現在、なごみにおいては、名古屋市の児童相談所と連携して対応を進めることが必要なケースについて、お互いの情報共有を円滑に進める取組を検討していると聞きました。  そこでお尋ねします。  本県の児童相談所で対応する性的虐待事案について、関係機関との連携や被虐待児童当事者へのアフターケアなど、どのような支援を行っているのか、お伺いします。  また、本県児童相談所と性暴力被害者への支援機関であるなごみとの連携状況及び今後の対応についてお伺いいたします。  厚生労働省の調査結果にあるように、様々な虐待の中でも心理的虐待は大きく、心理的虐待によるトラウマやPTSDを抱え、悩む当事者も少なくありません。また、その支援は短期ではなく中長期のスパンでの対応が求められます。  トラウマは、脳や心に害を及ぼすストレスであり、その特殊性は冷凍保存された記憶とも表現されます。  例えば、生肉に例えると、自身がおいしいと感じ消費できる量が一食当たり二百グラムだとします。これがトラウマ体験では、連日二十キロ持ち込まれ、消費できず、未加工のまま冷凍保存するようなもの。保存したことを忘れても、冷凍庫はなくならないので、ふと扉が開いたときに一気に溶け出すこともあり、食べ切れずにまた冷凍するの繰り返し、いつまでも残っているような状態です。  心のケア、メンタルヘルスは、分野を問わず現代社会で重要視されている項目で、あいち男女共同参画プラン二〇二五でも、メンタルヘルスの充実がうたわれています。  先日、心のケアについて兵庫県こころのケアセンターと意見交換する機会がありました。  同センターは、県から運営委託をされ、災害、事件、事故に起因するトラウマ、PTSD等々の心のケアに関し研究、相談診療、連携等を行う全国初の拠点です。  各県に設置されている精神保健福祉センターが精神福祉全般を担当する一方、こころのケアセンターは、トラウマ、PTSDを抱える患者さんに専門治療を提供しています。  ちなみに、前身の機関は、防災局が震災を契機に立ち上げたものです。  虐待、性暴力、DV、犯罪、自然災害等、トラウマを引き起こす事象は年々多くなってきています。同時に、被害者支援観点で心のケアの充実は欠かせません。  一方で、トラウマとは何か、どのような影響を及ぼすのかという一般知識を持ち対処できているかというと、まだ不十分な感がします。  トラウマインフォームドケア、あらゆる人の健康を守るための公衆衛生的アプローチで、トラウマに関する基本知識を持ち、トラウマやその影響を認識しながら当事者に関わっていく取組のことを言います。その際、相談しやすい環境や体制をつくっておくことが重要です。  そこでお尋ねします。  兵庫県では、こころのケアセンターがトラウマ、PTSDへの対処を行っていますが、そのような機関がない愛知県では、精神保健福祉センターにおいて、トラウマ、PTSDへの相談支援体制はどのようになっているのでしょうか。  また、性暴力、事故、災害、DV等、様々な要因でトラウマを抱えるようになった人、その後PTSDを発症する人など、社会環境も影響していると思います。  特に中部地方では、防災、減災という観点からも、今後、心理的支援の取組に力を入れていくべきではないでしょうか。現状と今後のことを考え、トラウマ、PTSDなど心のケアをますます充実させる取組が必要だと考えますが、御所見をお伺いいたします。  トラウマや逆境を体験してきた子供たちは、大人の関心や愛情そのものを疑い、教師の頑張りや思いにまるで反比例するかのような態度を取ることもあります。そこに無力さを感じる教師も少なくないかと思います。  そんな際、トラウマインフォームドケアの概念を持ち、トラウマで全てが説明できるとは限りませんが、見えないトラウマを想定した上で、本人に何が起きているのかを考え、接していくことが有効だと思われます。  そこでお尋ねします。  トラウマなどの知識を持ち子供の行動を正しく理解することは、子供への適切な対応と支援につながると考えます。教師が、そのような知識を持つ機会が必要だと考えます。教育委員会として、現在の取組及び今後どのように進めていくのか、教育長の御所見をお伺いいたします。  最後、四点目です。  聴覚障害への遠隔手話サービスについてお伺いいたします。  昨今、バリアフリー、障害者への合理的配慮という言葉が普通に使われる社会となってきています。障害者も社会参加できる環境整備がますます重要になってきています。  聴覚障害者に対し国は、令和二年度補正予算で、都道府県、市町村に対し、遠隔手話サービス等を利用した聴覚障害者の意思疎通支援体制強化事業を組みました。  これは、聴覚障害者への支援の選択肢を増やすことが目的で、その背景に新型コロナウイルスの影響で手話通訳者派遣の困難や感染、マスク着用で口話理解が困難になるなど、聴覚障害者への意思疎通支援に滞りが生じる場合もあります。  本県が昨年十月にコロナ対応のために導入した遠隔手話サービス。これは、聴覚障害者が、感染症の疑いにより医療機関を受診する際、県保健所に配置している専用のタブレットなどを利用して手話通訳サービスを受けるというものです。  また、本年三月、聴覚に障害のある方など、会話によるコミュニケーションが困難で支援を要する方を対象にしたコミュニケーション支援アプリを開発、サービス提供を始めました。これは、文字やイラストを指し示すことにより意思疎通を図ることができるもので、利用者が各自のスマートフォンにアプリをダウンロードして利用します。使用場面として、避難所、病院、薬局等が設定されています。  一方、バリアフリーの観点から、サービスへのアクセスのしやすさは重要です。デジタル化が進む中でもデジタルディバイド、情報格差は可能な限りなくすべきです。遠隔手話サービスについても、支援アプリのように各自のスマートフォンで気軽に利用できれば、利便性が格段に高まるものと考えます。  こうしたICT機器を導入しての取組の場合、まずはそれを使ってもらうことが大前提です。遠隔手話サービスは、緊急時や災害時の活用も期待されるため、ふだんから使い慣れたスマートフォンで場所を選ばず必要なときに使えるよう備えておくことが望まれます。  そこで、遠隔手話サービスの現状と今後の展開について、二点お伺いいたします。  県において遠隔手話サービスの取組の現状と課題はどのようになっているでしょうか。また、利用者が場所を選ばず必要なときに遠隔手話サービスを円滑に使えるよう、県として今後どのような取組を行っていくのか、お伺いします。  以上、理事者からの明確、前向きな答弁を期待し、檀上からの質問を終わります。御清聴いただき、ありがとうございました。(拍手) 30: ◯保健医療局長(吉田宏君) 初めに、アピアランス支援についてでございます。  脱毛をはじめとする外見の変化に対する支援、いわゆるアピアランスケアは、がん患者さんが前向きに治療に向き合い、安心して社会生活を送るためにも重要であると認識しております。  本県では、県内二十七か所のがん診療連携拠点病院等全てに設置しておりますがん相談支援センターやがん治療経験者が電話で対応するピアサポート事業において、脱毛等の悩みの相談に応じております。  なお、医療用ウィッグ等の助成については、全国一律の制度とすることが適当であると認識しており、国に対しまして制度の創設を働きかけております。  本県では、国に対して働きかけを継続していくとともに、アピアランスケアに必要な支援につきまして、引き続き他県の状況等をしっかりと調査研究してまいります。  次に、小児、AYA世代の在宅療養支援についてでございます。  がん患者さんが終末期を迎えた場合、自宅での療養を希望される方がおみえになります。県では、がん患者さんや御家族が希望する場所で療養生活を送れることが望ましいと考えております。  そこで、がん相談支援センターにおいて、専門的知識を有する相談員が在宅療養に関する相談に丁寧に対応しているほか、がんに関する有用な情報を掲載した、あいちのがんサポートブックにおきまして、介護サービスや障害福祉サービスなど在宅療養に必要な情報を周知するなど、対策を進めてまいりました。  次に、助成制度についてでございます。  がん患者さんが在宅療養をするに当たっては、訪問診療や訪問看護などの在宅医療に加え介護サービス等が必要となる場合がございますが、四十歳未満は介護保険の対象外でございまして、訪問介護等の利用は自費となり、重い負担となります。  在宅療養に関する負担の軽減は、小児、AYA世代のがん患者さんに共通する課題でございまして、居住する地域に関わらず全国一律の支援策が講じられることが適切と考えております。  そこで、全国衛生部長会に通じまして国に対し、四十歳未満のがん患者の療養生活に対する支援制度の創設を要望しておりますが、今後、県としましても、小児、AYA世代のがん患者の在宅療養に関する経済的支援の実施を強く働きかけてまいります。  次に、がん検診の広域化についてでございます。  検診の広域化には、市町村が実施するがん検診の受診券を県内のどの検診機関でも利用できるようにすることや、どの市町村の住民でも受診できる検診会場を設けるなどの方法がございまして、受診の利便性は高まるものと考えられます。  しかしながら、検診の広域化には、市町村ごとに異なる検診単価等の契約内容を統一し、各町村が検診機関と契約を結ぶ必要がございます。  また、検診機関では、市町村ごとに異なる自己負担を受診者から徴収し各市町村に検診費用を請求する必要がございまして、事務が煩雑になるなど様々な課題がございます。  このため、県といたしましては、まずは検診の広域化について関係者の御意見を伺うとともに先進事例を調査するなど、しっかりと研究してまいります。  次に、県精神保健福祉センターにおけるトラウマ、PTSDへの相談支援体制についてでございます。  県精神保健福祉センターでは、面接、電話及びメールにより、トラウマ、PTSDを含む様々な相談に対応しております。  面接やメールの相談では、精神科医師の助言を受けまして、相談内容や今後の支援方針をチームで話し合う体制としておりまして、常に相談者に寄り添い丁寧に対応しております。  なお、相談件数は国の統計分類に基づき集計しておりまして、トラウマ、PTSDの分類では把握しておりませんが、昨年度の全ての相談件数は一万千五百二十件となっており、一昨年度の一万四百六十八件から増加しております。  次に、トラウマ、PTSDなど、心のケアを充実させる取組についてでございます。  県精神保健福祉センターや県保健所では、心の健康相談を実施しております。相談者は、生活苦や人間関係、身近な方の自死など様々な背景をお持ちであり、その中には、心に傷を負っている方もおみえになります。  精神保健福祉相談員及び保健師が相談を受ける際は、どの方も心に傷を抱えていることを前提に、いわゆるトラウマインフォームドケアの原則に基づいて対応しております。  具体的には、安心して相談できる環境を保障し、一緒に問題を整理して解決に向けた情報提供を行いながら、御自身が主体的に意思決定できるよう支援しております。  また、県では、相談員等の資質向上のため、国立精神・神経医療研究センターが実施するPTSD対策専門研修への派遣や、精神保健福祉センターにおいて心理的応急処置の研修を開催するなど、専門的な知識や相談技術を深めております。  なお、トラウマインフォームドケアにつきましては、国において現在、関係機関向けガイドラインの研究が進められておりますので、今後、その成果を注視し、心のケアのさらなる充実が図れるよう取り組んでまいります。 31: ◯教育長(長谷川洋君) 初めに、病気療養中の県立高校生がオンライン授業を受けるために必要なハードウエアの整備についてお答えいたします。  教育委員会では、病気やけがで長期入院が見込まれる生徒に対し、教員を病院に派遣して訪問教育を行っておりまして、制度の運用を始めた二〇一四年度以来、二十一人の長期入院生徒の学習を支援してまいりました。  また、教育委員会では、昨年度、生徒用タブレット端末と貸出し用のモバイルルーターを全ての県立高校に配備し、ハードウエアの面では、新型コロナウイルス感染症のために登校できない生徒や病気療養中の生徒に対して、同時双方向のオンライン授業を実施できる環境が整いました。
     今年の四月以降、整備したハードウエアを活用して、病気療養中の県立高校生十三名に対しオンライン授業を行っております。  今後は、より効果的にオンライン授業が行えるよう、遠隔操作によって本人が教室内の見たいところにカメラを向け、画面を通してほかの生徒や先生とコミュニケーションが取れる機器等の整備につきまして、県立高校に必要な支援を行ってまいります。  次に、オンライン授業を円滑に実施するための体制づくりなど、ソフト面の充実についてであります。  本県では、病弱児を対象とする大府特別支援学校において、病気等で入院中の小中学校段階の児童生徒に、教員が病室へ出向いて授業を行っております。  また、大府特別支援学校は、二〇一八年度に文部科学省の研究委託を受け、入院中の児童生徒に対するオンライン授業やオンデマンド型の学習支援について、実践的な研究に取り組みました。  この研究成果を生かし、県立高校が病気療養中の生徒に対してオンライン授業を行う際には、大府特別支援学校がノウハウの提供や助言等の支援を行う体制を整えております。  今後、教育委員会において、病気療養時の学習支援の制度や具体的な実践例を盛り込んだリーフレットを作成し、生徒や保護者に分かりやすく説明するとともに、入院先の病院と円滑に連携することで、病気療養中の生徒に対する学習支援を充実してまいりたいと考えております。  続いて、教員が性暴力についての知識を備えるための取組についてであります。  性暴力は、被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であり、その根絶に向けた取組を強化していくためには、教員が性暴力に関する基本的な知識を持つことが大変重要であります。  文部科学省及び内閣府は、子供たちが性暴力の当事者にならないよう、本年四月に生命の安全教育を推進するための教材及び指導の手引を作成いたしました。  このため、県教育委員会から各県立学校及び市町村教育委員会に対して、こうした教材等の積極的な活用を働きかけております。  また、県教育委員会では、今年度、防犯に関する研修会や小中学校、県立学校の初任者研修において、新たに性暴力に関する内容を盛り込んだところであります。  今後も様々な機会を捉え、教員が性暴力に関する基本的な知識を備えることができるよう努めてまいります。  最後に、教員がトラウマなど、児童生徒の心理状態の理解を進めるための取組についてお答えいたします。  県教育委員会では、あいちの学校安全マニュアルや学校保健の管理と指導に事件や事故に遭遇した児童生徒への対応について記載し、ストレス症状のある児童生徒に対しての適切な心のケアを行うこととしております。  特に強いストレスを抱えた児童生徒への適切な対応や支援には、より専門的な知識のあるスクールカウンセラーなどとの連携が重要でありますので、毎年度、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、教育相談を担当する教員等が集まる連絡協議会を開催し、ストレスを抱えた児童生徒の対応に関する情報の共有に努めているところであります。  今後は、毎年発行している教員研修の手引の中にも、トラウマなど心理的ストレスを抱える児童生徒への具体的な対応について記載し、教員が児童生徒の心のケアを適切に行うことができるよう努めてまいります。 32: ◯県民文化局長(水野直樹君) 病気療養中の高校生のオンラインによる授業参加について、県として私立高校に対してどのように取り組むのか、お答えします。  病気療養中の生徒に対するオンライン授業について、今年度は、私立高校四校で合わせて四名に実施しており、ほかにも三校が病気療養中の生徒に対応できるオンライン環境を整備しております。  私立高校がオンライン授業を実施するために必要な機器の整備について、本県では、私立学校施設設備整備費補助金の補助対象としており、経費の二分の一を補助することが可能であります。県としましては、こうした補助制度を改めて周知してまいります。  あわせて、病室などでオンライン授業を受けることにより卒業に必要な単位を取得できることを、対象となり得る生徒、保護者に積極的に伝えていただくよう、各私立高校に依頼してまいります。  県としましては、引き続き教育委員会と情報共有し、病気療養中の私立高校生のオンラインによる授業参加に向け支援してまいります。 33: ◯福祉局長岡本範重君) 性的虐待に関する御質問のうち、初めに、本県の児童相談センターにおける支援についてお答えいたします。  二〇二〇年度に本県の児童相談センターが対応した児童虐待相談六千十九件のうち、約一・二%に当たる七十二件が保護者等からの性的虐待に関する相談でありました。こうした相談について、児童相談センターでは、まず職権による緊急一時保護を行い、児童の安全確保を最優先いたします。  その上で、児童の状態に応じて婦人科への受診が必要な場合には、児童相談センターの女性職員が診察に立ち会い、児童の不安を和らげるとともに、医療機関との情報共有を図りながら医療面での適切なケアにつなげております。さらに、精神科の医師と連携し、PTSDなど、被害児童の心理面のケアにも努めております。  また、児童が多くの時間を過ごす学校のスクールカウンセラーや養護教諭などと連携し、対人関係や学習、行動など様々な情報を共有しながら、児童が安心して生活が送れるよう支援を行っているところでございます。  次に、児童相談センターと性暴力被害者への支援機関である日赤なごや なごみとの連携についてお答えいたします。  被害児童への対応において、なごみは必要に応じて緊急医療処置を行うほか、児童相談センター職員と連携して心理的ケアや性教育等の支援を行う機能がございます。  昨年度から、児童相談センター職員がなごみスタッフや教育委員会、警察、検察、医療などの関係機関で構成するなごみ連携推進会議へ参加し、それぞれの取組について情報提供や意見交換を進めております。  今後は、なごみとの連携がさらにスムーズに進むよう、より効果的な情報共有の在り方についても検討してまいりたいと考えております。  性的虐待を受けた児童が、安心できる生活の中で心身の回復が図られるよう、引き続き、地域の関係機関と緊密な連携を図りながら、しっかりと支援してまいります。  続いて、遠隔手話サービスの取組の現状と課題についてお答えいたします。  このサービスは、聴覚に障害のある方が新型コロナウイルスに感染した場合など、手話通訳者の同席が困難な場合に、専用のタブレットや個人のスマートフォンを使用して手話通訳を可能にするもので、本県が一般社団法人愛知県聴覚障害者協会へ委託して実施しております。  これまでに、協会が聴覚障害者から相談を受けた事例は、新型コロナウイルスで自宅療養されている方の健康観察での利用など七件ありましたが、遠隔手話に慣れておらず、ファクシミリなどでの対応が可能であったことから、実際に利用した事例は一件となっております。  遠隔手話は新しいサービスであり、操作方法が分からないことや、手話通訳者が同席していないことに不安を感じられる方もいらっしゃるため、そうしたことを解消していくことが課題と認識しております。  次に、今後の取組についてお答えいたします。  遠隔手話サービスを円滑に使っていただくためには、ふだん対面での手話通訳を利用されている方々に遠隔手話を実際に体験していただき、操作方法の理解を深め、不安を解消していただくことが重要と考えております。  このため、十月、十一月に県内三か所で開催する利用体験会において、専用タブレットのほか、御自身のスマートフォンに専用アプリをダウンロードすることにより、病院での受診の場面などを想定した遠隔手話を実際に体験していただきます。  また、体験会では、利用者と通訳者との意見交換も行い、画面を介した通訳の留意点や配慮について確認し、このサービスの一層の利便性の向上を図ってまいります。  県といたしましては、こうした取組により、聴覚に障害のある方の意思疎通を支援し、自立と社会参加をしっかりと進めてまいります。 34: ◯十二番(加藤貴志君) それぞれ御答弁いただき、ありがとうございました。  幾つか要望をさせていただきたいと思います。  まず、一つ目ですけど、がん患者支援の拡充とがん検診の広域化に関してですが、アピアランスと在宅療養支援に関して、公明党愛知県議員団は、八月の下旬に大村知事に令和三年度九月補正予算編成に関する要望書に記載し、提出をさせていただきました。また、県内各自治体でも、我が党、公明党市町村議員から首長や関係部局に要望が出されております。  がんと闘うには、医学療法に加え、患者さんに生きる希望を持ってもらうことが大切です。患者さんが自分らしさ、自信を取り戻し、今までのように自分らしく生きていく環境づくりも重要になってきています。それは、在宅療養支援に関しても、小児、AYA世代のがん患者に対しても同じです。  また、がん予防については、早期発見の推進が非常に重要で、どのように早期受診をしてもらうかの工夫が必要です。その際、大人に対するがんの予防や早期発見のための行動変容を促進するきっかけとなるがん検診の広域化も視野に入れて、自治体間の方針の統一をリードし得る県の役割に期待し、がん予防、がんになっても安心して自分らしく暮らせる愛知の実現ができる環境整備を要望いたします。  もう一点は、病気療養中の高校生のオンラインによる授業参加に関してです。  今回の一般質問に当たり、今後の支援取組の加速につながればという思いもあり、先ほど個人名を出させていただきましたけど、今津さん御自身、また、御家族も実名を出すことに快諾をいただきました。  同じような境遇にいる生徒さんにとっても、今後の希望となるよう、愛知県の積極的な支援、取組を要望して終わります。 35: ◯副議長近藤裕人君) 進行いたします。  おおたけりえ議員。     〔十六番おおたけりえ君登壇〕(拍手) 36: ◯十六番(おおたけりえ君) 豊川市選出のおおたけりえです。  今回は、二つのテーマについて伺いたいと思います。  まず一点目に、生徒のニーズに対応した高校の在り方について伺います。  現在の高等学校は、国の就学支援金制度や愛知県の授業料軽減補助金により学費の公費負担分が増加、学費負担の公私格差是正が進んできたことや私立通信制高校への進学者の増加等により、県立学校の定員割れが昨年入試で二千六百二十五人と過去最多となっております。  この数は、単純に一クラス四十名が一学校六クラスで計算いたしますと、十校ほど廃校にしても充足できてしまうという大きな人数です。  今後の見込みについては、先週金曜日の代表質問で、二〇三五年までに二百学級減らす計算との教育長答弁がありましたが、先ほどのように計算しますと、三十三校ほど廃校になる数であり、大きな改革が迫られていることが分かります。  これを機に、公立高校と私立高校の定員割合の見直し等を議論することや公立高校の廃校をどこにするかの検討にとどまらず、県立高校の魅力を高めていくことや、いま一度、公立高校としての存在意義、生徒のニーズに合わせた公立高校のあるべき姿を見直すべきと考えます。  そこで、今回は、私の下に多くお声をいただいております不登校や発達障害、ルーツが外国にあり日本語が不自由な生徒に対する高校の在り方を、今年取りまとめられる予定の公立高校再編を見据えて考えていきたいと思います。  まずは、私立通信制について取り上げたいと思います。  私立通信制高校は、全国的に見ても少子化による学校の統廃合が相次ぐ中で例外的に増えております。日本経済新聞二〇二〇年四月五日電子版の記事によりますと、一九八九年度には全国で八十四校であったのが、二〇一九年には三倍の二百五十三校に増加しており、とりわけ私立校の増加が著しく、三十年前の十七校が百七十五校と十倍以上に増えているようです。それと同様に増えているのが、実際に生徒たちが通う学校の役割を果たす通信制高校のサポート校です。  県内においても同様増加傾向で、パンフレット、私にぴったりの高校二〇二〇─二〇二一東海版に掲載されている学校数は、愛知県内にある私立通信制単位制高校が七十九校、サポート校が四十七校ほどあるようです。  もともと通信制高校は、全日制に通えない勤労学生が教育を受けられるようにする目的で設置されましたが、現在は、登校数がそれほど多くないことや自分のペースで学習が進められるなどの理由から、不登校であったり成績が振るわず全日制に進めない生徒の進学、転学先へと変わってまいりました。  また、近年はさらに進んで、オンライン学習を利用した様々な課外活動を行うN高など、通信制の強みを生かして新しい教育の在り方を提案する学校も出てきております。  今回、私は学生インターン生と共に近隣にある私立通信制高校数校に伺い、ヒアリングをさせていただきました。  その際、どの学校からも伺ったのは、在籍している生徒は、従来のような働きながら学びたいという生徒は少数派で、大半は、不登校歴があったり発達障害やルーツが外国にあることで日本語が不自由な生徒など、困難な課題を抱えた生徒たちであるとのことでした。  そこで課題となるのは学費の問題です。困難を抱えている生徒に対応するからこそ、少人数指導や個別対応で行う部分が多く、教員やカウンセラーの人材配置の必要性から、きちんと対応しようとすればするほど当然学費は高くなってしまいます。  その上、私立通信制高校の場合、認可申請する本校と本校を補助する施設である、いわゆるサポート校とが連携して教育活動を行っている場合が多いのですが、日頃の学習や生活習慣を支援し生徒たちの居場所となる実質的には学校の役割を果たす、いわゆるサポート校で行う教育活動は、現在の仕組みの上では正規の授業の枠外に位置づけられており、授業指導、分からないところへの個別対応、プログラミング、ダンス、パソコンスキル、アニメ、ネイル等々の将来の職業につなげる趣旨の講座を実施する学校があっても国の就学支援金の対象外で、受ける講座が多ければ多いほど基本の授業料にプラスして受講料がかかることとなり、貧困家庭には大変厳しい状況があります。  このような授業を受けないこともできますが、それでは家で自習する時間が多くなり、自分で学習を進められる生徒なら問題はないのですが、ほとんどの生徒は自力のみで高校の基礎学力を身につけることは困難だそうで、勉強も分からないまま社会的自立の力も身につかないままということになりかねません。  このような状況から、東京都は、国の就学支援金に上乗せして、私立都認可外通信制高等学校在学生授業料助成金を二〇二一年度から都外の自治体が認可している広域通信制も含めて都内に保護者と住んでいる生徒を対象に、年収約九百十万円未満の世帯は最大年二十五万四千円を助成し、授業料部分について実質無償化の対象としました。  また、長野県では、通信制高校サポート校等就学支援事業補助金として、県内に住所を有するサポート校等利用者で県民税等の所得割非課税世帯に対し、年一回最大十万円を助成しているそうです。  今回、ヒアリングをさせていただいた私立通信制高校の先生方によりますと、実際に入校相談に来られる方は独り親家庭などの貧困家庭も多いそうで、授業料は大きな悩みの種であり、学費が払えないため入学を諦めたり教育ローンを組んだり、金銭的事情から登校日数や受ける講座数を減らすなど金銭的負担を抑えざるを得なくなっているため、ぜひ生徒たちの学びの保障をする観点から、全日制高校のように国の就学支援金に上乗せした県の補助をしてほしいというお話をたくさん伺いました。  そこで、愛知県が認可している私立通信制と県外の自治体が認可している私立通信制でサポート校が県内にある学校に対して、国の就学支援金に上乗せして授業料補助することや、サポート校に払う受講料に対しても補助することなど、私立通信制に通う生徒に対して補助を本県として行う考えについて伺いします。  次に、公立高校の在り方について考えたいと思います。  日本経済新聞九月七日電子版の東京都立八王子拓真高校校長の寄稿の一節を要約して御紹介したいと思います。  高校は義務教育ではなく、生徒は一定の学力を備えていて当然という考えの下、公立高校の指導は一律性が強く、特に規定の柔軟な運用は不公平だという観点から、単位、進級、卒業の認定などには校内規定が一律に適用されている、しかし、現在のように中学生のほぼ全員が高校に進学し、生徒が多様化した今日、こうした文化は、授業が分からない生徒、規則が合わない生徒らを排除する仕組み、合理的排除として機能してしまっている、このままでは、不登校や中退に歯止めがかからないため、排除する高校から配慮する高校に変わる改革をする必要があると考え、一、特別支援教育の考え方を導入し、個別対応を基本にすること、二、単位を取得させるために年五回の補習個別指導期間を設定すること、三、欠席の多い生徒には年度末を待たずに補習を行うこと、四、心身の病気やいじめなどで登校が難しい場合は、欠席回数が規定を超えてもオンラインで課題を提出するなどすれば柔軟に単位を認めること、五、保健室登校の生徒らのための学習スペースを校内に設置すること、六、校内で居場所カフェを始めたこと──これは都が派遣する若者支援の専門家であるユースソーシャルワーカーの運営で、生徒が教員でも保護者でもない第三の大人と話せる居場所は相談の糸口ともなり、自傷など生命に関わる事故防止の観点からも極めて重要なことだそうです──など、目の前の生徒のために何ができるかというボトムアップの改革、改善を行い、その結果、中退者や不登校生の数を減らしているとのことです。  ひきこもりの長期化、高齢化が大きな社会問題となる中、生徒を学校から社会へつなぐ接続点としての役割はますます重要になっているため、本校は、公教育の最後のとりでとしてとことん面倒見のよい学校を目指していきたいと書かれていました。  この都立高校も我が愛知県内の県立高校も、根底にあるルールは文部科学省のルールであり同一なはずです。何を重視するか次第でここまで柔軟に対応できることが分かります。  先ほど取り上げました私立通信制高校のヒアリングで現状を教えていただく中で、発達障害や不登校歴を抱える生徒が、多くの私立通信制高校に通っており、私立通信制高校側が教員や専門人材の配置など、十分な体制づくりに苦労されている様子が伝わってまいりまして、このような手厚い人員配置が必要な分野については、もっと公教育で担う部分を増やしていくべきと感じました。  本県の令和三年三月に中学校を卒業した特別支援学級に在籍した生徒の進路調査によりますと、卒業生千百五十名のうち三百八十二名、約三割が全日制、定時制、通信制──これは専修学校との併修を含みますが──の高等学校に進学したとのことです。中学までは適切な療育を受けられていても、高等学校に行ったら療育が途切れてしまう点を改善すべきです。  文科省では、小中学校で特別な指導を受ける児童生徒が増加し、高校進学後も学習支援を続けてほしいという要望が高まっていることを受けて、軽度の障害のある生徒が通常の学級に在籍しながら個別指導も受けられる高校の通級指導教室を二〇一八年から導入しました。愛知県では現在、四校で通級指導教室を開設しております。  県内で一番先進的に行われている県立高浜高校を先日視察してまいりました。この学校では、古典や英語の授業の一部を生活指導の授業に週二回振り替え、発達障害の困り感を抱える生徒にコミュニケーションスキルのトレーニングを行っていました。生徒一人に対して先生二人の少人数指導で、その生徒の困っていることに応じたトレーニングが行われており、受講した生徒は目に見えてできることが増えていっていると伺い、社会で自立生活を送ることにつなげるため、大変有意義だと感じました。  発達障害を抱える生徒は近年増加しておりますが、例えば、私の地元の近隣では、電車で二時間ほどかかる福江高校か、やはり一時間半ぐらいかかる高浜高校にしか通級指導教室は設置されておりません。  発達障害の生徒の中には、電車で長時間通うことが苦手な生徒もいると伺います。もっとこのような学級を、難なく通える範囲を考えて各地域に設置していくべきと考えます。  そこで、県内各地域に偏在なく通級による指導の実施校を設置すべきと思いますが、教育長の御所見を伺います。  次に、不登校歴のある生徒への対応についてです。  中学のときに不登校であった生徒は、休んでいた期間の学び直しが必要という面がありますが、学ぶ環境によって大きく変化できる可能性を秘めております。  しかし、高校入試の場面では、出席できていないため内申書が大変不利であることや高校に入ってから毎日登校できるか分からないため、全日制の高校は諦め、定時制や通信制高校を進路指導で勧められる生徒が増えているようです。  しかし、私の地元、豊川市から一番近い昼間定時制のある豊橋市立豊橋高校では、希望しても入れない生徒が多く出ていると伺いました。  学校側に志願者に対する合格者の人数を伺ったところ、三月初めに行われる前期選抜と三月末に行われる後期選抜がありまして、毎年の合格者は前期百四十四人、後期十六人のところ、志願者数は、平成三十年度前期百七十四人、後期二十二人、令和元年度前期二百十二人、後期三十五人、令和二年度前期百八十九人、後期三十人、令和三年度前期百五十八人、後期十六人と公立高校の最後のとりでであるはずの昼間定時制で全員入れたのは、直近の令和三年度の後期日程のみでした。  定時制の後期日程は、どこも入試で入れなかったけど学びたいという生徒のために、どの学校よりも入試日程を遅くしていると伺っておりますが、こんなに門戸が狭いのが現状です。  私は、豊橋市立豊橋高校に実際に伺いまして、先生にヒアリングをさせていただきました。  生徒の六、七割が不登校であった生徒とのことでしたが、生徒がこの学校で毎日来れるようになったり、中学時代の遅れた学習を学び直したり、社会生活上のルールをきちんと学んでいくということや、優しく話を聞いてくれる、心の内面を支えられる教員の方々に囲まれながら、息を吹き返していくということを教えていただきました。  ぜひ、不登校であった生徒が、お金がそれほどかからない公立高校で学べる環境をもっと増やしていただきたいと思います。  また、お隣岐阜県の岐阜市では、中学校ですが、公立の不登校特例校が設立されています。高校の不登校特例校も私立で来年度から設立される予定のようです。  そもそも、定時制高校は、働きながら学ぶ方のためにできた学校であり、今の子供たちのニーズを直視したものになっていないと思いますので、特例校も検討してはと思います。  そこで、三点目、中学まで不登校であった生徒が、昼間定時制、通信制や夜間定時制に多く通っている現状をどう捉えてみえるのか、また、不登校の人数に比べて、昼間定時制などの学校がまだ少ないため増やしていくことや、不登校特例校など、もっと不登校の生徒のニーズに合った学校の場を提供すべきではないか、伺います。  次に、不登校になり単位取得が足りず、中退、もしくは転学になる生徒も年々増えております。  私の地元である東三河の公立高校について、学校別に入学者数と卒業式出席予定者数を引き算をし、中退や転学、休学、留学、原級留置を含む生徒の人数と考えられる人数を教育委員会よりいただきましたが、卒業後までに中退や転学等をする人数の実態を知っていただくために、読み上げたいと思います。  この三年間の平均人数は、時習館五・三人、豊橋東六・七人、豊丘九・七人、豊橋南三・三人、豊橋西十八・七人、豊橋工科五人、豊橋商業四人、成章十・三人、福江十八人、渥美農業二・七人、国府十一人、御津九人、小坂井四・七人、豊川工科四・三人、宝陵七人、蒲郡三人、蒲郡東七・七人、三谷水産六・七人、新城東三人、新城東作手校舎五・七人、新城十四・三人、田口九・三人と、どの学校にも一定数おり、これらの学校の平均をすると、一学年当たり七・七人もの生徒が卒業せずに中退や転学等をしているという、学校側にしてみたら、数字を公表せずに蓋をしたくなるのではないかというような大変な状況になっていると思います。
     この数字を重く受け止め、中退を防ぐために県内の公立高校全校を単位制にするなど、もっとドラスティックな改革をしてはどうかと思います。単位制とするだけでは十分でなく、転学のルールも改めていただきたいと思います。  不登校になるきっかけは、いじめなど人間関係の悪化によるものが多くあると伺っています。環境が変われば高校生活を楽しく過ごせる生徒もいることと思いますが、県内の私立高校が、学力がきちんとあることなど条件はあるものの、柔軟に転学の対応をしていただいているのに対し、公立は転学をめったなことがない限り認めておらず、これほど多くの中退生を出しているのに、大変無責任のように私は感じます。  公立を中退した生徒を転学させ、受け入れているのは、全日制の私立や県立の定時制、通信制、そして特に多いのが私立の通信制高校です。  なぜ選ばれているかの一因として、留年しなくて済むような配慮があることが挙げられます。生徒にとって、他の同級生と同じタイミングで高校を卒業したいというニーズは結構高いと感じます。私立の通信制高校では、個別学習でフォローアップすることや転学のタイミングを随時にすることなどで、留年することを極力回避できるようにしているようです。  一方、県立の定時制や通信制は、入学時期を春と秋の二回に限定しています。一斉授業を受けるスタートを同時期にしたいという運営上の面は理解しますが、中退をしてから再入学の時期まで数か月空いてしまうと、生徒は自宅で自習するなり生活のペースを整えるなりしなくてはならず、このことは、不登校の対応は初期対応が大事という観点から最善のこととは言えないと感じます。  同じ文部科学省のルールの下に生徒のニーズに沿った対応をしている私立の通信制高校のよいところを見習って、生徒がスムーズに生活を立て直せる時期に入学できるようにするためにも、入学時期を随時入学と変更してはと考えます。  以上のように、公立高校改革として、一、不登校になっても留年しなくて済むよう個別対応を増やす、二、単位が足りず進級できないことを防ぐため、全校単位制とする、三、不登校になった生徒が転学しやすいように、公立高校の規定を見直す、四、転学時期を随時対応に変更するの四点を提案したいと思います。  この四点、どれについても私立通信制高校は対応されており、結果、生徒数を増やしていると考えます。  このようなお話をしますと、それは私立通信制の強みであり、民業圧迫にならないように民間と公立が同じことをすべきではないという方もみえることと思います。しかし、先ほど取り上げましたように、私立通信制は公的な支援があまりなく、金銭的事情から私立通信制高校に行けない生徒が実際にいるのが現状です。  不登校になった生徒が少しでもスムーズに社会的自立につながっていけるような仕組みづくりを公立高校再編を前にして、しっかり考えていただきたいと思います。  そこで、県立高校を中退になる生徒がどの学校も多い状況がある中で、再チャレンジを促すため、転学をもっと広く認めていくことや、転学までの期間を短縮すべきではと考えますが、お考えを伺います。  次に、外国にルーツがあり日本語に不自由のある生徒への対応です。  日本語に不自由のある生徒が、昼間、夜間定時制、通信制に通っているケースが増えているようですが、六割ほどがそのような生徒だという蒲郡高校夜間定時制でのヒアリングで先生から教えていただいたことは、きちんと日本語学校に通ってから高校に入れば、学力は十分にある生徒がほとんどだとのことです。  皆様御存じのとおり、大学への留学生には、日本語教育の資格を持った先生が徹底的に日本語を教育する機関があります。高校に行く場合でも、そのように一年間くらい日本語をきちんと学べる学校を公立で検討してはと思います。  そこで、五点目、高校に在籍する日本語指導の必要な生徒に対して日本語を学ぶ機会を提供する必要があると考えますが、教育長のお考えを伺います。  次のテーマに行きたいと思います。  愛知県内の強度行動障害の方への支援体制について伺います。  強度行動障害とは、重度、最重度の知的障害を伴う自閉症の方々に多く見られるようですが、精神科的な診断とは異なり、自傷、他傷、こだわり、物壊し、睡眠の乱れ、異食、多動など、本人や周囲の人の暮らしに影響を及ぼす行動が著しく高い頻度で起こるため、特別に配慮された支援が必要になっている状態と言われています。もともとの障害ではなく、様々な原因によって状態が悪くなってしまうことをいうそうです。  しかし、その原因を突き止め改善を図ることは、家族でもなかなか困難なこともあり、専門家の手助けが必要です。また、本人が他害をしてしまった際に家族がつらい思いをされることも多く、そういった点に配慮をしていくことも大事であると考えます。  障害から来る苦手さを持つ人はたくさんみえます。例えば、先の予測、見えないものの理解、抽象的で曖昧な表現の理解が苦手なことなどは、本人に不安や緊張をもたらしており、それから逃れたい、誰かに伝えたい、気づいてほしいと思っているけど、伝える方法が分からない結果、自傷、他傷などの行動で示していると考えられ、これらの行動は、本人のつらさ、苦しさの表出と言えるようです。  その本人の苦手さに配慮した関わりがなされていなかったり、適切な行動を教えてもらう機会がなかったりすると、本人はどうしてよいか分からず、さらに激しい行動を取ることがあります。  また、自分の気持ちを伝えるために激しい行動を取ったときに、周囲がその行動を止めるためにやむを得ず本人が望むままの対応を繰り返していると、激しい行動をすることで自分の気持ちが伝わると誤った理解をしてしまい、その行動が定着してしまうこともあるそうです。  本県内にどれぐらい強度行動障害でお困りの方がみえるのか、人数を把握できていないのが実態です。ぜひ実態を調査していただきたいと思いますが、独立行政法人国立知的障害者総合施設のぞみの園の資料によりますと、療育手帳交付数の一%に強度行動障害が見られるとのことから、本県内に強度行動障害の方は約六百名、また、そのうち児童は約百九十名くらいみえることが推察をされます。  今回は、特に強度行動障害のある児童の支援について伺いたいと思います。  先ほど申し上げましたとおり、強度行動障害は他害をしてしまうことがあるため、ケースによっては保護者だけでは対応できない場合があります。  また、家族がその被害者となるケースが多く、家族から引き離す必要があるため、施設に入所したり、症状によっては入院して治療を受けることもあります。状態を落ち着かせるとともに、住んでいる地域の福祉サービスとつなぎ、地域で生活できるように支援していくことが重要です。  しかし、県内の支援体制が十分でないため、病院を転々としたり退院後に入る施設が見つからなかったりという事例があります。ただでさえ自閉症の傾向から環境の変化が苦手な方が多いのに、転院を繰り返したり、入所施設がお住まいの地域から遠いと、保護者や市町村、住んでいる地域の事業者等、行く行く地域で支える方々との情報交換がしづらく、地域移行がうまく進まないという課題があると伺いました。  そこで、まず初めに、本県内で強度行動障害児を受入れ可能な施設は現状どの程度あるのか、また、各障害保健福祉圏域ごとにある状態なのかどうか、伺います。  次に、医師等が施設入所の必要性ありと判断した場合でも、様々な理由でなかなか受け入れてもらえないケースもあるようです。相談や入所調整は、お住まいの地域の児童相談所が行ってみえると思いますが、強度行動障害児の入所調整の際に、受入先のスペース不足、職員体制の不足、スキル不足等により受け入れられなかった場合、どのように対応してみえるのか、伺います。  また、様々な立場の職種の方が本人の状態を確認し支援の方向性を検討する会議は、児童相談所などその児童に関係する方々にお声がけして行ってみえると思いますが、誰が招集をし、どのようなタイミングで開催されているのか、伺います。  県内の体制としては、まだまだ課題が多い分野ではないかと思いますが、特に強度行動障害の児童については、周りの方が本人の気持ちを酌み取れるようになったり対応の仕方次第で、本人の行動をかなり改善できると伺っております。今後、強度行動障害のある児童の支援の充実をどのように図っていかれるお考えか、伺います。(拍手) 37: ◯県民文化局長(水野直樹君) 私立通信制高校に在籍する生徒への補助についてであります。  本県は、本校が県内に所在する私立通信制高校に対して、法令に基づく認可等を行い、授業料補助についても国の就学支援金制度に基づき、本校が県内に所在することを要件に実施しております。したがいまして、県外の自治体が認可した私立通信制高校を本県授業料補助の対象とすることは、現時点において考えておりません。  次に、本校が県内に所在する私立通信制高校の生徒に対して、国の就学支援金に上乗せして授業料補助を行うことについては、公私間格差の是正を目的に補助するという本県の授業料補助制度の趣旨に照らし、今後、制度全体のバランスの中で、対象とするかどうか、対象とする場合、その内容をどうするか、研究してまいります。  また、私立通信制高校と提携しているサポート施設の受講料への助成についてでありますが、これらのサポート施設は、学校教育法に基づく学校ではなく、そのカリキュラムについて法的な位置づけはありません。こうしたことから、サポート施設の受講料への助成は現時点では考えておりません。  その上で、私立通信制高校に通う生徒に対する今後の補助の在り方につきましては、国の通信制高校の質の確保・向上に関する会議において、教職員等の体制の在り方や国による支援の在り方等が今後さらに検討が必要な論点とされておりますので、引き続き、国の動向をしっかりと注視してまいります。 38: ◯教育長(長谷川洋君) 初めに、通級による指導の実施校についてお答えいたします。  県立高校における通級による指導は、二〇一七年度にモデル事業として高浜高校で開始し、特別支援教育の充実を目指す、愛知・つながりプラン二〇二三のロードマップに従って、順次実施校を拡大してまいりました。  本年度は、尾張地区では一宮起工科高校の昼間定時制課程と日進高校、三河地区では高浜高校と福江高校の合わせて四校で実施しており、計四十一名の生徒を対象に、社会的な適応力などを高めるための自立活動を取り出し授業の形で行っております。  なお、通級による指導の実施校には、生徒の教育的ニーズに応じた支援や指導を行うため、担当教員の加配を行っております。  今後も、地域バランスや全日制、定時制など課程のバランスに配慮しながら、通級による指導の実施校を順次拡大するとともに、各学校において通級による指導が円滑に進むよう、国に対して引き続き加配に必要な教員定数の改善を働きかけてまいりたいと考えております。  次に、不登校経験のある生徒の現状と今後の対応についてお答えいたします。  まず、不登校経験のある生徒の現状についてでございます。  これまで本県では、様々なタイプの県立高校の設置を進めてまいりました。その中で、定時制と通信制高校は、学び直しや自分のペースでの学習ができることから、不登校経験者をはじめ、多様な生徒の学びの場となり、それぞれの生徒の希望に沿って自分に合った学校を選択しているものと考えております。  次に、今後の対応についてでございますが、教育委員会では、第二期県立高等学校教育推進実施計画に基づき、不登校経験者など多様な生徒のニーズに応えていくための学校づくりを進めることとしております。  具体的には、二〇二二年度から全日制単位制高校になる守山高校と幸田高校において、不登校経験のある生徒を対象とする特別な入学者選抜を新たに実施いたします。また、不登校経験のニーズが高い昼間定時制の新設を検討していくこととしております。  さらに、旭陵高校の通信制サテライト施設を二〇二二年度から名古屋西高校と小牧高校に設置し、平日の学習支援を行ってまいります。  なお、現在策定中の県立高等学校の再編将来構想の中でも、不登校経験のある生徒が学びやすい学校の設置を検討しているところであります。今後も生徒が学びたいと思える学校づくりを進めてまいりたいと考えております。  続いて、県立高校における転学についてお答えいたします。  議員お示しの中退や転学の人数は、私どもの提供した各学校の一年次の在籍者数と卒業式の出席予定者数の差から独自に導き出されたものと存じます。この中には、中退した者のほかに、転学や留学、原級留置、休学なども含まれておりますので、必ずしも中退の多さを示すものではありません。  教育委員会では、全日制高校間の転学や、全日制から定時制、または通信制への転学の資格、条件として四点定めており、各高校は、これに基づいて対応しております。  その一点目は、進路の変更、家庭状況の変化、健康上の理由などにより転学が望ましいと在籍校の校長が認めていること。  二点目は、在籍している学年を修了、または単位を修得する見込みであること。  三点目は、教育課程上、学習の継続が可能であると受入側の校長が認めていること。  四点目は、受入側の高校で求められる水準以上の学力があることとなっております。  転学の申出があった場合には、生徒の気持ちに寄り添って相談や助言を行うようにしております。  また、転学の時期については、二年生以上の学年の初めを原則としておりますが、虐待など急を要するケースでは、個別の事情に応じて柔軟に対応をしております。  今後も生徒が転学を希望した場合には、実情に応じて柔軟に対応し、生徒の学びが継続されるよう努めてまいります。  最後に、県立高校に在籍する外国人生徒が日本語を学ぶ機会についてお答えいたします。  現在、外国人生徒選抜の実施校である岩倉総合高校において、カリキュラムの中に日本語に関する独自の選択科目を設定し、日本語教師の資格を持つ教員が日本語教育を行っております。  また、同様に外国人生徒選抜を実施している衣台高校では、放課後に日本語教室を開いて、日本語能力試験の合格を目指す生徒が指導を受けております。  教育委員会といたしましては、今後、第二期県立高等学校教育推進実施計画に沿って日本語指導モデル校を指定し、外国人生徒に対する日本語教育の在り方について研究を進めるとともに、外部の専門機関との連携についても検討をしてまいります。  なお、国において、高校での日本語指導の制度化について検討が行われておりますので、こうした動きも踏まえながら、外国人生徒が日本語を学ぶ機会の充実に努めてまいりたいと考えております。 39: ◯福祉局長岡本範重君) 強度行動障害者への支援体制についてのお尋ねのうち、まず、県内の強度行動障害児の受入れが可能な施設の現状についてお答えいたします。  本県では、障害のある方ができる限り住み慣れた地域で安心して生活できるよう支援を行っているところでございますが、障害の程度や家庭の状況等により、在宅での生活が困難となることもございます。  そのような場合に強度行動障害児を受け入れ、日常生活の指導等を行う福祉型障害児入所施設は県内に七か所設置されており、定員は三百二十七人となっております。  障害保健福祉圏域別で見ますと、十一圏域中、名古屋・尾張中部圏域、尾張北部圏域、知多半島圏域、西三河北部圏域、東三河南部圏域の五圏域に設置されており、尾張北部圏域、東三河南部圏域には、それぞれ二か所ございます。  なお、県内に短期入所サービス事業所が三百四十六か所、障害児通所支援を行う放課後等デイサービス事業所が千六十か所設置されており、強度行動障害児をはじめ、在宅で生活されている障害のある児童の支援を行っております。  次に、強度行動障害児の入所調整における対応についてでございます。  強度行動障害のある児童を御家庭で養育することが困難となった場合、児童相談センターにおいて、本人の状態や施設の状況などを踏まえ、受入先となる施設の調整を行います。  強度行動障害児の場合、環境の変化に特に配慮が必要であり、また、施設において専門的な対応が必要となることから、入所まで一定の期間が必要となる場合もございます。  その際には、市町村や関係事業所と連携し、短期入所などほかのサービスによる在宅での生活を支援しながら、できる限り早期に入所が可能となるよう調整を行っております。  次に、強度行動障害児への支援を検討する会議についてでございます。  支援の必要な強度行動障害児に対しては、児童の状態を確認し、関係者が連携して支援を行っていくことが重要でございます。  そのため、市町村が要保護児童の適切な保護を図ることを目的として開催する要保護児童対策地域協議会において、児童相談センターや学校などの関係機関の担当者が、進学するタイミングなどライフステージの移行時や緊急に対応が必要となる場合などに、児童一人一人についての情報交換を行い、具体的な支援内容を検討しております。  最後に、支援の充実についてお答えいたします。  強度行動障害のある児童に対しては、障害特性の理解に基づく適切な支援を行うことにより行動障害が低減し、安定した日常生活を送ることができます。  そのため、本県では、二〇一四年度より国のカリキュラムに基づき強度行動障害支援者養成研修を実施し、強度行動障害のある方を適切に支援する職員を養成しているところでございます。  障害児、障害者の事業所を合わせ、これまでに直接処遇に当たる職員を対象とする基礎研修を二千三百三十九人が受講し、また、適切な支援計画を作成できる職員を養成する実践研修を六百人が受講しております。  さらに、昨年度から本県独自の取組として、実践研修を修了し事業所においてリーダー的役割を担うことが期待される方を対象に、支援者の育成を担う人材の養成等を目的とするフォローアップ研修を実施し、さらなる支援の質の向上を図っているところでございます。  今後も強度行動障害に対応できる人材を育成し、障害特性の理解に基づく適切な支援が実践できる事業所の拡大を図ることにより、強度行動障害のある方が安心して生活できるよう、しっかりと取り組んでまいります。 40: ◯十六番(おおたけりえ君) 御答弁ありがとうございました。  まず、強度行動障害につきましては、研修等により人材育成を図り、支援の充実を行っていくという御答弁だったと思います。  名古屋市では、本県で行っているような研修のほかに強度行動障害者専門支援員派遣事業を行っており、対応困難な強度行動障害者の支援などにお困りの事業所等に対し専門支援員の派遣を行い、その支援方法を職員の皆様たちと一緒に考え、行動障害の軽減と職員の方々の知識や支援技術の向上を図っておられるそうです。ぜひ、このような事業の実施を愛知県でもお願いしたいと要望いたします。  次に、私立通信制高校への補助については、一部研究してくださるとのこと、ありがとうございます。  しかし、本校が本県内にある学校のみですと、先ほど申し上げた本県内にある七十九校のうち、たった四校しか対象になりません。ここをしっかり実態調査を含めて御検討いただきたいと思います。  また、私立通信制高校への補助の際には、教育の質の確保の観点から県独自でガイドラインを設定し、それを満たした学校に補助していただくよう要望いたします。  また、県立高校再編につきましては、ぜひ廃校や集約化の検討だけでなく、今回質問させていただきましたような生徒のニーズに合った対応のできる学校を各地域に増やすことや、また、私立高校を見習っていただき、食堂やカフェテリアなど、生徒が食事をしたり、少し落ち着くことのできる場所の設置を含めた施設のグレードアップも考えていただきたいと提案をさせていただきます。  中退や転学については、きちんと数値を問題意識を持って出していただくべきかなと思っております。入学者数と卒業者数から引き算をするのではなくて、きちんと教育委員会として数字を持っておいていただきたいなと要望いたします。  転学の御答弁につきましては、再質問をさせていただきます。  今後、転学を希望した場合には、実情に応じて柔軟に対応してくださるとの御答弁をいただきありがとうございます。これまでより一歩踏み込んでくださったと理解をいたします。  しかし、現場の運用で以前と同様の運用になってしまうことが危惧されます。今後、校長先生や現場の先生方に、よほどの場合でないと公立への転学は認められないと解釈されないために、教育委員会としてどのように周知されるお考えか伺います。 41: ◯教育長(長谷川洋君) 柔軟な転学について、再度の御質問をいただきました。  教育委員会といたしましては、転学や中退する生徒をできる限り減らすことを基本に取り組んでまいりました。課題を抱える生徒の多い学校現場では、中学時代に不登校やひきこもりなど、学校生活にうまく適応できなかった生徒が、高校入学後、環境の変化と生徒一人一人に向き合う教員の熱心な指導で大きく変わり、学び直しや学校生活に意欲的に取り組む事例が数多くございます。  まずは、多様な学習ニーズに応えて、誰一人取り残さないことを最優先に、真摯で丁寧なきめ細やかな教育を心がけ、転学や中退に至らない高校教育を目指してまいりたいと考えております。  その上で、転学することがその生徒にとって望ましいと考えられる場合には、これまでと同様、本人、保護者に寄り添って、その希望を尊重しながら丁寧に相談に乗って柔軟に対応することを徹底してまいります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 42: ◯四十一番(南部文宏君) 暫時休憩されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 43: ◯副議長近藤裕人君) 南部文宏議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。
        〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 44: ◯副議長近藤裕人君) 御異議なしと認め、暫時休憩いたします。     午後三時二分休憩      ━━━━━━━━━━━━━━━━━     午後三時五十分開議 45: ◯議長坂田憲治君) 休憩前に引き続き会議を開きます。  通告により質問を許可いたします。  杉江繁樹議員。     〔十番杉江繁樹君登壇〕(拍手) 46: ◯十番(杉江繁樹君) 常滑市選出の杉江繁樹でございます。  通告に従い、大きく三項目について質問をさせていただきます。  一つ目の質問は、コロナ禍における山車祭りの継承についてでございます。  新型コロナウイルス感染症の影響により、私たちの現在の日常生活はコロナ禍の前とは全く異なるものとなってしまいました。そうした中、今もこの瞬間も医療関係者をはじめあらゆる方々が一丸となって、オール愛知で感染症の克服を目指して取り組んでいただいております。また、ワクチン接種についても大村知事のリーダーシップにより様々な方法で着実に進められております。新型コロナウイルス感染症対策に関わる全ての方々の御尽力に心から感謝を申し上げたいと思います。こうした取組により安心して暮らせる日常生活を取り戻すことができるものと期待しております。  しかし、コロナ禍に関しては様々な課題があり、多くの質問がなされておりますが、私からは山車祭りの継承について取り上げさせていただきます。  言うまでもなく、山車祭りは世界に誇る愛知県の伝統文化であり、取り分け愛知県はモノづくり愛知につながる精巧なからくり人形を乗せた山車が集中するなど、全国でも有数の山車祭りが盛んな地域であります。また、二〇一六年十二月にはユネスコ無形文化遺産として山・鉾・屋台行事が登録され、国内三十三件の登録行事のうち愛知県は尾張津島天王祭の車楽舟行事をはじめ五件が登録され、その数は全国最多となっております。  私の地元であります常滑市にも市内各所に山車祭りがあり、県内でも山車祭りが大変盛んな地域の一つであります。コロナ禍の前には毎年春先にそれぞれの地区で伝統に基づく山車祭りが開催されて、どの地区の皆様も我がまちの祭りとして開催を楽しみにしておりましたが、昨年は中止あるいは山車を引かずに神事のみを一部の関係者に限定して行うなど、全ての地区において本来の姿での開催ができておらず、今年においても同様の状況となっております。  また、常滑市では、コロナ禍になる前の今から約二年前、二〇一九年十月十三日に第三回とこなめ山車まつりを開催しました。豪華で華やかな彫刻や幕などで装飾された市内十八両の山車がそろい、来場されたお客様が会場内を移動するのも大変なほど県内外の多くの方々が訪れ、大盛況でありました。そのときには大村知事にも御臨席を賜り、盛り上げていただきありがとうございました。僅か二年前のことですが、遠い昔のように思われます。  隣の半田市でも、来年十月には五年に一度市内の山車が集結するはんだ山車まつりが開催される予定でありましたが、この七月末に一年の開催延期が発表されたところです。半田市内の三十一両もの山車が勇壮な引き回しの後、一堂に会す様子はまさに圧巻であり、知多地域最大の山車祭りでありますが、一年の延期はコロナ禍の現状を踏まえた苦渋の決断であったことと思います。実は本来であれば昨日も東海市の尾張横須賀まつりの日でしたが、今年も中止となってしまいました。山車を蔵の前で展示することだけが行われたようです。  そもそも山車祭りを開催するためには、その地区の方々が一年を通じて日常的に集い、山車の巡行に向けた準備やおはやしの練習などに継続して取り組むことが必要であります。また、祭礼の当日には多数の観客の前で大きな声を掛け合いながら山車を引いたり、かじ棒を数人で操り方向を変えたり、狭い山車の中でからくり人形を操作したり、多くの子供たちが近距離ではやしを奏でたりと、それぞれの地区で伝承されてきた方法で祭礼行事を行うこととなります。  この年間を通じた一連の準備のプロセスや地域で受け継がれてきた祭礼行事の方法を後世に伝えていくことが伝統文化である山車祭りの本質でありますし、祭りを通して世代間の交流が行われることは地域コミュニティーの形成にも大きな役割を果たしてきました。  一方で、この一連の準備プロセスや伝統的な祭礼行事の方法は新型コロナウイルス感染症対策とは相容れないものであり、ここ二年間のコロナ禍による影響は山車祭りの存続、継承にも大きな支障となりつつあります。  その一部を紹介させていただきますと、私も所属する地元の瀬木祭り保存会では、祭りばやしを子供たちに伝承していました。それは多くの地域でも同じことだと思います。しかし、昨年の全国での学校一斉休業があり、子供たちを集めることもできませんでした。今年は何とかできないか、関係者の皆さんは知恵を出し夏休み前に、ほんの短時間ですが、子供たちを集めることができました。  しかし、現在のコロナウイルスの変異株では子供たちへの感染も確認されており、今後は困難になることが考えられます。既にある年代の子供たちは祭りばやしに触れ合えない状況ができてしまいました。  また、祭礼に使用する山車は毎年組み上げられ、祭礼が終われば解体され、部品として蔵に収納されています。その組み上げの技術も伝承していかなければなりません。しかし、その作業は多くの人手により行われるため、どうしても密になってしまいます。各関係者とも頭を悩ませています。  そして、別の地区では、祭礼のときに使用するしめ縄作りを伝えていかないと途絶えてしまいますので、祭礼はできませんが、若者たちとしめ縄を作った地区もあります。祭礼を運営する関係者の方々は、春が駄目なら秋にとか、来年こそはきっとなど希望をつなぎ、その思いを温めているところでございます。  今月十八日に半田市のアイプラザ半田で開催された第九回日本の祭シンポジウムを拝聴させていただきましたが、この思いは自分の地域だけでなく、山車祭りに関わっている多くの方々が同じ思いでいることを確信しました。  そうした中で、県においては、あいち山車まつり日本一協議会の取組を通じて、コロナ禍においても様々な工夫を行いながら山車祭りの保存、継承に取り組んでおられます。例えば昨年十二月には県内百五十九の山車祭りを網羅した山車まつり図鑑を刊行され、本県の各山車祭りの魅力を分かりやすく紹介していただきました。この図鑑の作成はコロナ禍の前に計画されたものとのことではありますが、様々な地区の山車祭りの歴史や見どころ、開催時期等を写真つきで知ることができ、また、ホームページでもダウンロードできることから、各地区の山車祭りが再開した際には多くの方々が興味を持っていただくためのきっかけとして効果が期待できると思います。  また、今年三月には、山車祭りの魅力や継承の取組を紹介する映像作品を制作し、愛知の山車文化の情報発信に努められました。  作品では、私の地元、常滑市の西寳車囃子保存会の西之口祭りも取り上げていただき、保存会の皆様からは撮影を通じて会員の気持ちの一体感が増した、子供の意識が高まり後継者育成につながった、DVDを地区で回覧したところ、日頃は山車祭りに関わっていない住民から褒められ、祭りを再評価してもらえたなどといった感想が聞かれ、大変喜んでおられました。  また、今回の映像作品制作は、祭り好きの方々にとっては再開後の祭りを楽しみにする気持ちが高まったのではないかと思います。さらに、昨年度はコロナ禍の影響で活動の縮小を余儀なくされた山車祭り保存団体に対し、山車一台につき十万円をあいち山車まつり緊急支援金として交付され、マスクや消毒液といった感染症対策や用具の修繕に対して支援を行っていただきました。私の地元団体も大変感謝しておりましたが、何よりコロナ禍であっても山車祭り保存団体に対し、県が目を向けていただいたことが喜びだったと思います。  ここまで申し上げてきましたが、現状のコロナ禍においては今までどおりの山車祭りの準備や祭礼行事を開催すること自体が難しいことなどを踏まえれば、山車祭りの存続、継承に向けた具体的な取組を実施していくのは簡単ではないことは理解できます。  ただ、出口が見えない状況であっても、各地区の現状や課題を踏まえた取組を進めていただくとともに、各地区の山車祭りがコロナ禍で途絶えることがなく確実に継承していけるよう、また、感染症対策が進み山車祭りが再開できるようになった際には、各地区の山車祭りをコロナ禍の前以上に多くの方に楽しんでいただけるよう、県としても引き続きできる限りの取組をお願いしたいと考えます。  そこでお尋ねいたします。  コロナ禍における県内の山車祭りの現状を踏まえ、その継承について、県としてどのように認識され、また、どのように取り組まれていくのか、お伺いいたします。  二つ目の質問は、第三十八回伝統的工芸品月間国民会議全国大会開催についてでございます。  先日の代表質問でもありましたが、私の地元で開催される大会でございますので、ぜひ質問をさせていただきたいと思います。  本年十一月に愛知県国際展示場、アイチ・スカイ・エキスポにて、第三十八回伝統的工芸品月間国民会議全国大会が、「百年の恋、千年の愛。KOUGEIが編む、「愛」「知」「物」「語」」をテーマに開催されます。伝統的工芸品月間国民会議全国大会は、経済産業省が伝統的工芸品に対する国民の理解とその一層の普及を目指し、一九八四年から毎年十一月を伝統的工芸品月間と定め、全国各地で開催しているものであります。  ここ最近は、二〇一六年、福井、二〇一七年、東京、二〇一八年、福岡、二〇一九年、岩手、二〇二〇年、京都で開催され、今年は愛知、そして、来年二〇二二年は秋田で開催されることが決まっております。昨年の京都大会では、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、関連行事やイベントがオンラインと対面のハイブリッドスタイルで実施されました。今年の愛知大会においても新しい試みも期待されますが、まずは、新型コロナウイルス感染症下の状況が少しでも落ち着いており、多くの皆様に御来場いただけることを希望します。  伝統的工芸品とは、一、主として日常生活の用に供されるもの、二、その製造過程の主要部分が手工業的、三、伝統的な技術または技法により製造されるもの、四、伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ製造されるもの、五、一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、またはその製造に従事しているものという五つの項目を全て満たし、伝統的工芸品産業の振興に関する法律に基づく経済産業大臣の指定を受けた工芸品のことをいいます。  国が指定した伝統的工芸品は、二〇二一年一月十五日時点で全国に二百三十六品目あり、私たち愛知県にはその中の十五品目があります。このように、多くの伝統的工芸品が存在するのは愛知県が古くからモノづくりの地であったあかしであると言えます。  そして、私の地元常滑市には、平成二十九年に日本遺産に認定された国内最古の焼き物の産地、日本六古窯の一つである常滑焼があり、国から伝統的工芸品として指定を受けております。  常滑焼の歴史については何度か質問のときに触れさせていただきましたが、少し振り返りますと、六百五十から百万年前に存在していた東海湖が生んだとされる良質な粘土を原料に、平安時代末期から知多半島の丘陵地に窯が築かれ、かめやつぼが焼かれたことが常滑焼の始まりとされています。その後、時代とともに変遷していき、江戸時代後期には連房式登窯が採用され、かめのほか、土管、朱泥急須などが生産され、近代ではれんが、タイル、衛生陶器などの生産も始まり、現在に続いています。  その中で、製造方法として、伝統的なろくろ、押し型、手ひねりといった型づくり方法で成形されたもので、主な製品として、茶器、花器、置物、植木鉢、つぼ、かめなどが常滑焼として伝統的工芸品に指定されています。  また、常滑市には、盛んに焼き物を製造していた当時の古い町並みが残っており、その一帯をやきもの散歩道として観光資源として活用し、多くの観光客の皆様に訪れていただいています。コロナ禍前のインバウンド旺盛なときは、休日、平日問わず大型バスで観光客が訪れ、海外からの人たちがやきもの散歩道を楽しむ姿が多く見られました。  常滑焼の業界では海外販路も積極的に開拓しており、中国だけでなくヨーロッパにも盆栽鉢などを広める努力をしておりました。しかし、この新型コロナウイルス感染症が瞬く間に世界中に広がり、それまで旺盛だったインバウンド需要はなくなり、海外販路の開拓も困難な状況に追い込まれました。  インターネット技術の発達によりかなりリアルに近い製品の紹介はできるようになりましたが、常滑焼をはじめとする伝統的工芸品はやはり手に取り、その重みや手触り、細かい部分の細工などを感じることにより購買意欲が高まるものであると思います。  このような背景の中、第三十八回伝統的工芸品月間国民会議全国大会が愛知県で開催されることになりました。これは、地元常滑市だけでなく県内伝統的工芸品の産地にとっては大変喜ばしく、大切な機会だと思います。また、開催場所の愛知県国際展示場、アイチ・スカイ・エキスポでは、時を同じく、ロボカップアジアパシフィック二〇二一あいちが開催されます。モノづくりの原点である伝統工芸と最先端のロボット技術の大会が同時に同じ場所で味わうことができるのはとても画期的なことであり、相乗効果を期待するところであります。  政府は、新型コロナ対策としてワクチン接種を推進しており、社会活動再開へ向け行動制限の緩和を発表しました。愛知県で開催される第三十八回伝統的工芸品月間国民会議全国大会とロボカップアジアパシフィック二〇二一あいちの二つの催事が新しいウイズコロナ時代の先駆けであることを期待します。  そこでお尋ねいたします。  今回の第三十八回伝統的工芸品月間国民会議全国大会においてどのようなことを実施されるのか、お伺いいたします。  また、多くの人に御来場いただき、ぜひ会場外である常滑市内に足を運んでもらい、地域経済回復のきっかけとしていただきたいと思います。  そこでお尋ねいたします。  この全国大会の来場者に会場の外にも足を運んでいただけるようどのような取組を行う予定か、お伺いいたします。  続いて、最後、三つ目の質問でございます。  三つ目の質問は、愛知県国際展示場、アイチ・スカイ・エキスポにおける音楽催事についてでございます。  愛知県国際展示場、アイチ・スカイ・エキスポは、中部国際空港と直結型の国内唯一の常設の保税展示場として、展示面積六万平方メートル、多目的利用地を加えれば十万平方メートルもの大きさで、東京ビッグサイト、幕張メッセ、インテックス大阪に続く国内第四位の規模を誇る施設として、二〇一九年八月三十日に開業しました。開業から約半年で新型コロナウイルス感染症の影響を受けることとなり、運営については多くの苦労があったと思います。  しかし、その広さを生かし、密を回避した試験会場やイベントなどに利用されてまいりました。そして、今年の六月にはフーマジャパン二〇二一(国際食品工業展)というアジア最大級の食の技術の総合トレードショーが開催されました。私も会場を拝見しましたが、展示場全体が利用され、この施設のすばらしさを改めて感じることができ、大変うれしく思いました。  しかし、そのような関係者の築き上げてきた愛知県国際展示場の信用や名前を傷つける出来事が起きてしまいました。それは八月二十九日に開催されたナミモノガタリ二〇二一という音楽フェスでございます。  当時を振り返ると、愛知県では、八月二十六日にはコロナの新規陽性者は二千人を超えるという過去最大の感染拡大状況でした。愛知県国際展示場、アイチ・スカイ・エキスポの立地する常滑市も感染は拡大しており、常滑市の医療の拠点である常滑市民病院は、コロナ患者を受け入れると同時に発熱外来などに対応することが許容量を超える状態にあり、救急搬送にも対応が困難な状況でした。  そして、この音楽フェスは、以前、常滑市のりんくうビーチでの開催実績があり、そのときの苦情など過去の状況を考え、その開催を知った常滑市は、事前に大規模イベント等における感染拡大防止のためのメッセージを市長名で愛知県国際会議展示場株式会社に送付しました。私も常滑市からの話を受け、愛知県の国際展示場室に地域の病院の現状を伝えるとともに、懸念をお伝えさせていただきました。もちろん愛知県の国際展示場室も報道やホームページで公表されているとおり、事前に主催者に対し何度も感染対策や酒類提供の自粛を要請していたところであります。  ですが、その要請は受け入れられることなく、無残にも裏切られました。SNSなどで当時の映像は瞬く間に拡散され、翌日の八月三十日には常滑市役所に抗議の電話が殺到し、業務に支障が出るほどでした。それは多くの報道で取り上げられるごとに苦情の電話やメールなどが来たとのことです。伊藤辰矢常滑市長は、八月三十日、常滑市議会開会日に本会議場で、市民の努力を愚弄する悪質なイベントを開催したと憤りを表しました。また、大村知事も即座に強い抗議をしていただきましたことは、やりきれない思いをしていた者たちにとって救いであったと思います。  私たちは、コロナ禍になって以来、様々な措置により県民の皆様に多くの我慢をお願いしてまいりました。ほとんどの皆様はコロナを早く終息させるため、自粛や感染対策に協力していただいております。そんな正直な人が損をするような世の中をつくってはならないと思います。ですが、決して音楽のジャンルやフェスを悪と言っているわけではありません。その業界の皆様も要請に従い感染対策をしっかりとし、苦しいながら事業を続けている人たちが多くみえます。  それに、愛知県国際展示場、アイチ・スカイ・エキスポという施設は、愛知県にとっても、地元常滑市にとっても重要な施設であります。今後も多くの国際的な催事などが開催され、地域経済を牽引していく施設であってほしいと希望します。だからこそ、今後、このようなことが起きないようにしていくことは大切だと考えます。  そこでお尋ねいたします。  ナミモノガタリ二〇二一の開催に当たり、県として主催者とどのような調整を行ったのか、また、今後の再発防止に向けどのように取り組むのか、お伺いいたします。  以上、理事者からの明快な答弁を求め、質問とさせていただきます。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) 47: ◯県民文化局長(水野直樹君) コロナ禍の山車祭りの現状を踏まえ、その継承についてどのように認識し、どのように取り組んでいくのか、お答えいたします。  昨年からの新型コロナの影響で、各地域の山車祭りは活動の縮小、中止を余儀なくされており、いかにして山車祭りの保存、継承等を図っていくかが大きな課題であると認識しております。  そこで、県としましては、知事を会長に八十五の保存団体と三十二の市町で構成するあいち山車まつり日本一協議会において、山車祭りが本来の形で再開できる日に向け、山車文化の魅力発信や次世代育成等の様々な取組を企画、実施しております。  具体的には、昨年度は五つの保存団体の活動や継承の状況を臨場感あふれる映像作品にまとめ、ユーチューブ等により広く発信しました。取材を受けた五つの団体からはモチベーションが高まったという声をいただくとともに、それぞれの地元の方々などからも映像を見て山車祭りに関わりたいと思うようになったなどの感想を多くいただき、コロナ禍で従来どおりの開催ができない中、山車祭り継承の一助になったものと考えております。  そこで、今年度におきましても、新たに六つの保存団体を取り上げ、過去にテレビ局が撮影した映像と今回新たに取材、撮影する映像とを合わせて新たな作品を制作することとしております。  中でも三団体につきましては、後継者育成への取組を主なテーマとすることで、コロナ禍での祭りの継承に苦慮されているほかの保存団体にも参考にしていただける内容としてまいります。  さらに、協議会では、感染症対策を十分講じた上で、祭りとSDGsをテーマとしたシンポジウムや祭りの保存と伝承について考える研修会、山車文化の魅力を発見する講座などを実施してまいります。  県といたしましては、あいち山車まつり日本一協議会の取組を通じて、保存団体や関係市町との連携を図りながら、世界に誇る本県の伝統文化であり、地域の宝である山車祭りの保存、継承に向けて引き続きしっかりと取り組んでまいります。 48: ◯経済産業局長(矢野剛史君) 伝統的工芸品月間国民会議全国大会についてのお尋ねのうち、まず、今回の大会の実施内容についてお答えいたします。  愛知大会は、消費者に対して工芸品の魅力を発信するとともに、作り手自身が工芸の可能性に改めて気づくことで、伝統的工芸品産業を未来とつないでいく契機とすることを基本方針とし、開催に向けて準備を進めているところであります。  まず、消費者への工芸品の魅力発信としては、伝統的工芸品を一堂に集めての展示販売や職人による実演、ワークショップでの工芸体験といった来場者が工芸品を間近で見て触れて魅力を体感していただける各種催事を行います。なお、愛知の様々なグルメやステージイベントといったおもてなしの企画も行う予定にしております。  また、工芸の可能性に対する作り手の気づきを促すものとして、伝統の技を活用した新商品の展示や工芸品の価値を直接消費者に問うあいちの工芸逸品オークション、アニメなどのポップカルチャーと工芸を融合させるPOP工芸展など、県内の意欲的な職人の取組を集めた各種企画展を行います。  新型コロナウイルス感染症への対応についても、各指針等を踏まえて対策に万全を期し、三十五年ぶりとなる今回の大会に多くの皆様に安心してお越しいただき、伝統的工芸品産業の今後の発展の契機となる大会にしてまいりたいと考えております。  続きまして、全国大会来場者に会場の外にも足を運んでいただく取組についてお答えいたします。  県内外から多くの方々が来訪する今回の大会は、本県の伝統的工芸品とともに、工芸品の産地についてもその魅力を発信する絶好の機会になることから、会場である常滑市をはじめ関係市と連携して取組を行ってまいります。  具体的には、会場内での催事とともに、会場周辺を巡回するバスを運行し、会場と近隣の魅力的な観光スポットであるやきもの散歩道や十二店舗の焼き物専門店を展開するセラモールなどを気軽に行き来していただけるようにして、来場者に常滑市内のまち歩きなども楽しんでいただけるようにいたします。  また、工芸品産地の歴史や文化、さらには地元の空気を体感していただけるよう、例えば常滑焼や有松・鳴海絞りなどの産地内の見どころをそれぞれ巡るバスツアーを実施する予定にしています。  工芸品と併せて産地の魅力を知っていただき、産地の活力回復につなげていくとともに、全国大会終了後にも再び観光等で産地に足を運んでいただけるよう、しっかり準備を進めてまいります。 49: ◯観光コンベンション局長(武田光弘君) ナミモノガタリ二〇二一開催における主催者との調整状況及び再発防止に向けた取組についてお答えします。  本県では、アイチ・スカイ・エキスポの運営事業者と共に、国や県などのガイドラインを遵守する形で開催されるよう主催者と打合せを行ってまいりました。  具体的には、ソーシャルディスタンスの確保やマスク着用などの徹底を要請するとともに、観客などが集まりやすいステージ前について、特に密を回避するよう厳重な対策を求めました。これに対し、主催者からは、各種ガイドラインや県の要請を遵守するとともに、ステージ前についてはエリアを柵で区切った上で、警備員が柵の中に入る人数を制限するとの報告を受けておりました。  さらに、酒類の提供については、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言を踏まえ、再三にわたり主催者へ自粛を求めてまいりました。主催者から契約上はキャンセルできない酒類は提供したいとの申出があった際も、感染拡大により医療体制が逼迫している状況などを踏まえ、強く自粛を要請いたしました。  こうした再三の要請にもかかわらず、感染防止対策が極めて不十分な状況で開催されたことは大変遺憾であります。  本県では、今回の事態を大変重く受け止め、開催翌日の八月三十日に主催者に対し厳重に抗議いたしました。また、同日、主催者がホームページに掲載したお詫びと経緯のご説明には、本県が酒類の提供も可能としたなどといった事実と異なる記述があったことから改めて抗議したところ、主催者自らの判断で提供したことを認め、お詫びと経緯のご説明を取り下げた上で新たな謝罪文を掲載しております。  今後、同様の事態の発生を防止するため運営事業者と緊密に連携して、感染防止対策の実施状況などを幅広く情報収集するとともに、必要に応じて現場確認を行うなどにより感染防止対策等の遵守、徹底を強く要請してまいります。  また、本県では、今月十六日に有識者による検証委員会を設置し、主催者をはじめ関係者へのヒアリングを通じて事実関係の確認、検証を行うとともに、再発防止に向けて提言していただくこととしております。この内容を十分に踏まえ、運営事業者と共に再発防止に取り組んでまいります。 50: ◯知事大村秀章君) 杉江繁樹議員の質問のうち、アイチ・スカイ・エキスポにおける音楽イベントについてお答えをいたします。  その前に、このマスクは、ちょうど一年前、常滑焼まつりでしていったマスクでございますが、何でかなと思ったら、猫がついておるんですよね。ということで、常滑、地元、また、知多半島では南知多町のこういうマスクもありますので、よろしくお願いいたします。  さて、今日の私の答弁予定、これが最後になりますので、今日の陽性者数をこの場で申し上げたいと思います。ちょうど始まる前にまとまりました。  本日九月二十七日、愛知県は、新規の陽性者数は七十三人、うち再感染一人でありまして、百人を切る二桁というのは、七月二十六日の月曜日、ちょうど九週間ぶりに、当時、七月二十六日は七十人でありまして、二千三百三十九人までいったのが、ようやく九月に入って下がってまいりまして、今日は七十三人、月曜日なので少し検査数は少なめということもありますが、それでも二桁ということでございます。  ちなみに、皆さん、自分のところが知りたいと思いますので内訳を申し上げますと、県の保健所所管分が二十九人、名古屋市が二十九人、豊橋が二人、岡崎が三人、一宮が四人、豊田が六人の七十三人ということでございます。一応人口でいきますと、県所管分が三百七十万人口で、名古屋市が二百三十万、中核四市で百五十五万というのが、それで七百五十五万という人口でございますが、そういう中で、二十九、二十九、二、三、四、六で七十三ということでございます。  ということでありますので、緊急事態宣言の解除というのは大体そういう視野に入ってきております。今、国とも毎日打合せをしておりますが、そうした形で、ただ、十月一日以降も引き続き何らかの規制といいますか、いきなり全部フリーというわけではありませんので、やはり規制はしっかりやっていきたいと。徐々に徐々に緩和をしていくということだろうと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  そして、スカイ・エキスポにおける音楽イベントについて申し上げます。  県民の皆様に感染防止対策の協力をお願いし、医療従事者の皆様が現場で必死に対応されている中で、特に八月末は、議員も御指摘のように、一番ピークだったときでありました。そういう中で、ナミモノガタリなる音楽イベントが本県からの度重なる要請を無視して、感染防止対策が不十分な状況で開催されたことは極めて遺憾であります。
     また、多くの音楽イベントが各種ガイドラインに基づいて感染防止対策をしっかりと講じて開催されている中で、関係者のこれまでの努力を一瞬で無にするとともに、音楽イベント全体に対する信頼を揺るがせかねない罪深い事案だというふうに考えております。  ということで、本県では、有識者による検証委員会を設置し、速やかに事実関係を検証するとともに、再発防止策を検討していただいております。この結果を踏まえまして、二度とこのようなことが起きないように再発防止策を全国に情報発信するとともに、イベントの主催者、施設の管理者はもとより、参加者の皆様にも感染防止対策の徹底の働きかけや呼びかけを行ってまいります。  なお、このイベントが終わった八月三十日月曜日から毎日毎日主催者には抗議し、連絡も取れましたので、直接その旨を伝え、とにかくこうしたことについては極めて遺憾だということも伝え、あわせて、感染防止対策の徹底を改めて主催者、いろんな関係の主催のそうした事業者にも呼びかけをさせていただきまして、あわせて、参加する方々にもやはりルールを守ってもらわないと、こういう音楽イベントなどは開けなくなってしまうと。現にやめろという声もあるわけですから。  ただ、それは、我々はそういう立場は取りません。文化、芸術、音楽、アーティスト、そういった方々がやはりこの世の中には必要だということは、みんな認識は同じだと思っております。共有していただいております。なので、あとはしっかりと感染防止対策のルールを守っていただくということを改めて主催者、事業者、そして、参加される方々にも徹底していきたい、そのことを申し上げていきたいというふうに思っております。  今後とも感染防止対策も含めて、そうしたものとこうしたイベント等との両立をしっかりやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。 51: ◯議長坂田憲治君) この際、お諮りいたします。  会議中、時間経過のおそれがありますので、時間を延長することに決しまして、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 52: ◯議長坂田憲治君) 御異議なしと認めます。よって、時間は延長することに決定いたしました。  進行いたします。  黒田太郎議員。     〔十八番黒田太郎君登壇〕(拍手) 53: ◯十八番(黒田太郎君) 新政あいちの黒田太郎です。  私からは、発達障害児支援の充実について質問をさせていただきます。  質問項目はこの一点でありまして、問題意識に関する説明が大変長くなりますので、あらかじめ質問の概要を冒頭で申し上げておきます。  発達障害は、障害というよりは生まれながらの特性であり、適切な支援を行うことでその特性を伸ばすことができれば、本人にとっても社会にとっても幸せがもたらされると考えられます。しかし、現実的にはその特性が学校教育で生かされなかったり、いじめの対象になることなどにより、本人にとって生きにくい状況に陥ることもあり得ます。生きにくい方がいる社会は、社会としてもあまり幸せな状況ではないと思います。このように、発達障害児をいかに支援するかによって、本人も社会も幸せになるか、本人も社会もあまり幸せではなくなるか、分かれ道があるのだとすれば、私たちは本人も社会も幸せになる道を進みたいものです。  では、発達障害児をどのように支援すれば私たちは本人も社会も幸せになれるのか、これが今回の私の質問の骨子であります。  では、以下に順を追って説明をしながら質問に結びつけてまいります。  状況を想像しやすくするために、映画を二つ御紹介させていただきます。  一つ目は、フォレスト・ガンプです。一九九四年にアメリカで公開されたこの映画は、トム・ハンクスが演じるフォレスト・ガンプの半生を描いたものです。ガンプというのは、アラバマ州の方言でうすのろとか間抜けを意味するそうで、幼少期のフォレスト・ガンプは、知能指数が低い子供という設定であり、一般の小学校より特別な支援の得られる学校への入学を勧められました。  そのとき、小学校の先生は、お子さんは他のお子さんと違うと主張します。しかし、フォレストの母親は言います。人は皆それぞれ違っていると。母親のこの言葉は発達障害児を支援していく上でとても大切な言葉であると私は思います。  その後、フォレストは母親の思いが通じ一般の小学校に入学できましたが、いじめの対象となってしまいました。友達に追いかけられ、石を投げつけられます。そのたびに幼い恋人から、フォレスト、走ってと言われます。最初はろくに走れなかったフォレストですが、このことを繰り返していくうちに足がどんどん速くなっていきました。いじめられ、走って逃げる学校生活だったのですが、これが大学のアメリカンフットボール部の目に留まり、彼はスター選手になっていきます。  部活動で大活躍するフォレストを今度は軍隊が注目しました。卒業と同時に軍隊への入隊が決まったフォレストは、軍隊における規則的な訓練や生活が合っており、ここでも高い評価を得ることができます。送られた戦地はベトナムでした。戦友が死んでいく悲惨な戦争でしたが、フォレストはそこで卓球と出会います。その後は卓球の世界でも大活躍することになります。帰国後、除隊となったフォレストはエビ漁に乗り出します。なぜエビ漁だったかと言えば、ベトナムで戦死した親友と帰国後には一緒にエビ漁をやると約束したから、ただそれだけの理由でした。約束を果たす気持ちも一途なら、漁に取り組む姿勢も一途です。全くの素人ですから、ろくな成果も上げられないわけですが、それでもエビ漁に集中して取り組むうちにとうとう大漁を経験し、その後は大漁続き。ついにはエビ販売会社を設立して財産を築くのでした。  話の結末については今回の質問内容には関係がありませんのでここでは申し上げませんが、この物語は発達障害児を支援する上で示唆に富んでいると思います。  次に御紹介する映画はレインマンです。  ダスティン・ホフマンが兄、トム・クルーズが弟を演じるこの映画は、一九八八年に公開されました。ある日、お金に困る弟のところに、父親が亡くなったとの電話が入ります。弟は密かに父親からの遺産が手に入ることを期待したのですが、父親の遺産は、弟には車一台とバラの花だけ、残りの財産は全て兄に渡ることになったのです。  兄は、当時の字幕によると自閉症です。人との意思疎通には難があり、朝食は何時に何を食べる、何時になったらテレビのどの番組を見るなど、決まった生活以外のことをすると不安に陥ります。そして、不安に陥ったときは決まって同じせりふを繰り返すことになるので、施設外での生活は難しいと言わざるを得ません。  弟は遺産獲得を目的に、そんな兄を無理やり施設から連れ出し、自宅に連れていこうとします。ここから兄と弟とのアメリカ大陸を横断する珍道中が始まります。兄は飛行機が怖くて乗ることができません。高速道路も拒絶します。仕方なく一般道を車で移動することになった弟は、既にこの時点でかなり切れていました。しかし、兄は兄でふだんと異なる生活を強いられているため、不安でいっぱいです。  険悪な雰囲気の中で旅が進んでいきますが、幾つかの出来事を経て弟は兄のたぐいまれな能力に気がつくことになります。例えばレストランでようじが入れ物から床に落ちてしまいました。それを見た兄は、見た瞬間に二百四十六本と数え上げます。店員さんによれば二百五十本入りの入れ物から四本使っていたとのこと。兄の見立ては正しかったわけですが、弟はそれを大して気に留めませんでした。  しかし、別の店では、テーブルに置かれている音楽のリクエストカードを兄は見ただけで全て暗記していることに気づきました。弟はもしやと思い、トランプのカードを車のボンネットにばらまき、手元に残った数枚が何のカードか兄に聞けば、兄は全てそれを正確に言い当てました。弟はしめたと思い、兄を連れてラスベガスのカジノに行きます。カードゲームに取り組みました。弟の思惑どおり、兄には相手の手のうちが全て分かるため、カジノの主催者にイカサマを疑われるほどの大もうけをすることになるのです。  この辺りから弟の兄に対する見方が変わってきます。高い能力を持っているというだけではなく、幼い頃の忘れていた記憶も徐々に甦り、兄のことを自分にとって唯一の親族であり、真の兄と認めることができるようになっていったのです。すると、兄のほうでも変化が起きました。これまで兄にとって心を開ける人は施設で世話をしてくれる男性ただ一人でした。しかし、弟に連動して兄も変化し、弟にも心を開くようになったのです。  これらの物語の中には、発達障害児の特性と発達障害の人と関わる上での大切な心構えが多く盛り込まれていると思われたので取り上げました。実話ではありませんが、物語を作る上で参考にした事実があるのではないでしょうか。  まずは、発達障害児にとって、本人の自己肯定感とそれを促す周囲の配慮がとても重要であるということです。フォレスト・ガンプであれば、母親と恋人は常にフォレストの味方であり、応援者であり、フォレストのことを肯定し続けました。学校では石を投げつけられてもこうした支援があったからこそフォレストはフットボールで、軍隊で、卓球で、エビ漁でその才能を開花させることができたのでしょう。また、レインマンの場合、弟がついに兄のことを唯一の親族と気づき、兄貴ができてうれしいと語りかけたことによって、兄は弟を数少ない心開ける相手と認められるようになりました。  人は誰でも周囲から自分の存在を肯定的に認めてもらいたいものであり、その感覚が支えとなって自分はこの自分でよいのだと自分自身の存在を肯定できるようになるのではないでしょうか。  また、発達障害児にはしばしば一般的な人々が持ち合わせていない高い能力が見られることがあります。  フォレスト・ガンプの場合であれば、結果として脚力や卓球の技量、エビ漁の成功があったにせよ、それをもたらしたのは一途な心と驚異的な集中力にあるのではないでしょうか。走れと言われればひたすら走る、来た球は必ず打ち返す、取れるまで漁を続けるなど、一般の人が嫌になり投げ出してしまうような状況になっても集中力が途切れることなく続く、だからこそ、時として大きな成果を引き出すことができるのではないでしょうか。レインマンの場合は、人並み外れた記憶力と計算能力が物語の中で描かれており、これも発達障害児に時折見られる特性のようです。  それでは、映画の話ばかりではなく、実在の人物で例を見てみたいと思います。  ある上場会社の社長Aさんは、御自身が発達障害であることを認めています。そんなAさんの公開されているインタビュー記事から幾つか素材を拾ってみます。  まず、小学校の頃からいわゆる外れ者タイプで、先生ともうまくいかないし、友達もいないし、誰にも関心が持てませんでしたとあります。そして、勉強にも興味がなくて出遅れていたにもかかわらず、大学受験半年前から高い集中力で受験勉強に取り組み、何と難関大学に合格します。ところが、大学入学後は勉強にもスポーツにも遊びにもなかなか関心が続かず、やり出してもすぐやる気を失い、全てが中途半端になっていったそうです。  そんなAさんに転機が訪れました。アルバイトをしていたところ、その上司がなぜかAさんのことを褒めまくったそうなのです。可能性がある、世の中を変えていく人になるかもしれないと言われ続けたAさんは、徐々に自分でもそうかもしれないと思えるようになったのでした。さらに、上司は、いい声をしているね、リーダーシップがあるね、頭がいいねととにかく褒め続け、Aさんは初めて自分の居場所を見つけた気がしたと言っています。その後はバイト先の経営に対して様々な提案をするようになり、それが当たって客も増え、上司はAさんに経営の才能があるからニューヨークか東京に行きなさいと助言をしたそうです。  大学卒業後、Aさんは東京を選びある企業に入社、何とその翌年に代表取締役に抜擢され、その後、この会社は東証一部上場を果たしています。  もう一人、人物を挙げてみたいと思います。それは稗田阿礼です。稗田阿礼は古事記編さん者の一人と言われており、実在には諸説のある人物ではありますが、ここでは実在を前提に話を進めていきます。  稗田阿礼は、目にしたもの、耳にしたものは全て記憶することができたと言われており、この能力を時の天皇に買われ、重要な言い伝えや書物を暗記するように命じられ、暗記した内容を稗田阿礼が言葉にし、それを記録することで古事記が出来上がったと言われています。  私は、かつて何かの本でこの一説を読んだときに、そんなことはあり得ない、古い記録はいい加減だと思ったものでした。ところが、何年もたった後、レインマンという映画に出会い、全てを瞬時に暗記する兄を見たとき、稗田阿礼とこの兄がつながりました。こうした高い能力を持った人は古今東西で存在するのではないかと思い直したのです。  このように、Aさんは外れ者であったが、高い集中力を持ち、上司に長所を認められることで居場所が見つかり、その後は才能が開花していきました。稗田阿礼についても、発達障害であったのかどうかは不明ではありますが、天皇に認められ、国書の編さんに関わることで大いに社会貢献をしました。これら二人に共通するのも、誰かがその人を認めるということです。そして、認められたことによりその人の才能は社会に生かされ、本人も安心して自分が自分でいられる状態になったのではないでしょうか。  しかし、現実の社会はどうでしょうか。フォレスト・ガンプはいじめの対象となってもそれを克服できましたが、いじめを跳ねのけることができずに引き籠っていく人が少なくないのではないでしょうか。また、同世代からいじめを受けるだけではなく、大人からは何でそんなことができないのか、ちゃんとやりなさいと言われ続け、自信を失っていく人が少なくないのではないでしょうか。  こうした人たちは、やがて心を閉ざし、他人と心を通わせることをしなくなるので、社会において持ち味を生かした貢献の場を得ることができず、むしろ、社会制度によって保護される立場になっていくのです。これは大いに社会貢献をするフォレスト・ガンプやAさんとは真逆の位置づけと言えるのではないでしょうか。  では、何がこれらを分けていくのでしょうか。私は、周囲の理解と本人の自己肯定感にあると考えます。  千葉市立打瀬小学校における体験学習を御紹介します。  軍手を二重にはめて折り紙で鶴を折るというものです。そして、大人がわざと近くで、早くして、もっときれいに折ってとせかします。子供はせかされれば嫌になります。そして、子供たちは、この状況では周囲にどうしてほしいかを考えるようになります。やはりせかしたり、できないところを指摘するのではなく、できないところを手伝う、励ます、褒める、待つようにしてほしいと体得するようになるのです。  これは極めて大きな気づきと言えるでしょう。見た目は同じに見えても少しの不自由を抱えている人がいることをまず知ることになります。そして、自分がそのような立場だったらどのように接してほしいのかを知ることとなります。こうした理解が進めば無用ないじめを減らすことができるかもしれません。  そして、こうした学習は大人にも必須であると私は考えます。厚生労働省のホームページには、発達障害とは生まれつきの特性ですと明記されています。大人の側でそもそも障害ではなく特性であるとの理解が進み、発達障害児にはどのような接し方をするのがよいのかを正しく理解することで、いじめの回避や当事者の自己肯定につなげることができるのではないでしょうか。  発達障害は、障害ではなく特性である、こうした認識が社会で定着すれば、発達障害という障害は社会からなくなるとも考えられます。子供も大人もこうした理解を進めることにより、特性を持った人たちがそれを多いに生かすことができる社会をつくることができるはずです。特性を持った人が生かされる社会と生かされない社会では、当事者にとっても社会にとっても幸福度が天と地ほど異なると思われますし、今後も少子化が予想される日本において、こうした特性を生かさない手はないと思うのです。  そこでお尋ねします。  発達障害児を支援するに当たっては、教育現場にて早期に発見され、早期に適切な対応がなされることが極めて重要と考えられますが、県の取組を伺います。  発達障害であることが分かった後、発達障害児に適切な支援を進めていく上では、進級、進学といった子供を取り巻く環境が変化する際に、その支援に関する情報が適切に引き継がれることが大切であると考えられます。  その際に、学校では障害のある子供の支援に関する長期的な計画として作成されている個別の教育支援計画を活用していると伺っております。あいちの教育ビジョン二〇二五において、障害のある生徒の支援情報、個別の教育支援計画の中学校から高等学校等への引継ぎ率、目標、二〇一九年、六二・九%から二〇二三年、一〇〇%へとなっていますが、直近の数値と達成に向けた取組についてお尋ねします。  これは、また、中高連携だけではなく、幼児期から就労まで引き継がれるべきものと考えますが、県の対応を伺います。さらには、その時々に応じた合理的配慮も引き継がれることが重要と考えますが、県の対応をお聞かせください。  さて、質問の冒頭で、発達障害児をどのように支援すれば私たちは本人も社会も幸せになるのかと申し上げました。これまでも国をはじめとする公的機関の様々な施策等により発達障害者の支援が行われてきました。これにより本人にとって生活しやすくなったものもありますが、一方でまだまだ多くの課題があり、それに対する要望などもお聞きします。  その中で、最近私が聞いたことについて、最後に質問したいと思います。  教育と福祉の連携等の推進についてであります。  発達障害者支援については、発達障害者支援法の一部を改正する法律が平成二十八年八月一日から施行されており、個々の発達障害者の性別、年齢、障害の状況及び生活の実態に応じて、かつ、医療、保健、福祉、教育、労働等に関する業務を行う関係機関及び民間団体相互の緊密な連携の下に、その意思決定の支援に配慮しつつ、切れ目なく行われなければならないとされております。実際に発達障害のあるお子様を持つ保護者の方からは、適切な支援がスムーズに受けられることを望む声を聞くことがあります。  こうした課題を踏まえ、文部科学省と厚生労働省の両省が検討し、家庭と教育と福祉の連携、トライアングルプロジェクト報告がまとめられ、文部科学省は平成三十年五月、各都道府県知事や教育長などに教育と福祉の一層の連携等の推進についてという通知を出しております。  この通知では、保育所、幼稚園を含めた小中高等学校などと放課後等デイサービス事業所などとの相互理解の促進や、保護者も含めた情報共有の必要性が指摘されているところであり、各地方自治体において、教育委員会や福祉部局の主導の下、支援が必要な子供やその保護者が乳幼児期から学齢期、社会参加に至るまで、地域で切れ目ない支援が受けられる支援体制も整備が求められているとされております。  通知において求められている取組の一つに、教育と福祉の連携を推進するための方策として、学校の教職員等への障害のある子供に係る福祉制度の周知という項目があります。例えば小中学校から放課後等デイサービスの事業所への送迎時において、放課後等デイサービスについて、教職員の理解が深まっていないために、対象児童生徒の学校における様子などの情報提供をはじめとする学校の協力が得られにくいという事例が紹介されています。実際に福祉機関からは、小中学校との情報共有等が進まずに困っているという声を耳にすることもあります。  そこでお尋ねをします。  教育と福祉の連携を推進するため、放課後等デイサービス事業所などの障害児通所支援事業所と学校との連携に向けた具体的な取組を小中学校の教職員に対して示す必要があると考えますが、現在、県教育委員会としてどのように取り組んでおられるのか、お伺いします。  以上で、壇上からの私の質問を終わります。御清聴誠にありがとうございました。(拍手) 54: ◯教育長(長谷川洋君) 発達障害児支援の充実についてお答えいたします。  まず、教育現場における発達障害児の早期発見、早期の適切な対応につきましては、教員の発達障害に対する理解、発達障害は生まれつきの特性という理解を深めるとともに、支援方法や心理検査に関する知識を高めていくことが重要であると考えております。  発達障害児に対する理解を深めるため、教職経験の浅い教員を対象として発達障害に関する基礎的な内容を学ぶ研修を尾張地区、三河地区でそれぞれ年一回開催しております。  また、支援方法の専門性を高めるため、市町村教育委員会からの要請に応じて特別支援学校の教員から助言を受けながら、支援、指導方法の向上を目指す事例検討会を年間三百回以上実施しております。  さらに、発達障害児の早期発見につながる心理検査についての知識を高めるため、希望する教員を対象に、知能指数を数値化するウィスク検査に関する専門講師によるセミナーを実施しております。  今後もこうした取組を充実させていくことで、発達障害児の早期発見、早期対応の重要性を全ての教員が理解し、発達障害児の可能性を引き出して、引き続き適切に支援していけるようしっかりと取り組んでまいります。  次に、個別の教育支援計画の引継ぎについてであります。  中学校から高等学校等への支援情報の引継ぎ率は、二〇二〇年三月では六五・一%となっております。これまで県教育委員会では、市町村教育委員会に働きかけ、高等学校への引継ぎ方法、活用等についての研究を進めてまいりました結果、引継ぎ率は徐々に向上してきております。  引継ぎ率一〇〇%に向けた今後の取組についてであります。  保護者の中には、進学先の学校への支援情報の引継ぎを望まない方もおられますので、新たに啓発リーフレットを作成し、中学校から高等学校への引継ぎにとどまらず、幼児期から就労までを見据えた支援情報の引継ぎの重要性を保護者に理解していただくよう努めてまいります。  また、二〇一六年の障害者差別解消法の施行に併せて、教育の場においても合理的配慮の提供が求められておりますので、個別の教育支援計画に合理的配慮の内容を明記して支援情報を引き継いでまいります。  今後もこれらの取組により保護者の理解を得ながら、個別の教育支援計画を進学先の学校や就労先に確実に引き継ぎ、発達障害児への支援の充実を図ってまいります。  最後に、教育と福祉の連携についてお答えいたします。  発達障害のある子供たちに対する学習や生活面の支援を行う上で、学校と福祉機関が連携し、双方がそれぞれの情報を共有することは重要であると認識しており、議員お示しの文部科学省からの通知文を基本として取組を行っております。  県教育委員会では、まずは管理職の理解を深める必要があると考えておりますので、私学も含めた幼稚園から高等学校までの管理職を対象とした研修会におきまして、教育と福祉の連携をテーマとしたシンポジウムを実施しております。このシンポジウムでは、学校と障害児通所支援事業所との協力に関する具体的な事例発表などによりまして、管理職の理解を深めております。  また、小中学校の教職員に対して、個別の教育支援計画を活用した福祉機関との情報共有など教育と福祉の一層の連携を改めて周知するとともに、必要に応じて保護者、学校、事業所の三者の話合いの場を設けるなどいたしまして、障害児通所支援事業所との連携をさらに深め、発達障害のある子供たちへの支援を推進してまいります。 55: ◯十八番(黒田太郎君) 御答弁ありがとうございます。  それでは、要望させていただきます。  今回は発達障害児支援という切り口で質問をいたしましたが、問題意識はもっと大きいものであります。きっかけはある書物です。私は臼井正己先生という作家と親しくさせていただいており、臼井先生が主宰する読書会に参加する機会がありました。そこで取り上げられたのはスポーツジャーナリストの氏原英明さんが書かれた甲子園は通過点ですという書籍でした。私の目はこの本の一部にくぎづけになります。御紹介いたします。  日本人は、右打者なら右利きだという先入観が大き過ぎて、全員が右利きであることを前提に指導するケースが多い、右投げ右打ちにも隠れた左利きは結構多い、高校時代から指導してきた右投げの選手は左足が使いやすいタイプでした、右利きだと思って普通の指導をされると、それは使いにくいほうの足なのです、どちらが使いやすいかを見ていかないといけないのですが、そういう指導者はいない、こう書かれていました。  さらには、日本には長く一律な指導が染みついている、それぞれ体の特性や使い方は異なるのに、ほとんど同じ指導アプローチを施している、指導者の数が少なく部員数と釣り合っていないという仕組みの問題もあるが、それは結果的にセンスのある選手のための指導にしかならない、これを強者のための指導と筆者は思っているが、この話を聞いていると、いかに日本の指導が特定の型の人間にしか設計されていないかが理解できる、このように書かれていました。  野球の世界のことが書かれていますが、これは決して野球に限らない、日本の教育の問題点を鋭く突く視点ではないかと私には感じられました。発達障害があろうがなかろうが、全ての個性、特性が伸びる教育の実現を要望し、発言を終わります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━━ 56: ◯四十番(丹羽洋章君) 本日はこれをもって散会し、明九月二十八日午前十時より本会議を開会されたいという動議を提出いたします。     〔「賛成」と呼ぶ者あり〕 57: ◯議長坂田憲治君) 丹羽洋章議員の動議のとおり決しまして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 58: ◯議長坂田憲治君) 御異議なしと認めます。  明九月二十八日午前十時より本会議を開きます。  日程は文書をもって配付いたします。  本日はこれをもって散会いたします。     午後五時四分散会
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